子どもの心の診療に関する診療体制確保、専門的人材育成に関する研究

文献情報

文献番号
200822020A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもの心の診療に関する診療体制確保、専門的人材育成に関する研究
課題番号
H20-子ども・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
奥山 眞紀子(国立成育医療センター こころの診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 柳川 敏彦(和歌山県立医科大学 保健看護学部 小児科領域)
  • 山田 不二子(特定非営利活動法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク)
  • 市川 宏伸(東京都立梅ヶ丘病院)
  • 田中 康雄(北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター)
  • 北山 真次(神戸大学医学部附属病院親と子どもの診療部)
  • 齊藤 万比古(国立国際医療センター国府台病院児童精神科)
  • 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科発達行動小児科学)
  • 庄司 順一(日本子ども家庭総合研究所福祉心理学)
  • 杉山 登志郎(あいち小児保健医療総合センター)
  • 亀岡 智美(大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター)
  • 田中 英高(大阪医科大学小児科)
  • 齊藤 卓弥(日本医科大学精神科)
  • 青木 豊(相州メンタルクリニック中町診療所)
  • 原田 謙(信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部)
  • 本村 陽一(独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センター)
  • 藤原 武男(国立保健医療科学院生涯保健部行動科学室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
受診ニーズが増加している子どもの心の診療に関して、子どもやその家族が受診しやすい医療システムの在り方、各機関の連携の在り方、人材の育成方法、診療の標準化、それを支える情報システムの構築を目的として総合的な研究を行う。
研究方法
子どもの心の専門病院を受診している子どもの保護者に受療行動を中心に質問紙調査を行い、中間時点回収した2083件に関する分析を行った。連携に関しては、虐待、学校・福祉・警察、災害時の分野で研究を進めた。人材育成は実際に若手医師を対象に研修を行い成果を検討。虐待臨床、心身症、感情障害・自殺、乳幼児精神障害、行為障害に関する診療標準化に着手した。
結果と考察
受療行動に関しては、最初に相談するのは小児科や母子保健であり、症状に気づいた時に受診先を探すのに困難を感じていた。また、重症度に関しては保護者と医師では有意に医師が厳しく、受診して有意な改善を見ていた。日本で初めて行われた乳幼児揺さぶられ症候群の調査では、平成19年度の年間発生数が118件と推定された。連携のツールの必要性が示された。災害時保健では長期予後を考える必要が示された。数日間の講義は人材育成に有用であった。診療の標準化に関し、虐待に関してはその病理の深さから特別な配慮、特に自己制御が必要であることが明らかとなり、その方法が試行され、効果が示された。トラウマは医師が実際に行っている診療と文献的に効果が示されている診療では異なる結果であった。日本小児心身医学会が作成した起立性調節障害のガイドラインの有用性が示された。感情障害に関する診療のエビデンスが示され、18歳未満の自殺未遂患者の63%に精神科受診歴があり、78%が対人関係が自殺企図の契機になっていた。乳幼児精神医学の診断では広汎性発達障害とADHDを除くと、PTSDと愛着障害のみが妥当性と信頼性が示されているにすぎなかった。乳幼児期の親子関係の評価法としては、WMCIとClinical Problem Solving Procedureがすぐれていると考えられた。CD・ODDの治療法の詳細が示され、発達障害が基礎にある3名にソーシャルスキルトレーニングが施行された。多機能ホームページを立ち上げ、利用が開始された。
結論
本年度は初年度として非常に順調に研究がすすめられた。来年度には以下のことが明らかになることが期待できる。最終年度には各分野での提言と同時に全体としての提言を作成していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-09-15
更新日
-