超音波を用いた非侵襲膝関節軟骨3次元定量診断装置の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200821036A
報告書区分
総括
研究課題名
超音波を用いた非侵襲膝関節軟骨3次元定量診断装置の開発に関する研究
課題番号
H19-長寿・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中村 耕三(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
  • 大西 五三男(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科 )
  • 星 和人(東京大学・医学部附属病院・ティッシュエンジニアリング部)
  • 土肥 健純(東京大学・情報理工学系研究科)
  • 中島 義和(東京大学・大学院工学系研究科インテリジェントモデリングラボラトリー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
14,940,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目標は、外来診療の現場で変形性関節症の重傷度を非侵襲的に定量診断を行うことができる関節軟骨用超音波診断装置を開発することである。昨年度行った、評価対象として考えているヒト大腿骨内側顆部の形状評価、超音波プローブの関節軟骨に対する至適相対角度・位置の評価に関する研究を基に、最適化した機器開発を行った。さらに、実際に軟骨画像を取得し、 超音波B-mode画像による関節軟骨三次元的定量値の精度評価を目的として研究を行った。
研究方法
2007年度の研究結果(大腿骨内側顆部の曲率半径は約30mm?40mm、超音波プローブの関節軟骨に対する傾斜至適許容範囲・焦点からの深達方向への距離のずれの至適許容範囲がそれぞれ0°?20°、±0mm?20mm)をもとに、大腿骨内側顆部関節軟骨撮像に最適化した機器開発(超音波プローブスキャナーの作成、円弧状スキャンによる超音波断層画像の収集、収集画像から軟骨部の抽出と3Dデータの構築)を行った。精度評価として、開発した機器を使用し、ボランティアにおいて超音波B-mode画像を用いて膝関節軟骨を撮像し三次元的に関節軟骨厚を測定、臨床用MRIを用いた評価値との比較検討を行った。
結果と考察
汎用超音波診断装置のメカニカル3Dスキャン機能をベースにし,超音波プローブの走査角度を回転型エンコーダから得て,これを超音波診断装置に渡すことにより膝軟骨の断層画像が収集できることが確認できた。複数の膝軟骨断層画像を収集後、各断層画像上の膝軟骨部分のみを抽出後,フレーム補間することにより膝軟骨の3D画像を構築して表示できることが可能であった。三次元的関節軟骨厚は、超音波画像による値とMRI画像による値の間に有意な相関があり、超音波による関節軟骨厚測定は精度が高いと考えられた。
結論
2007年度の研究結果をもとに、プローブスキャナーを開発し、臨床用B-modeリニアプローブ、汎用超音波機器を用いて、大腿骨内側顆部関節軟骨の撮像を行った。MRIとの比較によって精度検証を行い、有用性が示唆された。今後、基礎研究の結果等を基に、撮像条件の最適化や画像処理アルゴリズムの開発・自動化などを進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-