医薬品等化学物質の毒性の評価のための分子生物学的試験法に関する研究

文献情報

文献番号
199700467A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等化学物質の毒性の評価のための分子生物学的試験法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
井上 達(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 薬物療法等有用性向上推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究課題の目的は、LD50という「死」を基準とした「毒物性、劇物性の強さの指標」に対して、死に頼らない「毒物性、劇物性の強さの指標」を探索することにあり、毒性概念の深化を目指すことにある。この意義として、1)死に至らないが、蓄積性若しくは時間の経過とともに、その延長線上で死に達するような、これまでの定義から外れていた「毒性」を把握することが可能になる(「非パラケルスス型毒性」)、また、2)毒性と薬効を裏合わせになった物質や、毒性と必需性が狭い閾値で裏合わせになったような化学物質(例えばセレニウムなど)に対して、低用量の潜在毒性の如何を評価することが可能になる、さらに3)「障害」と「個体の生死」の相互関係の中間指標に位置づけ可能な概念、例えば日常的な潜在的毒物摂取を対象とする方途が開ける、等が挙げられる。
研究方法
本研究では、急性毒性におけるアポトーシスの程度と質の解析を中心に進め、また、感受性に変化を来しうる動物モデルや培養細胞を用いた解析も同時に進めた。被験物質として、パラコートなどの酸素障害を介してアポトーシスを誘発する化学物質を用いた。香川及び井上が、in vivo系に取り組み、小野と山中がin vitro系の開発に取り組んだ。
井上:アポトーシスを指標とした、遺伝子改変動物による毒性評価
小野:アポトーシスを指標とした、培養細胞による毒性評価のための基礎的検討
香川:ラットを用いたパラコート誘発アポトーシスの標的臓器解明とその他生体影響
山中:化学物質の急性毒性評価のための細胞毒性試験、細胞のアポトーシスによる毒性評価の試み
アポトーシスの検出には以下の3つの方法が用いられる。1)組織標本を用いて3'末端のエンド・ラベル法によるいわゆるTUNEL法、2)レーザー・サイトメトリによる低2倍体分画の検出などを指標とした細胞生物学的方法、3)ゲノムDNAをとり、DNAの階段状泳動パターンを検出すること。これらの方法を適宜用い、アポトーシスの程度と質の解析を中心に研究を進めた。
結果と考察
急性毒性とアポトーシス、並びに酸化的ストレスとアポトーシスの関連性に関するいくつかの新知見とその解析に向けた遺伝子改変動物の有用性、従来の細胞毒性試験とアポトーシスを指標とした細胞毒性試験との連関についてのいくつかの新知見を得ることが出来た。
結論

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)