乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験

文献情報

文献番号
200823012A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験
課題番号
H18-3次がん・戦略-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大内 憲明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 東野 英利子(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 福田 護(聖マリアンナ医科大学)
  • 祖父江 友孝(国立がんセンター がん対策情報センター)
  • 斎藤 博(国立がんセンター がん予防・検診センター)
  • 山本 精一郎(国立がんセンター がん対策情報センター)
  • 遠藤 登喜子(国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 植野 映(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 高田 悦雄(獨協医科大学 光学医療センター)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会)
  • 石田 孝宣(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 中島 一毅(川崎医科大学 付属病院)
  • 鈴木 昭彦(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 櫻井 遊(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 河合 賢朗(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 光山 昌珠(市立北九州医療センター)
  • 深尾 彰(山形大学 医学部)
  • 栗山 進一(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 鯉淵 幸生(群馬大学 医学部附属病院)
  • 片岡 健(広島大学 大学院保健学研究科)
  • 大崎 昭彦(埼玉医科大学 医学部)
  • 大野 真司(国立病院機構 九州がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
189,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 マンモグラフィによる乳がん検診の死亡率減少効果は50歳以上に限定的である。40歳代で超音波検査を併用することによって、乳がんの発見率が高くなることが報告されている。しかし、超音波乳がん検診は標準化されておらず、精度及び有効性も検証されていない。本研究では、40歳代女性を対象に、超音波による検診の標準化を図った上で、マンモグラフィに超音波を併用する(介入)群と併用しない(非介入)群との間でランダム化比較試験(RCT)を行い、2群間で検診精度と有効性を検証する。プライマリ・エンドポイントを感度・特異度とし、セカンダリ・エンドポイントを累積進行乳がん罹患率とする。
研究方法
1)超音波乳がん検診の標準化と普及に向けて、ガイドラインの作成し、検診を行う医師、技師に対して乳房超音波講習会を開催し、精度管理を行う。
2)有効性を検証するために、40歳から49歳女性を対象に、 超音波検診を併用する群(介入群)、超音波検診を併用しない群(非介入群)の2群でRCTを実施する。研究参加団体は第1期募集で6県9団体(宮城県対がん協会他)、第2期募集で12道県17団体(北海道対がん協会他)に達した。
(倫理面への配慮)厚生労働省「がん対策のための戦略研究」倫理委員会による審査、ならびに東北大学大学院医学系研究科倫理委員会による承認を得ている。
結果と考察
1)超音波乳がん検診の標準化と普及:乳がん検診ガイドラインを策定し、講習会を全国で22回開催して教育研修を行った。年間受講者数は医師531名、技師495名であった。
2)ランダム化比較試験:平成20年度は当初から毎月数千名の参加者を確保することができ、約3万人の新規登録者を得た。これは、研究推進のための様々な努力により、研究班および参加団体にノウハウが蓄積され、試験遂行の体勢が整ったことによる。わが国の臨床試験(RCT)で登録者数が3万人を超えた例はなく、正に画期的な成果といえる。
結論
 標準化に関してガイドラインの改定とともに、超音波講習会を全国で実施し、総受講者数は医師1,097名、技師1,332名に達したことから、第一の目的である超音波乳がん検診の標準化に大きな成果があった。
 第二の目的である大規模臨床試験による有効性の検証に関して、平成20年度は約3万人の新規登録者を達成した。平成21年度は、北海道から沖縄県までの計41団体、23都道府県において臨床試験が実施される予定であり、わが国で初めて大規模臨床試験(RCT)の実施可能性が見えてきた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-21
更新日
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