DNAチップによる急性白血病の新規分類法提案

文献情報

文献番号
200823035A
報告書区分
総括
研究課題名
DNAチップによる急性白血病の新規分類法提案
課題番号
H19-3次がん・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 加納 康彦(栃木県立がんセンター)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医学部歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は米国ベンチャー企業と共同で約9 Mbpの塩基配列を一度の実験で解析可能にする超大型シークエンスDNAチップ開発した。本研究計画ではこれを用いた大規模シークエンスデータと発現情報とを統合することで、これまでにない精度で特発性造血障害の診断法及び予後予測法を開発し、新たな治療標的分子の単離を目指した。
研究方法
微量の臨床検体からマイクロRNA(miRAP)を高感度にクローニングする手法miRNA amplification profiling (mRAP)を用いて、白血病検体のmiRNA発現プロファイルを明らかにすると共に、新規miRNAの同定を目指す。またがん化に関与すると予想される多くの遺伝子のcoding exonに関して、既に収集した検体を用いて大規模塩基配列解析を行う。具体的には20例のAML症例について白血病芽球細胞とCD4陽性コントロール細胞それぞれからゲノムDNAを抽出し、大規模リ・シークエンス用DNAを用いてハイブリダイゼーションを行う。
結果と考察
mRAPによって増幅された低分子RNA由来産物をSolexa deep sequencerにて直接解析するmRAP-Solexa法を新たに開発することに成功した。本法を用いて高等真核生物のmiRNA全容を明らかにするべく、様々な発達段階のマウス胎児、及び成獣マウス各種臓器よりmRAP-Solexa解析を行い、3億個以上の低分子RNA由来cDNAを決定し、マウスにおけるmiRNAのほぼ全容を明らかにすることに成功した。一方、ヒトにおいて発がんに関連が予想される5600種類のタンパクコード遺伝子について、そのcoding exonの配列異常を超大型DNAチップによりスクリーニングした。その結果チロシンキナーゼ遺伝子の新規活性型変異を同定することに成功した。
結論
miRNAの同定については、全マウスmiRNA同定プロジェクトによってマウスの全miRNAがおよそ1600種類ほどからなることが明らかになった。微量のトータルRNAから数千万種類のmiRNAクローンを同定する我々の手法は、今後の発がんにおけるmiRNAの機能を解析するための重要な基盤技術となるであろう。いっぽう、我々が行った白血病のリシークエンシングは世界最大の白血病ゲノム解析であり、新たな急性骨髄性白血病の原因遺伝子を発見することに成功した。

公開日・更新日

公開日
2009-03-19
更新日
-