新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究

文献情報

文献番号
200823038A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田村 友秀(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 南 博信(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座腫瘍内科学分野)
  • 小泉 史明(国立がんセンター研究所 腫瘍ゲノム解析・情報研究部)
  • 桑野 信彦(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点)
  • 掛谷 秀昭(京都大学大学院薬学研究科)
  • 杉本 芳一(慶應義塾大学薬学部)
  • 中川 和彦(近畿大学医学部内科学腫瘍内科学部門)
  • 野口 眞三郎(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 西尾 和人(近畿大学医学部ゲノム生物学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
61,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分子標的治療薬を中心とした新しい薬物療法の最適化を目指す。具体的には、(1)臨床検体を用いた効果・毒性に関わるバイオマーカーの探索、(2)薬剤感受性/耐性規定因子の解析と新薬の最適化研究、を実施する。
研究方法
本研究組織は、主任研究者の他、8名の分担研究者で構成する。研究内容の詳細は、次項に記載する。
(倫理面への配慮)
基礎研究においては、施設の倫理規定等に従って、動物実験は適正飼育を行い、苦痛を最小限に抑えるよう配慮する。臨床研究においては、ヘルシンキ宣言、臨床研究およびヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に従い、IRB承認、被験者の同意、個人情報の遵守を必須とする。
結果と考察
今年度は、以下の成果を得た。(1)肺がん患者のcirculating endothelial cell(CEC)値が初回化学療法の効果予測因子となることを示した。(2)胃がん検体解析から同定した新規癌遺伝子候補SRPX2遺伝子の機能解析を行った。(3)幹細胞マーカーALDH1陽性の乳がんは、ER陰性、HER2陽性、Ki67陽性で、化学療法に抵抗性を示した。(4)臨床腫瘍検体でY-ボックス結合タンパク-1(YB-1)の核内局在はEGFR、HER2/erbB2、ERαの発現と密接に関連した。(5)早期臨床試験におけるFDG-PETの意義を評価した。(6)BCRPによるゲフィチニブ耐性のメカニズムを解明した。(7)抗EGFR抗体の放射線感受性増強効果を評価した。(8)糸状菌代謝産物より新規血管新生抑制剤azaspireneを見出し、作用機序を解析した。
結論
臨床検体のバイオマーカー研究では、CEC値、YB-1核内局在、SRPX2遺伝子発現、乳がんALDH1は予後・治療効果予測マーカーとして有望である。また、個別化治療への応用も期待される。感受性規定因子および新薬の最適化研究では、分子標的薬の耐性機構解明、抗EGFR抗体の放射線増感作用は、治療効果増強に向け重要な知見である。新規血管新生抑制物質azaspireneの新規構造は、新薬開発のファーマコポアとなりうる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
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