文献情報
文献番号
200821013A
報告書区分
総括
研究課題名
口腔機能の向上の実施体制と評価に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大原 里子(東京医科歯科大学 歯学部附属病院歯科総合診療部)
研究分担者(所属機関)
- 植田 耕一郎(日本大学歯学部)
- 小坂 健(東北大学大学院歯学研究科)
- 北原 稔(神奈川県茅ヶ崎保健福祉事務所)
- 木村 隆次(日本介護支援専門員協会)
- 俣木 志朗(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
- 佐々木 好幸(東京医科歯科大学歯学部附属口腔保健教育研究センター)
- 平田 創一郎(東京歯科大学・社会歯科学)
- 大山 篤(東京医科歯科大学 歯学部附属病院歯科総合診療部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
この研究は、平成18年度から地域支援事業予防給付・介護給付の新規メニューとして導入された、「口腔機能の向上」の円滑な実施を支援することを目的としている。口腔機能向上は、専門職として主に担当する歯科衛生士が介護の場に非常に少ないこと、また、口腔機能向上に関連するサービスがほとんど介護の場では実施されていなかったため、利用者、家族、介護関係者の認知度が低く、普及が困難であることが予想されたため、円滑に進める方策明らかにすることを目的としている。
研究方法
全市町村を対象に質問により、口腔機能向上の実施体制の変化、阻害要因や促進要因の変化等について調査した。実際に口腔機能向上サービスに従事する歯科衛生士を対象に、様式例の改良、口腔機能向上加算にかかる時間に関する調査を行った。介護支援専門員等を対象とした質問票による調査、対象者の効率的な抽出方法等を検討した。地域包括支援センターでケアプランを作成した要支援者の基本チェックリストの口腔関連項目の該当状況を調査した。
結果と考察
口腔機能向上の普及の大きな阻害要因である、文書量の多さ、特定高齢者の事業参加率が低いこと、要支援者や要介護者の口腔機能向上が必要な条件が明確でないこと、口腔機能向上の必要性や効果を説明するのが難しいこと、実施する事業所が少ないこと等に対する改善策を検討した。改善策として、様式例の改良、対象者の抽出用および説明用ツールの開発を行い、口腔機能向上マニュアル改訂版の資料として提供した。認定調査や基本チェックリストの結果を利用した新たな負担を生じない抽出法等を考案し、口腔機能向上加算1回あたりの平均的な所要時間等を明らかにして、介護報酬改定の基礎データとして提供した。
結論
口腔機能向上が導入されたが、普及は進んでいない。対策として、特定高齢者の要件の緩和、事務負担の軽減等がなされ、平成21年4月の介護報酬の改定により、報酬の増額、要支援者と要介護者における口腔機能向上が必要な者の条件の明確化、医療保険との給付調整の改善等が実施される。それにより口腔機能向上が普及すると考えられる。また、基本チェックリストの口腔関連項目の変更や追加により、スクリーニングの精度が向上する可能性があると考えられる。今後は、人材の確保が最も重要であり、効率的な研修方法の開発が必要であると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2017-10-03
更新日
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