高齢者の終末期医療・ケアの地域連携モデルの構築と終末期ガイドライン作成

文献情報

文献番号
200821028A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の終末期医療・ケアの地域連携モデルの構築と終末期ガイドライン作成
課題番号
H18-長寿・一般-041
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 久幸(国立長寿医療センター 外来総合診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 一光(国立長寿医療センター )
  • 山本 楯(山本医院 )
  • 林 尚子(国立長寿医療センター)
  • 井上 豊子(介護老人保健施設 ルミナス大府)
  • 畑 恒土(医療法人 あいち診療会)
  • 丸口 ミサエ(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
申請者らのこれまでの高齢者死亡症例の実態調査では、高齢者終末期では自己決定能力がない症例に対して判断のよりどころなく苦悩している現場の医師の状況が明らかであった。このためH18.19年度本研究で患者の意思決定を事前に把握する試みとして、「事前指示書」を作成し、倫理委員会承認を経てH19年5月から国立長寿医療センターにおいてこの取得を開始した。また、施設や地域における問題点に関する調査を並行し行った。これらのより実践的内容を踏まえ、H20年度は国立長寿医療センター内での使用に耐えうる、高齢者終末期ガイドラインの作成を試みた。
研究方法
本研究班全体では、国立長寿医療センター内での使用に耐えうる、高齢者終末期ガイドラインの作成を試みた。分担研究では、高齢肺癌患者の在宅での看取りの評価、在宅での終末期の実態把握、介護施設の現状調査、山間へき地におけるがん患者の緩和ケアおよびがん性疼痛緩和の現状調査、在宅の診療所・訪問看護ステーションの臨時コールの現状調査と検討を行った。
(倫理面での配慮)
本研究により作成された終末期事前指示書の開始にあたっては国立長寿医療センターの倫理委員会に提出し承認を得ている(承認番号301)。個人情報に関しては、臨床研究に関する倫理指針に則り管理する。
結果と考察
本研究により作成された事前指示書「私の医療に対する希望(終末期になった時)」は、H19年5月に国立長寿医療センターで開始され、現在まで94名の方が提出している。この有用性については今後検討されるが、各地域で、事前指示書の実際の運用に関する研修が行われるなど、事前指示書使用についての関心が高まっている。また、高齢者の終末期医療の問題点は意思決定のプロセスのみではなく、例えば在宅や僻地医療における体制の問題点など多岐にわたることが明らかであった。本研究班はこれらの問題点をまとめ現在終末期ガイドライン素案につき個々の項目ごとの検討を続けている。今後パブリックコメントを通じ、完成させる計画である。
結論
本研究では高齢者終末期ガイドラインの作成と国立長寿センターを地域の基幹病院とする終末期の地域連携の確立を目的とした。H20年度は国立長寿医療センターでの終末期事前指示書の取得をさらに進めるとともに、各班員が高齢者終末期医療における問題点の抽出を行い、今後パブリックコメントを通じ、完成させる計画である。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200821028B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の終末期医療・ケアの地域連携モデルの構築と終末期ガイドライン作成
課題番号
H18-長寿・一般-041
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 久幸(国立長寿医療センター 外来総合診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 一光(国立長寿医療センター)
  • 山本 楯(山本医院)
  • 林 尚子(国立長寿医療センター)
  • 井上 豊子(介護老人保健施設 ルミナス大府)
  • 畑 恒土(医療法人 あいち診療会)
  • 丸口 ミサエ(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
申請者らのこれまでの高齢者死亡症例の実態調査では、高齢者終末期では自己決定能力がない症例に対して判断のよりどころなく苦悩している現場の医師の状況が明らかであった。このため本研究では患者の意思決定を事前に把握する試みとして、「事前指示書」を作成し、倫理委員会承認を経てH19年5月から国立長寿医療センターにおいてこの取得を開始した。また、施設や地域における問題点に関する調査を並行し行った。これらのより実践的内容を踏まえ、H20年度は国立長寿医療センター内での使用に耐えうる、高齢者終末期ガイドラインの作成を試みた。
研究方法
本研究班全体では国立長寿医療センター内での使用に耐えうる、高齢者終末期ガイドラインの作成を試みた。分担研究では、高齢者終末期の疾患・病態別の特性の調査、高齢者の慢性呼吸器疾患のターミナルケアに関しての検討、在宅ターミナルの現状評価、高齢者の終末看護・介護と家族支援についての検討、グループホームでの終末期ケアの可能性についての検討、僻地医療における高齢がん患者の終末期ケアの問題点につきそれぞれ検討した。
(倫理面での配慮)
本研究により作成された終末期事前指示書の開始にあたっては国立長寿医療センターの倫理委員会に提出し承認を得ている(承認番号301)。個人情報に関しては、臨床研究に関する倫理指針に則り管理する。
結果と考察
本研究により作成された事前指示書「私の医療に対する希望(終末期になった時)」は、H19年5月に国立長寿医療センターで開始され、現在まで94名の方が提出し、今後有用性評価を行う。また、高齢者の終末期医療の問題点は意思決定のプロセスのみではなく、在宅や僻地医療における体制の問題点など多岐にわたることが明らかであった。本研究班はこれらの問題点をまとめ現在終末期ガイドライン素案につき個々の項目ごとの検討を続けている。今後パブリックコメントを通じ、完成させる計画である。
結論
本研究では高齢者終末期ガイドラインの作成と国立長寿センターを地域の基幹病院とする終末期の地域連携の確立を目的とした。これまで本研究班で進めてきた国立長寿医療センターでの終末期事前指示書の取得にかかわる考察や各班員が高齢者終末期医療における問題点の抽出を行い、高齢者終末期ガイドライン作成の基礎資料とした。本研究班は今後パブリックコメントを通じ、終末期ガイドライン完成させる計画である。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821028C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国立長寿医療センター病院における入院患者と救急外来患者での死亡例について調査した。具体的には、個々の診療録からレトロスペクティブに、事前指示の有無、救命処置の実施、
医療を継続した場合での蘇生の有無等につき、症例ごとに時系列で医療判断を記録し、評価した。また、病院内及び施設での施用に耐えうる事前指示書を作成した。並行し、介護・福祉施設への終末期ケアに関するアンケート調査をもとに各施設での問題点の抽出を行った。また、在宅医療の現場における法的、倫理的問題点と医療の現場の問題点の抽出を行った。
臨床的観点からの成果
本研究により作成された事前指示書「私の医療に対する希望(終末期になった時)」は、H19年5月に国立長寿医療センターで開始され、現在まで94名の方が提出している。この有用性については今後検討されるが、H19年10月に国立病院機構国中国・四国ブロックの23病院の倫理担当者に対して、事前指示書の実際の運用に関する研修が行われるなど、事前指示書使用についての関心が高まっている。今後臨床の現場における、高齢者本人の意思確認のモデルとなり得る。
ガイドライン等の開発
本研究により独自に作成された終末期の事前指示書「私の医療に対する希望(終末期になった時)」は、H19年5月に国立長寿医療センターで開始され、現在まで94名の方が提出している。この有用性については今後検討されるが、その後、国立病院機構の病院の倫理担当者に対して、事前指示書の実際の運用に関する研修等が行われ、使用についての関心が高まっている。本研究班はこれらの問題点をまとめ現在終末期ガイドライン素案につき個々の項目ごとの検討を続けている。今後パブリックコメントを通じ、完成させる計画である。
その他行政的観点からの成果
本研究班はこれらの問題点をまとめ現在終末期ガイドライン素案につき個々の項目ごとの検討を続けているが、この内容に、患者の意思尊重、チームでの医療決定等重要な要件が示されたが、「終末期」の定義、治療の縮小・中止の要件、「家族」の規定など懸案軸を含んでおり、今後の標準的指針となり得る。
その他のインパクト
本研究により独自に作成された終末期の事前指示書「私の医療に対する希望(終末期になった時)」は、NHK、日本テレビ、毎日新聞など多くのメディアで取り上げられた。また、本研究班の研究内容をH20年12月20日に長寿科学振興財団の後援で「これからの高齢者の終末期医療を考える」という長寿科学総合研究・研究成果発表会兼市民公開講座にて発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
・高齢者は何処へ行くのか4.高齢者終末期医療と倫理  ・高齢者の終末期医療―倫理ジレンマを乗り越えるために― ・特集:高齢者に有終の美をー終末期ケアと緩和ケア 施設別に診た終末期ケアの現状と課題
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
・「終末期医療」センター医師,診療所医師,介護施設・看護師の立場から ・通院中の高齢患者に対する終末期の事前指示書取得の試み ・高齢呼吸不全患者の終末期における人工呼吸器治療のありかた 等
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-