大都市圏脳卒中診療連携体制の構築-ニーズと資源のマッチング用データベースを用いたリハビリテーション医療連携システムの開発と効果の実証

文献情報

文献番号
200821027A
報告書区分
総括
研究課題名
大都市圏脳卒中診療連携体制の構築-ニーズと資源のマッチング用データベースを用いたリハビリテーション医療連携システムの開発と効果の実証
課題番号
H18-長寿・一般-039
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
里宇 明元(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木則宏(慶應義塾大学医学部 神経内科学教室)
  • 塩川芳昭(杏林大学医学部 脳神経外科学)
  • 武林 亨(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 岡島康友(杏林大学医学部 リハビリテーション医学)
  • 長谷公隆(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
  • 藤谷順子(国立国際医療センター リハビリテーション科)
  • 小林一成(東京慈恵会医科大学第三病院 リハビリテーション科)
  • 水間正澄(昭和大学医学部 リハビリテーション医学診療科)
  • 田中清和(JR東京総合病院 リハビリテーション科)
  • 水野勝広(独立行政法人国立病院機構村山医療センター リハビリテーション科)
  • 新藤恵一郎(東京都リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
  • 安藤高朗(医療法人永生会永生病院 内科)
  • 飯田達能(医療法人永生会永生病院 内科)
  • 尾花正義(財団法人東京都保健医療公社 荏原病院 リハビリテーション科)
  • 鴨下 博(財団法人東京都保健公社 多摩北部医療センター リハビリテーション科)
  • 辻 哲也(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
  • 中島英樹(都立豊島病院 リハビリテーション科)
  • 河面吉彦(河北リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
  • 亀谷智恵子(財団法人 世田谷区保健センター 相談訓練課)
  • 山藤里美(セコム医療システム株式会社 訪問看護ステーション 看護部)
  • 森 英二(医療法人社団涓泉会 山王リハビリテーションクリニック)
  • 牛場潤一(慶應義塾大学理工学部 生命情報学科)
  • 野村憲弘(野村法律事務所)
  • 吉永勝訓(千葉県千葉リハビリテーションセンター)
  • 高木博史(埼玉県総合リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来、実効性のある脳卒中診療連携が確立していなかった大都市圏において、診療実態と連携構築上の阻害要因の分析およびITを活用したニーズと資源のマッチングシステムの開発を通して、急性期からの一貫したリハ医療提供体制を実現する。
研究方法
1.制度の動向:診療報酬改定後の脳卒中診療の変化、連携パスの動向を分析する。
2.実態調査:診療実態を急性期、回復期、維持期各施設で調査する。
3.リハナビ東京の構築と効果の検証:試験運用を通してより実用性の高いシステムへ改良し、診療連携支援システム「リハナビ東京」を完成させる。医療者に対し、使用感、連携上の有用性、改善点等についてアンケートを行うとともに、市民公開講座でリハナビ東京をデモした後にアンケートを実施する。さらに、導入効果を臨床指標(在院日数、ADL改善度、在宅復帰率、転院までの日数、スタッフ・利用者満足度)の前後比較により検証する。

結果と考察
1.制度の動向:平成20年度診療報酬改定後の脳卒中診療の変化、連携パスをめぐる動向が明らかになった。
2.実態調査:急性期、回復期、維持期における診療実態が明らかとなり、現状把握に役立った。
3.リハナビ東京の構築と効果の検証:「リハナビ東京」が完成し、急性期側は、1)患者条件に合った施設の検索、2)回復期の施設情報、空床情報の検索、3)メール、チャットによる回復期側との情報交換が可能になり、回復期側は、1)転院待ち患者情報の検索、2)受け入れ意思の表明、3)ベッド管理への活用が可能になった。
 医療者アンケート(20名)では、概ね良いという評価であったが、ユーザーインターフェースの改良、施設データベース拡充の必要性が明らかになった。市民アンケート(191名)では、リハナビ東京が必要91.1%、利用を希望90.5%と肯定的評価が多かったが、多くの自由意見が記載され、その分析を通しシステムの改良に役立てていく予定である。導入効果については、中間解析結果を報告した。
 以上、ITを活用した広域的リハ診療連携体制構築の基盤が整備されたが、今後、1)システムの実用性の向上、2)事業化の推進、3)広報・普及活動の強化、4)機能の拡張(維持期への拡大、他地域への展開、市民・患者版への展開)を行う必要がある。

結論
ITを活用したリハ診療連携体制構築の基盤が整備された。今後、システムの普及と継続的運営体制の整備を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200821027B
報告書区分
総合
研究課題名
大都市圏脳卒中診療連携体制の構築-ニーズと資源のマッチング用データベースを用いたリハビリテーション医療連携システムの開発と効果の実証
課題番号
H18-長寿・一般-039
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
里宇 明元(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木則宏(慶應義塾大学医学部 神経内科学教室)
  • 塩川芳昭(杏林大学医学部 脳神経外科学)
  • 武林 亨(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 岡島康友(杏林大学医学部 リハビリテーション医学)
  • 長谷公隆(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
  • 藤谷順子(国立国際医療センター リハビリテーション科)
  • 小林一成(東京慈恵会医科大学第三病院 リハビリテーション科)
  • 水間正澄(昭和大学医学部 リハビリテーション医学診療科)
  • 田中清和(JR東京総合病院 リハビリテーション科)
  • 水野勝広(独立行政法人国立病院機構村山医療センター リハビリテーション科)
  • 新藤恵一郎(東京都リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
  • 安藤高朗(医療法人永生会永生病院 内科)
  • 飯田達能(医療法人永生会永生病院 内科)
  • 尾花正義(財団法人東京都保健医療公社 荏原病院 リハビリテーション科)
  • 鴨下 博(財団法人東京都保健公社 多摩北部医療センター リハビリテーション科)
  • 辻 哲也(慶應義塾大学医学 リハビリテーション医学教室)
  • 中島英樹(都立豊島病院 リハビリテーション科)
  • 河面吉彦(河北リハビリテーション病院 リハビリテーション科)
  • 亀谷智恵子(財団法人 世田谷区保健センター 相談訓練課)
  • 山藤里美(セコム医療システム株式会社 訪問看護ステーション 看護部)
  • 森 英二(医療法人社団涓泉会  山王リハビリテーションクリニック)
  • 牛場潤一(慶應義塾大学理工学部 生命情報学科)
  • 野村憲弘(野村法律事務所)
  • 吉永勝訓(千葉県千葉リハビリテーションセンター)
  • 高木博史(埼玉県総合リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来、実効性のある脳卒中診療連携が確立していなかった大都市圏において、診療実態と連携構築上の阻害要因の分析およびITを活用したニーズと資源のマッチングシステムの開発を通じ、急性期からの一貫したリハ医療提供体制を実現する。
研究方法
以下により、首都圏脳卒中診療連携システムを完成させる。
1. 診療実態と連携阻害要因の分析:脳卒中診療実態調査と医療職へのWebアンケート(H18)、focused meeting(FM)による連携阻害要因の分析(H19)、利用者の視点からみた問題点の分析(H20)を行う。
2. IT を活用した診療連携支援システム「リハナビ東京」の開発と効果の検証:システム設計上の問題点の抽出とスキームの検討(H18)、リハ資源データベースの構築、FMを踏まえたシステムの開発と試験運用(H19)、実用化と導入効果の検証(H20)を行う。

結果と考察
1. 診療実態と連携阻害要因の分析:3年間を通じ、脳卒中診療動向と急性期・回復期・維持期各施設における実態の調査を行い、現状を把握した。医療職に対するWebアンケート(H18)、FMによる連携阻害要因の分析(H19)、利用者の視点からみた問題点の分析(H20)を行い、診療連携支援システム構築上の要件を整理した。
2. リハナビ東京の開発と効果の検証:H18年度はシステム設計上の問題点の抽出とスキームの検討、H19年度はシステム構築上の要件整理とシステム開発、試験運用を行った。H20年度は、リハナビ東京を完成させ、急性期側は、1)患者条件に合った施設の検索、2)回復期施設情報、空床情報の検索、3)メール、チャットによる回復期側との情報交換が、回復期側は、1)転院待ち患者情報の検索、2)受け入れ意思の表明、3)ベッド管理への活用が可能になった。医療者および市民へのアンケートでは概ね肯定的な評価であったが、ユーザーインターフェースの改良、施設データベース拡充などの改良点が明らかになった。システムの導入効果については、中間解析結果を報告した。
 以上により、ITを活用した広域的リハ診療連携支援ツール「リハナビ東京」が完成し、診療連携体制構築の基盤が整備された。今後、システムの実用性の向上、事業化の推進、広報・普及活動の強化、機能の拡張(維持期への拡大、他地域への展開、市民・患者版への展開)を行う必要がある。

結論
ITを活用したリハ診療連携体制構築の基盤が整備された。今後、システムの普及と継続的運営体制の整備を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2009-05-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821027C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)年度毎に脳卒中診療の動向および急性期、回復期、維持期における診療実態の調査を行い、社会情勢の変化に伴う診療の現状の把握を可能にした。
2)ITを活用した診療連携支援システム開発手順のモデルを提案した(実態調査、医療者・利用者に対するアンケートによる問題点の抽出、focused meetingによるシステム要件の整理、導入効果検証プロトコールの作成)。
3)成果発表Disabil Rehabil誌、国内リハビリ関係誌、書籍(脳卒中リハビリテーション連携パスー基本と実践のポイント、医学書院)

臨床的観点からの成果
「リハナビ東京」の実用化により、急性期施設は、1)患者の条件に合った施設の検索、2)回復期施設の施設情報や空床情報の閲覧、3)メールやチャットを利用した回復期施設との情報交換が可能になり、また、回復期施設は、1)転院待ち患者情報の検索、2)患者受け入れ意思の表明、3)ベッドマネジメントへの活用が可能になった。さらに、本研究で開発したマッチングシステムと各地域で運用が開始されている脳卒中地域連携パスとの連動を図ることにより、よりスムーズな診療連携を支援するための基盤が整えられた。
ガイドライン等の開発
本研究事業の研究代表者、分担研究者、研究協力者が日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会、リハビリテーション連携パス策定委員会の委員および執筆者として参加し、以下のガイドラインを発表した。
日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会、リハビリテーション連携パス策定委員会編、脳卒中リハビリテーション連携パスー基本と実践のポイント. 医学書院、東京、2007。

その他行政的観点からの成果
「リハナビ東京」が、広域的な診療連携を支援するためのツールとして活用されることにより、これまで連携が希薄であった首都圏に急性期からの切れ目のない脳卒中リハ診療連携体制が日常診療圏を基盤に構築され、限られた資源を効率よく活用しつつ、介護予防、健康寿命の延伸、医療経済の効率化に貢献することが期待される。さらに、他の地域への展開、維持期への展開、患者・市民用システムへの発展を行うことにより、より汎用性の高い診療連携支援ツールとしての価値が高まると考えられる。
その他のインパクト
研究成果を第3回日本海脳卒中医療連携セミナー、第45回日本リハビリテーション医学会学術集会、第5回東京脳卒中フォーラム、北多摩北部二次保健医療圏診療連携研究会、第19回慶應医師会市民公開講座、第2回関東Stroke Teamカンファレンス、第2回千葉地域リハビリテーションフォーラム、第4回大都市型脳卒中診療体制構築研究会、において発表し、医療福祉関係者、市民への啓蒙活動を行った。また、リハナビ東京のパンフレットおよびWeb試用版を作成し、普及に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
26件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
16件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
・ITを使った医療連携はどこまで可能か?大都市型脳卒中診療体制構築研究会 ・ホームページURL http://www.keio-reha.com/rehanavi/index.html

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamada S, Liu M, Fujimoto M, et al.
Development of a screening tool to identify quasi-in-need-of-care state (QUINOCS) in the community based on the short version of the Functional Independence Measure (FIM)TR
Disabil Rehabil , 31 (5) , 381-386  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-