社会経済的格差と高齢者の健康、生活習慣、医療介護資源利用に関する検討

文献情報

文献番号
200821046A
報告書区分
総括
研究課題名
社会経済的格差と高齢者の健康、生活習慣、医療介護資源利用に関する検討
課題番号
H19-長寿・一般-017
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 野口 晴子(国立社会保障人口問題研究所  社会保障基礎理論研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業は、所得格差が大きく、また医療・介護の資源消費量が大きい高齢者層と、その前段階にある中年齢層に着目し、社会経済資源の状況と生活習慣・健康状態、そして介護医療サービスの利用の関係を明らかにすることを目的とする3年計画の事業である。初年度は所得・教育・就労などの社会経済的状況と身体・認知機能や生活習慣との格差の関連を検討した。2年度となる平成20年度は、医療・介護サービスの給付データを用いて、社会経済的資源により医療介護需要にどう影響しているのかを実証的に明らかにすることとした。
研究方法
先行する既存社会経済研究(「暮らしと健康」調査 一橋大学経済研究所・経済産業研究所による)で測定された所得・家族構成等の社会経済情報について共同研究として情報提供を受け、同調査のサンプリングフレームで追加測定した身体機能・認知機能・生活習慣などの情報に加え、対象者のうち国民健康保険加入者については、本人の承諾を得て、当該地点の自治体保険者から給付情報の無記名化データの提供を受けた。これらを統合して社会経済的状況と健康状態、生活習慣ごとに医療給付情報や対象者の自己申告から得られた医療サービスの需給の状況について比較分析を行った。
結果と考察
対象者のうち国民健康保険加入者は58% で、その8割から給付情報の参照について承諾を得た。 年齢が高いもので入院受療率・入院診療費とも低く、逆に外来受療率は高い傾向が見られた。脳心血管系疾患と悪性腫瘍が入院受療率や入院診療費に関与し、高血圧・高脂血症・関節疾患などが外来受療率や診療費に関連していた。地域によって診療所などへのアクセスが比較的限られている市町村では、有意に入院受療率が高く、逆に外来受療率は低く認められた。世帯所得・学歴については受療率・診療費ともに有意な関連を認めなかったが、傾向としては低所得者で入院・外来診療費は低く、義務教育以下のもので受療オッズが低い傾向が見られた。生活習慣については運動習慣のあるもので入院受療率が有意に低いほか、一定の傾向は認めがたかった。
結論
今回は横断的な検討に過ぎず、最終年度である次年度に追跡調査の結果が得られることから、縦断データを用いて、因果関係を明確にしつつ、高齢者の医療・介護資源の利用について検討を深める予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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