摂食・嚥下障害の機能改善のための補助具に関する総合的な研究

文献情報

文献番号
200821065A
報告書区分
総括
研究課題名
摂食・嚥下障害の機能改善のための補助具に関する総合的な研究
課題番号
H20-長寿・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
植田 耕一郎(日本大学歯学部 摂食機能療法学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 向井 美惠(昭和大学歯学部 口腔衛生学講座 口腔衛生学)
  • 森田 学(岡山大学 医歯薬学総合研究科 口腔保健学)
  • 菊谷 武(日本歯科大学 生命歯学部 口腔介護リハビリテーションセンター 高齢者歯科学)
  • 相田 潤(東北大学大学院 歯学研究科 国際歯科保健学分野 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、摂食・嚥下障害の機能改善を目的とした義歯型の補助具が、舌・頬・口唇の動きの補助、安定した咬合位の確保等のために使用されている。しかし、本装置の臨床体系は構築されておらず、術者の個人的な臨床判断と手技に委ねられ、客観的な評価法、効果判定法は確立されていない。そこで、義歯型の補助具の使用状況等の実態把握、本装置の有効性の評価、使用に関する基準、プロトコールの作成を目的として臨床機関に対して調査研究を行う。
研究方法
1年目:本装置の使用にあたって、医療施設等での実態把握をった。歯科診療所3000か所、歯科大学病院29か所、歯科系臨床科のある病院500か所、その他特別養護老人ホーム、老人保健施設を対象に、調査票を作成し現在実施されている摂食・嚥下障害への補助装置の応用把握(適応方法、応用頻度)および普及性について調査を行う。
2年目:1年目の調査により、現在「摂食・嚥下機能改善義歯型装置(仮称)」を臨床応用している医療機関を対象に、適応症(診断)、有効性(治癒率など)について調査研究を行う。
3年目:診断、評価、効果判定の検討を行い、本装置使用、作成にあたってのガイドラインを作成する。
結果と考察
作成されている補助具、および必要だが作成されていない補助具の総数の推計値は、年間16,295例
あり、ニーズの高さが示された。ホッツ床、スピーチエイドに関しては、唇顎口蓋裂などによる利用も考えられ、摂食嚥下障害における利用との区別が今後必要であろう。推計値として、歯科外来患者に占める、補助具利用者の割合を算出したところ、補助具が必要な患者は、歯科外来患者全体の0.005%と推計された。歯科診療所での作成が可能となるような対応策が必要であろう。
結論
補助具の適応患者の有無について、病院全体では、「全くいない」53.1%(85か所)が半数を占めているが、「年間10例未満いる」33.1%(53か所)、「年間10例以上いる」7.5%(12か所)と、補助具の対象となる患者が4割程潜在していることがうかがえた。歯科診療所全体では、「全くいない」88.1%(1,263か所)が8割を占めていた。作成されない理由としては、病院では「費用弁償がないので作成できない」37.3%、「補助具に関心がない」17.3%となっており、歯科診療所でもほぼ同じ傾向であった。必要性があっても要望として挙がらない、実施されないといった実態について、今後普及に向けての取り組みが期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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