乳幼児突然死症候群(SIDS)における病態解明と臨床的対応および予防法開発とその普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
200822022A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児突然死症候群(SIDS)における病態解明と臨床的対応および予防法開発とその普及啓発に関する研究
課題番号
H20-子ども・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
戸苅 創(公立大学法人 名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 高嶋 幸男(国際医療福祉大学大学院医学福祉学研究科)
  • 市川 光太郎(北九州市立八幡病院小児救急センター)
  • 中山 雅弘(大阪府立母子保健総合医療センター 検査科)
  • 的場 梁次(大阪大学大学院医学系研究科 法医学)
  • 平野 慎也(大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科)
  • 横田 俊平(横浜市立大学大学院医学研究科 発生成育小児医療学)
  • 中川 聡(国立成育医療センター手術集中治療部)
  • 山口 清次(島根大学医学部 小児科)
  • 成田 正明(三重大学大学院医学系研究科 発生再生医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
SIDS発症率の軽減を目指して病理組織学的、遺伝子的、関連疾患との鑑別法の検討などから、SIDSの病態解明についての検討を行い、さらに平成19年度の厚生労働科学研究により作成された「乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断の手引き」および「乳幼児突然死症例問診・チェックリスト」の活用度、SIDS類似疾患であるALTE(Apparent Life Threatening Event:乳幼児突発性危急事態)の全国調査から、全国レベルでの統一したSIDS診断を行える体制作りをめざす。最終的には標準化された診断基準に基づいたSIDS 症例の組織バンクを構築することを目的とした。また生理学的検討から予防法の確立をめざし、社会的啓発の必要性についても検討を行う。
研究方法
組織学的検討、遺伝子的検討、関連疾患との鑑別法の検討などを行った。組織バンク構築に関しては、日本SIDS学会症例検討委員会での症例登録システム、ドイツ ミュンスターでの組織バンクシステムなどを参考として、大阪での監察医制度と関連した組織バンク構築について検討した。日本組織移植学会、日本組織移植学会倫理委員会、厚生労働省細胞バンク、American SIDS Instituteなどの指針、ガイドライン等を参考に組織バンク構築の倫理的側面について検討した。ALTEについて全国の小児医療施設、救急医療施設に対してアンケート調査を行い、わが国における医療現場でのALTEの認識度を検討した。低出生体重児での無呼吸の頻度、医学生を含めたSIDS認識度の調査などを行った。
結果と考察
生理学的、組織学的、遺伝子的検討によりSIDSの病態解明が期待された。組織バンクの構築にあたっては倫理的、法的問題に対する検討が必須であり、特に研究・検査の対象となる披験者および検体試料の尊厳に対する十分な配慮、個人に関する情報の保護などについての検討の必要性が認識された。
ALTEについては臨床現場での混乱が生じている可能性が示唆された。今後、定義の見直し等の必要性についての検討が必要である。生理学的検討から低出生体重児では呼吸が起こる可能性が示唆された。SIDSに対する理解については医療関係者をも含めた社会的啓発が必要と思われた。
結論
診断方法の統一とそれに基づいた組織バンク構築はSIDSの病態解明および予防法確立のための重要な課題である。

公開日・更新日

公開日
2009-09-17
更新日
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