アルツハイマー病発症と進展の客観的評価法確立のための多施設縦断臨床研究:J-ADNIコアスタディ

文献情報

文献番号
200821053A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病発症と進展の客観的評価法確立のための多施設縦断臨床研究:J-ADNIコアスタディ
課題番号
H19-長寿・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岩坪 威(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学・臨床医学系・精神医学)
  • 荒井啓行(東北大学・加齢医学研究所)
  • 山田正仁(金沢大学・医学部・神経内科)
  • 松田博史(埼玉医科大学・核医学)
  • 佐藤典子(国立精神神経センター・放射線診療部)
  • 伊藤健吾(国立長寿医療センター研究所・長寿脳科学研究部)
  • 桑野良三(新潟大学脳研究所バイオリソース研究部門)
  • 杉下守弘(新潟リハビリテーション大学院大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
19,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、アルツハイマー病(AD)の根本治療薬創出を最終的な目的とし、臨床治験において薬効評価のマーカーとなる客観的指標として、MRIによる脳容積測定、PETによる脳機能画像、体液バイオマーカー測定の意義を確立するために施行するJ-ADNI臨床研究の基盤を整備し、臨床研究の推進を保証することを目的として行うものである。
研究方法
臨床コアの朝田は利根町コホートにおいて、MRI白質病変と皮質萎縮の関係について検討を行った。同・荒井は東北大学をモデル臨床施設とし、全例に髄液検査、アミロイドPETを含むcompleteなADNI研究を施行した。杉下はADAS-Cog, CDRなど繁用される認知機能検査を改訂し、米国版と比較可能な完全な邦訳を作出するとともにテスターの認証を実行した。山田はMRI白質病変と認知機能の関係を検討した。桑野はADおよびコントロール被験者血漿中のアミロイドβELISA測定の問題点につき検討を加えた。松田はMRIによる脳撮像のゆがみ補正法につき検討した。伊藤は多施設PET研究における標準化撮像体制について検討した。佐藤は画像・臨床データを集積するデータベースを設立し運用した。
結果と考察
本年度はNEDO橋渡し研究J-ADNIグローバルスタディとの連携体制のもと、全国36臨床施設からなる臨床研究を開始し、平成21年3月末までに100例のエントリーを完了した。朝田らはMRIによる皮質下白質の変化が皮質容積に影響を与えることを明らかにしたが、一方山田らは、皮質下白質変化は、必ずしも認知機能に影響を与える訳ではないことを示した。荒井らは東北大学サイトにおいて髄液検査、アミロイドPETを含むフルスペクトラムのADNI研究を先導的に行い、実行上の問題点と解決の方策を提示した。桑野らは血漿バイオマーカーとしてのアミロイドβ測定の方法論を検証した。松田ら、伊藤らはそれぞれMRI、PET撮像の品質管理と解析法を標準化し、全国臨床研究のサポートを行った。佐藤らは大規模データベースをセットアップし、運用基盤を確立した。そして杉下らによる臨床心理学検査バッテリーの邦訳版確立がCDR, ADAS-Cogを含めて完了し、J-ADNI臨床研究開始のための基盤が確立され、円滑な開始につながった。
結論
画像・体液バイオマーカーを駆使したADの進行度マーカーを確立するJ-ADNI研究が本邦においていよいよ開始され、本コア研究による基盤整備が大きな役割を果たした。

公開日・更新日

公開日
2009-05-20
更新日
-