疾患モデル動物を用いた環境発がんの初期発生過程及び感受性要因の解明とその臨床応用に関する研究

文献情報

文献番号
200823017A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患モデル動物を用いた環境発がんの初期発生過程及び感受性要因の解明とその臨床応用に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中釜 斉(国立がんセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 益谷 美都子(国立がんセンター研究所 生化学部)
  • 木南 凌(新潟大学 教育研究院 医歯学系 )
  • 大島 正伸(金沢大学 がん研究所 )
  • 杉江 茂幸(金沢医科大学 医学部 )
  • 庫本 高志(京都大学大学院 医学研究科)
  • 中島 淳(横浜市立大学 付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
61,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 動物発がんモデルを用いて、環境中に存在する発がんの修飾要因、および遺伝学的な感受性要因を明らかにするとともに、消化器がんを中心とした発がんの分子機構の解明をめざす。確立された動物モデルを用いて、がん治療薬や予防薬の効果判定や治療薬開発における標的候補分子の同定など、臨床応用への展開を目指す。(146)
研究方法
 PhIP誘発大腸発がんモデルで同定された発がん感受性候補遺伝子の遺伝学的多型の解析を行った。コンソミックマウス系統を用いた感受性遺伝子の網羅的検索を行った。miR-34a及び翻訳制御因子SND1の発現解析、標的遺伝子の検索を行った。大腸発がんにおけるACF形成と、AMPK経路との関連性を調べた。胃発がんの分子機構の解明では、Wnt/PGE2活性化マウスを用いてヒト胃がんとの遺伝子発現プロファイルを比較し、感染刺激によるマクロファージ活性化の影響を検討した。Apc変異KADラットの大腸発がん性を検討した。放射線誘発胸腺リンパ腫の発症機構について検討し、候補遺伝子を絞り込んだ。 (290)
結果と考察
 PhIP誘発ラット大腸がんの感受性候補遺伝子Xの3‘側非翻訳領域に存在する 15箇所の多型がmRNAの翻訳制御に寄与している可能性が示唆された。翻訳抑制因子のSND1とmiR-34aを介する翻訳制御機構の機能破綻が、大腸発がんの発生・成立に重要な役割を果たし、miR-34aはSIRT1の翻訳抑制を介してp53経路を活性化していた。ヒト大腸のdysplastic ACFの数が内臓脂肪量と有意な相関を示すこと、及びアディポネクチンやAMPK経路が大腸発がんに寄与することを示した。Apc遺伝子変異ラットはAOM+DSS投与による大腸発がんに高感受性を示した。WntシグナルとCOX-2/PGE2経路を同時に活性化させたマウス胃がんモデルで、発生する腫瘍がヒト胃がんに極めて類似した発現プロファイルを示し、感染刺激が発がんに重要な役割を担う事が示された。放射線リンパ腫発がん感受性遺伝子候補が同定され、がん抑制遺伝子Bcl11bがヒト大腸がんの発症リスク因子である事やハプロ不全として働く事が示唆された。Parp1の機能欠損がエピジェネティック異常を誘発しがん化過程に関わる可能性が示唆された。 (494) 
結論
 発がんのモデル動物を用いた遺伝学的解析は、発がんの分子機構や感受性要因の解明を通して、ヒト発がんの研究において補完的な役割を担うと考えられる。(70)

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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