新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200823034A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科 生命環境医科学専攻公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 徹(山形県庄内保健所)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会 がん検診センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 芳野 純治(藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院)
  • 山崎 秀男(大阪がん予防検診センター)
  • 岸本 拓治(鳥取大学医学部環境予防医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有効性や精度に関して十分に評価されていない状況ですでに人間ドック等で普及し、また一部地域で住民を対象として実施されている内視鏡検査による胃がん検診について、死亡率減少効果や精度などの包括的な評価を行い、内視鏡検査を導入した胃がん検診システムの構築の可能性について検討することを目的とした研究を計画した。
研究方法
1)内視鏡検診の死亡率低減効果の評価:内視鏡検診を実施している地域において胃がん死亡者を症例、それらの死亡時に生存していたものを対照とし、過去の検診受診を暴露要因として症例対照研究のデザインで死亡率低減効果を検討する。
2)内視鏡検査の精度の評価:現行の胃がん検診受診者ファイルと地域がん登録胃がん罹患者ファイルの記録照合により、精密検査として受診した内視鏡検査の精度を算定している。
3)内視鏡検診に関する情報の収集:内視鏡検診を実施している施設の研究者を協力者として参画を求め、検診成績を含めた検診の実施状況、実施に当たっての問題点、評価研究の実施体制の整備状況等についての情報を得た。
結果と考察
1)内視鏡検診の死亡率減少効果を吟味する症例対照研究が鳥取県の4つの市で進行中である。最終的に150例前後の胃がん死亡症例の確定を見込んでいる。すでに確定された症例に対する対照については、住民台帳閲覧などにより逐次確定する作業を継続中である。新潟市では、予備的なコホート研究で内視鏡検診の有意な死亡率減少効果が認められているが、X線検診との有意な差は認められていない。
2)地域がん登録を用いた追跡法による精度の評価では、内視鏡検査がX線検査に比べて感度が高く特異度が低かった。しかし、ROC分析では両者の精度に統計学的に有意な差は認められなかった。
3)内視鏡による胃がん検診を実施している諸施設における検診成績を含めた実施状況や評価研究の実施体制の整備状況を調査した。

結論
対策型としても推奨できる新たな胃がん検診システムに内視鏡検査の導入の是非を検討する際、本研究で得られる成果はエビデンスとして重要な意義を持つものと考える。有効性が認められた場合には、受診間隔、精度管理等システム面の検討を進めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-07-03
更新日
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