GVHD等の副作用防止に関する研究

文献情報

文献番号
199700478A
報告書区分
総括
研究課題名
GVHD等の副作用防止に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
柴田 洋一(東京大学医学部輸血部教授)
研究分担者(所属機関)
  • 田所憲治(日本赤十字社中央血液センター研究部長)
  • 高橋孝喜(虎の門病院輸血部部長)
  • 高橋聡(医科学研究所病態薬理助手)
  • 笠井正晴(札幌北楡病院内科部長)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 血液研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦では、諸外国に比して輸血後GVHDが高率に発症している。平成10年5月より日本赤十字血液センターから放射線照射血液が供給されることになり輸血後GVHDの予防対策は整いつつある。しかし、一端発症すると殆ど救命出来ないので治療法の開発は重要である。本研究では主として同種骨髄移植症例での治療法を検討しつつ、輸血後GVHDの治療法について研究する。
研究方法
1. 同種骨髄移植症例で以下の検討を行った。
・GVHDの病態でのサイトカインでの発現強度を末梢血の単核細胞によりmRNAを抽出し検討した。
・従来の予防法でのGVHDの病態を検討した。
2. 輸血後GVHD症例でnafamosrat mesylateの治療効果を検討した。
3. 8-Methoxypsolaren存在下での紫外線照射による血液中のcytotoxic T cellへの障害効果について検討した。
結果と考察
結果 = 1. 同種骨髄移植でのGVHDではI L-1β、 I L-6、TNF-α、 I NF-γの発現が強く、 GVHDの弱い症例では、IL-4、10、13の発現が強かった。
2. 同種骨髄移植によるGVHDの予防では、シクロスポリンと短期のメソトレキセートが投与されたが、grade・以上のGVHDはHLA同胞からの移植で約24%に発症、非血縁者からでは約61%で発症し上記2剤では不十分であった。
3. 輸血後GVHDの発症した患者14例にnafamostat mesylateが投与された。完全寛解例はなかったが、症状の改善、患者型血液細胞の回復の見られた症例が4例あった。
4. 均一照射可能な紫外線照射装置を用いて、200ng/ml濃度の8-Methoxypsolaren存在下に平均暴露総量2J/・を照射すれば、cytotoxic T cellの選択的な障害効果が得られた。
結論
考察と結論 = 1. CD4細胞の中でも炎症性サイトカインを産生するTh1細胞と免疫抑制的に働くサイトカインを産生するTh2細胞のバランスがGVHDの病態をよく反映していることが明らかとなった。
2. 輸血後GVHDの治療でnafamosrat mesylateが標的細胞の保護作用により有効で、他のリンパ球障害作用を持つ薬剤との併用により根治につながる可能性があると思われた。
3. 血液に8-Methoxypsolaren存在下に紫外線照射し選択的にcytotoxic T cellを障害する照射量が判明した。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)