認知症の包括的ケア提供体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200821052A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の包括的ケア提供体制の確立に関する研究
課題番号
H19-長寿・一般-023
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 信夫(独立行政法人労働者健康福祉機構 関東労災病院)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学)
  • 植木 彰(自治医科大学)
  • 小長谷陽子(認知症介護研修・研究大府センター)
  • 荒井啓行(東北大学)
  • 鳥羽研二(杏林大学)
  • 鷲見幸彦(国立長寿医療センター)
  • 武田雅俊(大阪大学)
  • 服部英幸(国立長寿医療センター)
  • 遠藤英俊(国立長寿医療センター)
  • 荒井由美子(国立長寿医療センター)
  • 長谷川友紀(東邦大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在約190万人とされ今後の急増が予測される認知症のケアに対する包括的かつ実効的な対策を確立する。今後認知症に対する治療と介護の負担は質量ともに多大となると危惧されており、その対策は日本の認知症研究の英知を集め十分な研究計画にもとづく、実効性の高いものとしなければならない。平成18年度に実施したプロジェクト型研究によって明らかとなった認知症ケアに関する問題点をふまえ、本研究では全国での実施を見据えたパイロット研究をスタートする。認知症を専門とする各施設が認知症のケアという観点から結集し、それぞれの施設の特性をいかした研究を進めると同時に、いくつかの施設をあつめて調査を行うという点がユニークであり、他に類似の研究はない。
研究方法
―認知症対策の社会的ニーズに関する研究―
社会の高齢化とともに認知症が増加しており、その介護負担は大きな社会問題となっている。実際に認知症患者の介護を経験した(している)介護者に対し、介護負担に関する介護の実態を調査し、よりよい認知症ケアの体制を確立するための基礎的な資料とすることを目的としている。具体的には東北大学、筑波大学、国立長寿医療センター、大阪大学のもの忘れ外来に通院中の患者家族に対してアンケート調査を行った後、東邦大学において解析を行う。
結果と考察
認知症に対する医療機関の選択について検討した。認知症の医療を専門に提供している医療機関を受診するまでには、4割の回答者が苦労していることが判明し、医療機関選択が困難であることが推察された。認知症専門外来の確立、かかりつけ医の役割強化、患者が必要としている医療機関選択に関する情報を整理するとともに、情報提供のあり方の検討が必要である。特に、認知症に関しては患者も介護者も高齢であることを考慮し、インターネットを基盤とした情報提供だけでなく、近所の口コミを十分に活用した区報や回覧板等を用いた情報提供の整備も必要と提案した。
結論
今回の研究により現在認知症の現場で認知症ケアにかかわっている多様なニーズが明らかとなった。個別研究では予防的研究では実際の現場での運動、食事指導の推進、生活習慣病対策による発症予防指導、治療的介入では、身体合併症、心理行動症状へ対応できる地域ネットワークの構築とより完成された非薬物的介入の方法論の確立があげられる。また認知症終末期の問題はこれからも検討を継続する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-22
更新日
-