遺伝子不安定性の機能解析及び遺伝子変異推測モデルの構築による乳癌卵巣癌ハイリスクキャリアーの同定と発症予防法の確立

文献情報

文献番号
200823030A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子不安定性の機能解析及び遺伝子変異推測モデルの構築による乳癌卵巣癌ハイリスクキャリアーの同定と発症予防法の確立
課題番号
H19-3次がん・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田中 憲一(新潟大学 教育研究院医歯学系)
研究分担者(所属機関)
  • 佐伯俊昭(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 井ノ上逸朗(東海大学医学部)
  • 八幡哲郎(新潟大学 教育研究院医歯学系 )
  • 関根正幸(新潟大学医歯額総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳癌卵巣癌家系の日本人独自の発症推測モデルおよびBRCA変異推測モデルを構築する。これまでの卵巣癌組織でのCNV解析の結果を踏まえ、20q13.33領域にある14遺伝子の詳細な分子機構の解明を行い、散発性卵巣癌発症のメカニズムを解明、さらに家族性卵巣がんにおける若年者発症の関わりについても理解する。BRCA1キャリアーの正常検体でのCNV解析を行い、未発症者の中でのハイリスクグループの抽出を通して、発症予防管理システムを構築する。
研究方法
1. 新潟県と埼玉医大国際医療センターでの家族歴アンケート。
2. BRCA1/2陽性乳がん組織でのCNV(Copy Number Valiant)解析
3. 卵巣がん組織での遺伝子発現解析


結果と考察
1328名の乳がん患者の家族歴調査の結果、第2度近親者までに乳がんの患者を持つ家族歴の頻度は欧米より低いことが認められた。乳がん組織でのCNV(Copy Number Valiant)解析の結果、乳がん組織では卵巣がんに比較して、CNV の 頻度が低いこと及び、コピー数のGainが多く、Loss が少ない傾向が認められた。正常組織のCNV解析では、BRCA1キャリアーで散発性患者に比較して、CNV頻度が高い傾向が認められ、CNV解析を実施した同一卵巣がん腫瘍組織の網羅的発現プロファイルをマイクロチップアレイで解析、CNV変化と比較したところ、遺伝子コピー数が増加している20q13.13領域にある、14遺伝子でコピー数の増加に伴った遺伝子発現の亢進を認めた。コピー数が増えている症例の臨床病理学的解析を行った結果、overall survivalの有意の延長が観察された。(logranktest 0<0.05)、
結論

1.家族歴アンケート
乳癌及び卵巣癌患者における家族内の乳がん、卵巣がんの頻度は卵巣がんは欧米と同様の傾向を認めたが、乳がんでは欧米より低い傾向。
2. CNV解析
乳がん組織におけるCNV の頻度は卵巣がん腫瘍に比較すると低く、コピー数のLoss が少なく、Gainが多い傾向。 BRCA1キャリアーでは正常組織でも散発性の患者の正常組織と比較するとCNVの頻度が高く、遺伝子不安定性の存在が示唆。
3.CNVと遺伝子発現解析
コピー数の増加を示す20q13.33領域38遺伝子中14遺伝子で遺伝子発現が増加 し、コピー数が増加している症例はコピー数が2の症例に比較して、予後後良好。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)