介護情報を活用した脳卒中治療連携体制が運動機能障害予防に及ぼす影響に関する大規模研究

文献情報

文献番号
200821058A
報告書区分
総括
研究課題名
介護情報を活用した脳卒中治療連携体制が運動機能障害予防に及ぼす影響に関する大規模研究
課題番号
H19-長寿・一般-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小川 彰(岩手医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 明((財)結核予防会 第一健康相談所)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 寺山 靖夫(岩手医科大学医学部内科学講座神経内科・老年科分野)
  • 安村 誠司(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座)
  • 中村 元行(岩手医科大学医学部内科学講座循環器・腎・内分泌分野)
  • 小笠原邦昭(岩手医科大学医学部脳神経外科学講座)
  • 岩渕 良昭(岩手県保健福祉部)
  • 高橋 明(いわてリハビリテーションセンター)
  • 阿部 裕行(岩手県環境保健研究センター)
  • 吉田 雄樹(岩手医科大学医学部救急医学講座)
  • 小野田敏行(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 板井 一好(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 大澤 正樹(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 丹野 高三(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
17,430,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、脳卒中の治療体制にリハビリテーションの連携が有る地域と無い地域について、脳卒中発症に伴う死亡、入院期間及び介護状態などの予後に及ぼす影響を観察するとともに、岩手県とともにリハビリテーション体制の整備を行い、要介護状態などの長期予後への改善効果を明らかにすることにある。
研究方法
研究対象者は、研究地区では岩手県立二戸病院と岩手県立久慈病院に、比較地区では岩手県立中央病院、盛岡日赤病院、岩手医科大学付属病院に脳卒中を発症して入院した者で、同意の得られた者を登録して追跡対象者とした。登録作業にあたっては、脳卒中発症に伴って新規に入院した患者について、主治医から同意取得のための研究の説明が可能か否かの判断を待って、可能な患者にリサーチナースが研究の説明を行って同意を取得した。追跡調査のエンドポイントは死亡および要介護の有無とした。死亡に関する情報は対象病院における診療録閲覧と住民票(徐票)請求によって確認し、要介護の有無は対象地区の自治体が所有する介護認定情報と照合することにより確認した。
結果と考察
平成20年12月現在の登録状況は、研究地区で登録対象患者1,288人に対して654人の同意が得られ(同意率53.3%)た。同意者の脳卒中病型別内訳(同意率、%)は、脳梗塞が450人(68.8%)、脳出血が178人(27.2%)、くも膜下出血が26人(4.0%)であった。比較地区の登録状況は登録対象患者1072人に対して836人の同意が得られた(同意率78.0%)。同意者の脳卒中病型別内訳(同意率、%)は、脳梗塞が555人(66.4%)、脳出血が213人(25.5%)、くも膜下出血が68人(8.1%)であった。研究地区において、研究参加に同意の得られた男性173人、女性138人、計311人(平均年齢71.2歳)について追跡調査を実施した。平均観察期間12.5ヶ月で23人が死亡しており、死亡率は5.9(対1000人月)であった。また、介護認定を受けた者は平均観察期間6.5ヶ月で、要支援以上が165人(1000人月あたりの認定率81.0)であった。要介護認定の内訳は、要支援が20%、要介護1と2が19%で要介護3以上が61%であった。
結論
これまでに、脳卒中体制にリハビリテーションの連携が有るか無いかで要介護をエンドポイントして予後の解析評価する研究は国内外を問わず皆無である。今後実施する追跡調査の成果を評価して、行政と基幹病院が協同して改善方策を検討・実行し、脳卒中発症に伴う運動機能障害・要介護の効果的な行政対策の樹立を目指す。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
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