がん治療のための革新的新技術の開発に関する総合的な研究

文献情報

文献番号
200823037A
報告書区分
総括
研究課題名
がん治療のための革新的新技術の開発に関する総合的な研究
課題番号
H19-3次がん・一般-023
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西條 長宏(国立がんセンター東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 荻野 尚(国立がんセンター東病院臨床開発センター)
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院)
  • 渡辺 俊一(国立がんセンター中央病院)
  • 伊関 洋(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
  • 佐野 武(癌研究会有明病院)
  • 藤元 博行(国立がんセンター中央病院)
  • 森谷 宜皓(国立がんセンター中央病院)
  • 木下 平(国立がんセンター東病院)
  • 中面 哲也(国立がんセンター東病院臨床開発センター)
  • 平家 勇司(国立がんセンター中央病院)
  • 藤原 俊義(岡山大学医学部・歯学部付属病院 遺伝子・細胞治療センター)
  • 杉山 治夫(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 永田 靖(広島大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
93,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫療法(ペプチド抗原療法、細胞療法)および遺伝子・ウイルス治療及び高精度診断法を用いた放射線治療・手術療法を開発する。また、これらの併用療法によって至適の治療法を確立する。
研究方法
腫瘍抗原を同定、それを標的とするワクチンを作成し非臨床および臨床で効果を検証する。細胞療法の至適培養法を開発する。腫瘍溶解ウイルス(テロメライシン)と放射線の併用効果とそのメカニズムを明らかにする。陽子線治療の照射位置を確認する方法を開発し高精度陽子線治療の精度管理システムを導入する。切除不能肺がんに対するラジオ波熱凝固療法の意義を検討する。術中MRIやPDDにより腫瘍組織のみを摘出するピンポイント手術の意義を検討する。前立腺がん、胃がん、膵がん、大腸がんに対しQOLを維持し、根治性の高い治療法を導入する。
結果と考察
GPC3の第I相試験で投与量を増量し安全性を確認するとともに特異的CTLの増加など臨床効果を示唆する所見をえた。ヌードマウス移植ヒト肺がんおよび食道がん細胞に対するテロメライシンと放射線の併用効果をin vivoで証明した。テロメライシン投与でDNA修復阻害が示された。αGalCer+IL-2刺激単核球の至適培養条件を確立し培養細胞が量的・質的に臨床試験の規格を満たしていると確認した。手術適応のない肺腫瘍患者45例に対するCTガイド下ラジオ波凝固治療では疼痛抑制のため硬膜外麻酔用チューブの挿入が有効であった。陽子線照射で生成されるポジトロン放出核の活性の測定により照射領域を可視化したDAPTを頭頚部、肝、前立腺、脳の約50例に行い、治療中の腫瘍の変化や腫瘍への線量集中性の変化を観察した。原発性肺がん等237例を対象とした48Gy/4分割による体幹部定位放射線照射の局所制御率は約90%であった。悪性脳腫瘍に対する術後光線力学療法による悪性脳腫瘍17例のPFSの中央値は3.7カ月であった。
直腸がん骨盤壁浸潤局所再発に対する仙骨合併骨盤内臓全摘術の合併症48例(68%)に認めた。RO切除とCEA陰性が有意な予後改善因子であった。膵頭12指腸切除129例ではドレナージ法を開放式から閉鎖式持続吸引への変更により膵液瘻の頻度、ドレーン抜去までの日数の短縮を認めた。
結論
新しい革新的技術の開発と導入を行い、それを臨床試験により評価検証することにより優れた治療法が確立されると思われる。

公開日・更新日

公開日
2009-03-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-