文献情報
文献番号
200823008A
報告書区分
総括
研究課題名
レトロウイルス技術による癌抗原の細胞表面上カタログ化と癌の診断治療への応用
課題番号
H18-3次がん・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
北村 俊雄(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 野阪 哲哉(三重大学大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
47,124,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、早期診断法が難しく予後が悪い膵がん、ユーイング肉腫、グリオーマ(グリオブラストーマを含む)、予後は中等度であるがやはり早期診断の難しい腎がん、本邦に多い胃がん、本邦で最近増加しつつある前立腺がん、大腸がん、膀胱がんなどのマーカー分子を同定し、これらのマーカー遺伝子に対する抗体を作成することおよび抗体療法に利用できるがん抗原および抗体を同定することである。
研究方法
本研究では、主任研究者らが開発した高効率かつ正確なシグナルシークエンストラップ法SST-REX(Kojima and Kitamura, Nat Biotech, 1999)を利用して、がん特異的抗原を同定し、モノクローナル抗体を作成する。具体的にはSST-REX法の過程で得られるがん細胞由来の分泌蛋白質あるいは膜蛋白質とMPLの融合蛋白質として発現しているBa/F3細胞群(以後SSTクローンと呼ぶ)を免疫源としてマウスモノクローナル抗体を作製する。患者がん組織あるいはがん細胞株を利用して樹立した抗体の特異性およびがん細胞株に対する増殖抑制効果を調べる。
結果と考察
本研究によってSST-REX法で得られたSSTクローン(ヒトがん細胞由来の膜蛋白質あるいは分泌蛋白質を一種類ずつ細胞膜上に発現しているマウス細胞)を利用することによってがん細胞を認識するモノクローナル抗体を効率良く作製できることが確認され、さらには得られた抗体が抗腫瘍活性などの生理活性機能を有する事が確認された。
結論
癌細胞株のシグナルシークエンストラップを施行し、癌細胞株由来の分泌蛋白質および膜蛋白質を588種同定した。がん由来分子を34種選別し、これらの分子に対するモノクローナル抗体を作成した。これらの抗体のうち1/4程度が何らかのがん細胞のin vitroでの増殖を抑制し、さらに2種類がin vitroあるいはin vivoで癌細胞株の増殖を抑制した。この結果は本方法によって高い確立で機能抗体が得られることを示した。
公開日・更新日
公開日
2009-04-16
更新日
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