がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発

文献情報

文献番号
200823005A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発
課題番号
H18-3次がん・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がんセンター研究所 化学療法部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 格(国立がんセンター研究所)
  • 本田 一文(国立がんセンター研究所)
  • 尾野 雅哉(国立がんセンター研究所)
  • 西村 俊秀(東京医科大学)
  • 佐田 尚宏(自治医科大学)
  • 安波 洋一(福岡大学)
  • 土田 明彦(東京医科大学)
  • 井岡 達也(大阪府立成人病センター)
  • 中森 正二(大阪医療センター)
  • 奥坂 拓志(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
74,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん検診で無症状の段階でがんを発見し、早期に治療を開始することは有効ながん対策法の一つと考えられる。本研究班では、非浸襲的に得られる血液を検体に用い、精密検診を行うべき症例を効率良く絞るプレスクリーニングに使用できる新規腫瘍マーカーを開発することを目的とした。
研究方法
多施設共同研究による血漿・血清検体の収集
7つの医療機関より膵がん、胃がん、大腸がん、肝細胞がんなどの消化器がん患者、鑑別疾患の対象となる良性疾患患者、および健常者より同一の採血・保存プロトコールで血漿・血清検体を臨床情報とともに収集した。

膵がんの血液診断法の検証とマーカー分子の構造解明
逆相磁気ビーズクロマトグラフィーによる血漿前処理とMALDI-QqTOF-MS (Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Quadrupole Time-Of-Flight)による精密質量分析により低分子のマーカータンパク質を検出・定量した。

血漿フィブリノーゲンの酸化修飾検出による膵がん診断法の開発
国立がんセンター研究所で独自に開発した2DICAL (2-Dimensional Image Converted Analysis of Liquid chromatography and mass spectrometry)法により、plasma fibrinogen のproline hydroxylationを特異的に検出できるモノクローナル抗体を作成した。ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)を構築し、血漿検体の定量解析した。

結果と考察
多施設共同研究による血漿・血清検体の収集
平成21年3月4日採血分までで1315症例分の血清・血漿検体の収集が終了した。

膵がんの血液診断法の検証とマーカー分子の構造解明
上記多施設共同研究で前向きに収集した検体を含め4つの独立したコホート1594例分の血漿タンパク質の質量分析が終了した。さらにハイデルベルグ大学との共同研究により同大学の163検体を解析し、同様の結果が得られることが明らかになった。

血漿フィブリノーゲンの酸化修飾検出による膵がん診断法の開発
健常者に比べ膵がんで有意に上昇していることが確認された。年齢性別をあわせ、各種疾患での発現を調べたところ、膵がんで最も有意であった。

結論
がん検診への応用が近い膵がんの新規腫瘍マーカーを見いだし、その有用性が検証できた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200823005B
報告書区分
総合
研究課題名
がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発
課題番号
H18-3次がん・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がんセンター研究所 化学療法部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 格(国立がんセンター研究所)
  • 本田 一文(国立がんセンター研究所)
  • 尾野 雅哉(国立がんセンター研究所)
  • 西村 俊秀(東京医科大学)
  • 永井 秀雄(自治医科大学)
  • 佐田 尚宏(自治医科大学)
  • 安波 洋一(福岡大学)
  • 土田 明彦(東京医科大学)
  • 中森 正二(大阪医療センター)
  • 奥坂 拓志(国立がんセンター中央病院)
  • 斎藤 豊(国立がんセンター中央病院)
  • 島原 政司(大阪医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん検診で無症状の段階でがんを発見し、早期に治療を開始することは有効ながん対策法の一つと考えられる。本研究班では、非浸襲的に得られる血液を検体に用い、精密検診を行うべき症例を効率良く絞るプレスクリーニングに使用できる新規腫瘍マーカーを開発することを目的とした。
研究方法
多施設共同研究による血漿・血清検体の収集
7つの医療機関より膵がん、胃がん、大腸がん、肝細胞がんなどの消化器がん患者、鑑別疾患の対象となる良性疾患患者、および健常者より同一の採血・保存プロトコールで血漿・血清検体を臨床情報とともに収集した。

膵がんの血液診断法の検証とマーカー分子の構造解明
逆相磁気ビーズクロマトグラフィーによる血漿前処理とMALDI-QqTOF-MS (Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Quadrupole Time-Of-Flight)による精密質量分析により低分子のマーカータンパク質を検出・定量した。

血漿フィブリノーゲンの酸化修飾検出による膵がん診断法の開発
国立がんセンター研究所で独自に開発した2DICAL (2-Dimensional Image Converted Analysis of Liquid chromatography and mass spectrometry)法により、plasma fibrinogen のproline hydroxylationを特異的に検出できるモノクローナル抗体を作成した。ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)を構築し、血漿検体の定量解析した。
結果と考察
多施設共同研究による血漿・血清検体の収集
平成21年3月4日採血分までで1315症例分の血清・血漿検体の収集が終了した。

膵がんの血液診断法の検証とマーカー分子の構造解明
上記多施設共同研究で前向きに収集した検体を含め4つの独立したコホート1594例分の血漿タンパク質の質量分析が終了した。さらにハイデルベルグ大学との共同研究により同大学の163検体を解析し、同様の結果が得られることが明らかになった。

血漿フィブリノーゲンの酸化修飾検出による膵がん診断法の開発
健常者に比べ膵がんで有意に上昇していることが確認された。年齢性別をあわせ、各種疾患での発現を調べたところ、膵がんで最も有意であった。
結論
がん検診への応用が近い膵がんの新規腫瘍マーカーを見いだし、その有用性が検証できた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200823005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国7施設の参加する多施設共同研究にて、血漿の精密質量分析法による膵がんの早期診断法の診断能について大規模な検証実験を行い、良好な成績がえられた。この研究成果を臨床応用するためには、臨床検査室でルーチンに使用できる操作や調整が容易で、安価であるが定量性・再現性が高く、多数検体の測定が自動化された医療用の質量分析機が必要である。
臨床的観点からの成果
無症状の段階でがんを発見し、早期に治療を開始することでがんの治療成績の向上できることは論を待たない。しかしがん検診受診率は低く、また膵がんのように検診方法が確立していない疾患も多い。非浸襲的に得られる血清あるいは血漿を検体に用い、精密検査を行うべき症例を効率良く絞るプレスクリーニングに使用できる腫瘍マーカーが開発できれば、がんの早期発見率を向上させられるのみならず、検診費用の削減や地方への均てん化が期待できる。
ガイドライン等の開発
平成18年度 独立行政法人 産業技術総合研究所
「次世代創薬支援技術に関する調査」

平成19年度 創薬プロテオームファクトリー
「アドバイザリーボード」

日本ヒトプロテオーム機構(JHUPO)第8回大会
第6回日本臨床プロテオーム研究会
の連合大会主催(予定)
その他行政的観点からの成果
Dr. Lee Hartwell(ノーベル賞受賞者)が主催する国際バイオマーカーディスカバリーコンソーシアムInternational Cancer Biomarker Discovery Consortium (ICBC)へ日本チームとしては初めて参加が認められた。このコンソーシアムは世界各国からがんの早期診断や個別化治療のためのバイオマーカー開発に関する専門家が参加し、プロテオーム解析技術などについて情報を交換している。
その他のインパクト
がんを治す完全ガイド(平成18年8月20日)
朝日新聞(平成18年9月6日)
日本経済新聞(平成18年9月15日)
NHKテレビ(平成18年10月6日)
朝日新聞(平成18年10月9日)
日本経済新聞(平成19年6月8日)
化学工業日報(平成19年6月11日)
電波新聞(平成19年6月12日)
日本経済新聞(平成19年7月9日)
週刊朝日(平成20年8月29日)
科学新聞(平成20年10月24日)

発表件数

原著論文(和文)
0件
全体では多数のため研究代表者に限る
原著論文(英文等)
13件
全体では多数のため研究代表者に限る
その他論文(和文)
28件
全体では多数のため研究代表者に限る
その他論文(英文等)
2件
全体では多数のため研究代表者に限る
学会発表(国内学会)
71件
全体では多数のため研究代表者に限る
学会発表(国際学会等)
26件
全体では多数のため研究代表者に限る
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計14件
その他成果(特許の取得)
0件
全体では多数のため研究代表者に限る
その他成果(施策への反映)
0件
全体では多数のため研究代表者に限る
その他成果(普及・啓発活動)
0件
全体では多数のため研究代表者に限る

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Matsubara J, Ono M, Negishi A, et al.
Identification of a predictive biomarker for hematological toxicities of gemcitabine.
J Clin Oncol. , 17 (13) , 2261-2268  (2009)
原著論文2
Negishi A, Ono M, Handa Y, et al.
Large-scale quantitative clinical proteomics by label-free liquid chromatography and mass spectrometry.
Cancer Sci. , 100 (3) , 514-519  (2009)
原著論文3
Shitashige M, Satow R, Honda K, et al.
Regulation of Wnt signaling by the nuclear pore complex.
Gastroenterology. , 134 (7) , 1961-1971  (2008)
原著論文4
Yamaguchi U, Nakayama R, Honda K, et al.
Distinct gene-expression-defined classes of gastrointestinal stromal tumor.
J Clin Oncol. , 26 (25) , 4100-4108  (2008)
原著論文5
Kikuchi S, Honda K, Tsuda H, et al.
Expression and gene amplification of actinin-4 in invasive ductal carcinoma of the pancreas.
Clin Cancer Res. , 14 (17) , 5348-5356  (2008)
原著論文6
Shitashige M, Hirohashi S, Yamada T.
Wnt signaling inside the nucleus.
Cancer Sci. , 99 (4) , 631-637  (2008)
原著論文7
Huang L, Shitashige M, Satow R, et al.
unctional Interaction of DNA Topoisomerase IIalpha with the β-Catenin and T-Cell Factor-4 Complex
Gastroenterology. , 133 (5) , 1569-1578  (2007)
原著論文8
Shitashige M, Satow R, Honda K, et al.
Increased susceptibility of Sf1(+/-) mice to azoxymethane-induced colon tumorigenesis.
Cancer Sci. , 98 (12) , 1862-1867  (2007)
原著論文9
Kikuchi S, Honda K, Handa Y, et al.
Serum albumin-associated peptides of patients with uterine endometrial cancer.
Cancer Sci. , 98 (6) , 822-829  (2007)
原著論文10
Shitashige M, Naishiro Y, Idogawa M, et al.
Involvement of splicing factor-1 in beta-catenin/T-cell factor-4-mediated gene transactivation and pre-mRNA splicing.
Gastroenterology. , 132 (3) , 1039-1054  (2007)
原著論文11
Idogawa M, Masutani M, Shitashige M, et al.
Ku70 and poly(ADP-ribose) polymerase-1 competitively regulate beta-catenin and T-cell factor-4-mediated gene transactivation: possible linkage of DNA damage recognition and Wnt signaling.
Cancer Res. , 67 (3) , 911-918  (2007)
原著論文12
Hara T, Honda K, Shitashige M, et al.
Mass spectrometry analysis of the native protein complex containing actinin-4 in prostate cancer cells.
Mol Cell Proteomics. , 6 (3) , 479-491  (2007)
原著論文13
Ono M, Shitashige M, Honda K, et al.
Label-free quantitative proteomics using large peptide data sets generated by nanoflow liquid chromatography and mass spectrometry.
Mol Cell Proteomics. , 5 (7) , 1338-1347  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-