文献情報
文献番号
200822016A
報告書区分
総括
研究課題名
不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究
課題番号
H20-子ども・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 滋(国立大学法人富山大学 大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 杉浦 真弓(名古屋市立大学 大学院医学研究科 産科婦人科学 (産科婦人科学教室))
- 杉 俊隆(東海大学 産婦人科学 (産科婦人科学教室) )
- 丸山 哲夫(慶應義塾大学 医学部 産婦人科学 (産科婦人科学教室))
- 田中 忠夫(東京慈恵会医科大学 成育・運動機能 病態・治療学 (産科婦人科学教室))
- 竹下 俊行(日本医科大学 産婦人科学 (産科婦人科学教室))
- 山田 秀人(北海道大学 病態制御学専攻 生殖・発達医学講座 産科・生殖医学 (産科婦人科学教室) )
- 小澤 伸晃(国立成育医療センター 生殖医学・臨床遺伝学 (周産期診療部不育診療科))
- 中塚 幹也(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 保健学 (ヘルスプロモーション科学教室))
- 木村 正(大阪大学 大学院医学系研究科 器官制御外科学 (産科学婦人科学教室))
- 藤井 知行(東京大学 医学部附属病院 産婦人科学 (女性診療科))
- 下屋 浩一郎(川崎医科大学 産婦人科学 (産科婦人科学教室))
- 山本 樹生(日本大学 医学部 産婦人科学系 産婦人科学 (産科婦人科学教室))
- 藤井 俊策(弘前大学大学院 医学研究科 産科婦人科学 (産科婦人科学教室) )
- 佐田 文宏(国立保健医療科学院社会疫学室 疫学公衆衛生学)
- 古川 壽亮(名古屋市立大学 大学院医学研究科 精神認知行動医学分野、認知行動療法 (精神認知行動医学教室))
- 康 東天(九州大学 臨床検査医学 (臨床検査医学教室))
- 早川 智(日本大学 医学部 病態病理学系微生物学 (病態病理学系微生物分野))
- 一瀬 白帝(山形大学 医学部 血液・循環分子病態学 (血液・循環分子病態学分野))
- 柳原 格(大阪府立母子保健総合医療センター 分子遺伝学 (免疫部門) )
- 秦 健一郎(国立成育医療センター 分子遺伝学 (周産期病態研究部))
- 森本 兼曩(大阪大学 大学院医学系研究科 社会環境医学 (社会環境医学教室))
- 勝山 博信(川崎医科大学 公衆衛生学 (公衆衛生学教室))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
妊娠は成立するが、流産や死産のため健児を得られない場合、不育症と診断される。妊娠はするが、何回も流産するため、妊娠を諦めるケースも稀でない。また、本邦における不育症の頻度、不育症のスクリーニング法、不育症の治療成績なども不十分である。そこで、本研究班では日本全国の不育症の専門医を中心としてグループを結成し、臨床的データベースを作製し、また精神科医師にも研究班に加わっていただき、不育症における精神的ケアをも含めた検討を開始した。また基礎的立場からも不育症、流産の病因、環境因子との関連性につき検討した。
研究方法
流産研究というバイアスのない一般市民を対象したアンケート調査を行ない流産の頻度を検討した。また。厚労省研究班員により前方視的に新規症例を登録し、不育症と関連するリスク要因の抽出と各種治療法による生児獲得率を明確にするデータベースを作製した。
研究開始にあたっては参加施設毎に倫理委員会の承諾を得、その上で各患者に研究の概要を説明し、充分な理解のもと同意を得た。
研究開始にあたっては参加施設毎に倫理委員会の承諾を得、その上で各患者に研究の概要を説明し、充分な理解のもと同意を得た。
結果と考察
1年間の成果で、不育症は妊娠歴のある婦人の6.1%(年間7.9万人の不育症カップルが生じている)存在し、「うつ」が大きな問題となっていることが明らかとなった。さらに染色体異常をもつカップルであっても十分に高い確率で生児を獲得することができることが判明した。また、抗リン脂質抗体の1つである抗PE抗体の陽性率が35.9%に認められ、抗PE抗体の意義、抗PE抗体が流産を引き起こす機序、ならびに抗PE抗体陽性例に対する治療成績につき調査する必要があることが判明した。
結論
本邦における不育症の頻度とリスク因子が明らかとなった。今後、不育症例に対する精神的サポートを充実すること、ならびに各種治療法に対する治療成績を明らかにする必要があることが判明した。
公開日・更新日
公開日
2009-10-01
更新日
-