関節構成支持体(靱帯、半月板)損傷に対する細胞移植を必要としない組織再生と臨床応用の研究

文献情報

文献番号
200821076A
報告書区分
総括
研究課題名
関節構成支持体(靱帯、半月板)損傷に対する細胞移植を必要としない組織再生と臨床応用の研究
課題番号
H20-長寿・若手-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 祐介(大阪市立大学 大学院医学研究科 整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 脇谷 滋之(大阪市立大学 大学院医学研究科)
  • 高岡 邦夫(大阪市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、靭帯・半月板損傷に対して正常ではない代替物での再建や切除が多く見られ、より正常に類似した機能と組織学的修復、再建が必要と考えられる。この研究では新しい生理的再建を目指して、細胞移植ではなくサイトカインのBMPを用いた新しい靭帯再建術と半月板再建術の確立を目的とした。
研究方法
1,骨靱帯結合部の自家移植材の作成技術の確立
白色家兎のアキレス腱に対してrhBMP-2(0,15,30,60μg)を2箇所に注入した。3-0ナイロンで4箇所結紮しBMPが漏れないように工夫した。注入後経時的に術後3,4,6週でレントゲン撮影を行った。
アキレス腱に作成したBone-Tendon-Bone自家移植材料を使用して前十字再建術を行った。
2,半腱様筋腱内での腱内軟骨化モデルの作成と半月板再建術の確立
半腱様筋腱に対してrhBMPを注入し、移植後1,2,3週ごとに半腱様筋腱を採取、腱のレントゲン、組織を観察した。至適な条件にて半月板再建術を行い、術後1,2ヶ月のレントゲン、組織を評価した。

結果と考察
1,BMP注入後3週から骨化が見られ6週で十分な骨化が確認でき、30ug群において最適な骨形成であった。よって上記の条件にて前十字靭帯再建術行った。しかし再建術中においてアキレス腱に作成したBone-Tendon-Bone自家移植材料はウサギ膝前十字靭帯よりも相当太いため、半腱様筋腱に対してアキレス腱と同様にナイロン結紮後rhBMP-2を2箇所15,30ugずつ注入したところ、6週の15ugで良好な骨形成があり、移植材料として最適な大きさであった。よって半腱様筋腱にrhBMPを注入、再生Bone-Tendon-Boneを作成し、これを用いた前十字靭帯再建術を試行している。
2,半腱様筋腱にBMPを注入することによって術後10日で軟骨細胞と軟骨基質が出現し、半月板移植に最適な条件と考えられた。これを利用して2期的半月板再建術を行った。しかし再建術後に高率に半月板内に骨化が見られたため、低酸素環境下である関節内でBMPを作用させる1期的手術(腱にBMPを注入直後に半月板再建材料として用いる)を計画し、実施している。
結論
1,腱に予定した骨化部分にナイロン結紮することにより、位置制御が可能となった。
アキレス腱より半腱様筋腱の方がよりウサギ前十字靭帯再建術の移植腱として有用と考えられた。
2,rhBMPを注入することで関節外に軟骨化腱を誘導できた。
それを移植材料として半月板再建とする2期的手術を行ったが、骨化まで誘導されたため移植腱に直接BMPを注入する1期的再建術を選択し検証する予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-