本邦における先天異常モニタリングの構築と外的・環境因子サーベイランスに関する研究

文献情報

文献番号
200822013A
報告書区分
総括
研究課題名
本邦における先天異常モニタリングの構築と外的・環境因子サーベイランスに関する研究
課題番号
H19-子ども・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
平原 史樹(横浜市立大学 大学院医学研究科生殖生育病態医学(産婦人科学))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天異常発生要因の存在を疫学的観点から全国レベル(日本産婦人科医会)、地域(東海3県、神奈川県、石川県)において集計された先天異常症例の情報をもとに定点監視しその変動をさまざまな角度から科学的に解析検討することを目的とした.また2000年12月に厚生省より通知された葉酸による神経管閉鎖障害の発生リスク低減への情報提供に基づいた本邦における一般女性の葉酸摂取状況の環境を検討することを目的とした
研究方法
全国規模モニタリング,地区モニタリングによるデータ収集とその解析(科学的検証)をおこない,有害因子の監視体制を維持すると共に本邦における催奇形因子の分析を行った.さらに,近年急増する生殖補助医療の先天異常発生に及ぼす影響の解析も行った.また,葉酸の摂取状況と葉酸摂取推進情報提供の進捗状況の解析とその摂取推進活動の効果を検討した.
結果と考察
いずれのモニタリング集計においても先天異常児出産頻度は2%弱であり、心室中隔欠損が最も多く、ついで口唇・口蓋裂、ダウン症、水頭症などが高頻度発生異常であった。また神経管閉鎖障害の一つである二分脊椎は2004年を境に歩留まり傾向が見られた.一方,生殖医療は若干の先天異常発生状況に影響を及ぼしていることが判明した.妊婦の葉酸摂取推進に関する認識度は未だ十分改善されておらず,さらなる情報伝達方法の検討が必要と考えられた。

結論
重要な結果として現時点では特段の先天異常発生要因の検出結果は得られていない.
先天異常の誘因となる環境因子にはさまざまなものがあり,これらの有害因子を常時継時的に定点監視し,何らかの変動を早期に感知して、その変動を分析するシステム(先天異常モニタリング・サーベイランスシステム)の構築と維持は母児の健康保護,健康政策上極めて重要である.

公開日・更新日

公開日
2009-07-16
更新日
-