認知症予防のための心理社会面に着目した包括的支援に関する研究

文献情報

文献番号
200821055A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症予防のための心理社会面に着目した包括的支援に関する研究
課題番号
H19-長寿・一般-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
竹田 徳則(星城大学 リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 平井 寛(日本福祉大学 地域ケア研究推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,愛知県武豊町において心理社会面に着目した介護予防・認知症予防のためのポピュレーション戦略による「憩いのサロン」事業を試みその効果と課題を明らかにする.
研究方法
本研究の介入仮説として,サロンへの参加は,心理社会面では喜びや楽しみと知的活動量の増加,知り合いの増加と社会的サポートの拡充が期待でき,地域では住民間の交流増加が図られる.これらは絡み合って,認知症予防を含む健康寿命延伸へとつながっていく.仮説通りの期待される最終成果が得られるとすれば,その前にサロン参加者の心理社会面における変化が観察されるはずである.
分析対象は,①2007年5~6月のサロン開始時とサロン開始8ヶ月後の2回とも評価を受けたボランティア40名と一般参加者33名である.②サロン参加者と非参加者との比較には,これまでの武豊町住民で要介護状態にない65歳以上対象の悉皆調査データを用いた.1回目回答が2006年7月2,795名(回収率48.5%),2回目が2008年2月3,667名(回収率56.0%)であった.
結果と考察
その結果,①サロン参加者における2時点間の変化として,ボランティアでは,介入前後でおしゃべり相手(60.0%→87.5%,p<0.01),人の役に立っている(57.9%→82.5%,p<0.01),参加者では,おしゃべり相手(42.4%→90.9%,p<0.001),何かに一緒に取り組む相手(35.5%→69.7%,p<0.01),人の役にたっている(45.5%→69.7%,p<0.05)の各増加,双方ともに情緒的・情報的各サポートの受領と提供が増えたが約7割などであった.②サロン参加者と非参加者との2時点間の比較では,1,734名(サロン参加者187名,非参加者1,547名)に関して,外出頻度が増えたが参加者59.3%対非参加者56.8%,趣味「なし」が「あり」へは,6.3%対4.2%,友人と会う頻度増加が49.2%対47.9%,主観的健康感が不良から良好が32.6%対25.6%,うつなしが48.6%対46.3%で主観的健康感の高まりが非参加者に比べて参加者において高かった.
結論
介護予防・認知症予防のための心理社会面に着目したサロンによる介入後中間評価結果として,認知症予防に良いとされる心理社会面で期待された変化が見られることが示された.

公開日・更新日

公開日
2009-04-22
更新日
-