効果的な介護予防型訪問・通所リハビリテーションの実態把握からみた自立生活支援プログラムの開発評価に関する研究

文献情報

文献番号
200821005A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な介護予防型訪問・通所リハビリテーションの実態把握からみた自立生活支援プログラムの開発評価に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
髙山 忠雄(鹿児島国際大学 大学院福祉社会学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 安梅 勅江(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 佐藤 秀紀(青森県立保健大学 健康科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,680,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、特性の相違する全国3地点における効果的な介護予防に向けた訪問・通所リハの自立支援プログラムの開発と評価に基づき、地域特性を勘案した効果的な介護予防事業の実現を意図する。さらに、根拠に基づく自立支援プログラム活用マニュアル作成を通じて、実践の場での効率的な活用を図り、実効性の高い介護予防事業のさらなる展開に資すること目的とした。
研究方法
介護予防型訪問・通所リハビリテーションの実用化について、1)「温暖地域における介護予防型自立支援プログラム開発」では当事者と理学療法士、看護師のケアチームに対する訪問面接調査、2)「寒冷地域における介護予防型自立支援プログラム開発」では高齢者に対するプログラムのプロセス評価、3)「介護予防型自立支援プログラムの追跡評価」では地域住民に対するプログラムのプロセス介入評価を実施した。
結果と考察
最終年度成果として、開発した介護予防型訪問・通所リハビリテーションのプログラムについてプロセス介入評価を行い、地域特性を踏まえた形で把握し、モデル化に向けて基盤となる情報を得た。気候条件に加えて、住民への啓発や情報提供の仕組みづくり、当事者の環境条件とニーズにきめ細かに対応したプログラムの実施、コミュニティ・エンパワメントのネットワーク構築を含めたプロセスの重要性が明らかにされた。特に、社会とのかかわりの維持が機能低下予防に有効である根拠を踏まえ、今後さらに自治体あるいはNPOなど地域での訪問・通所リハビリテーションにおける介護予防事業のさらなる展開に資する要素が抽出された。
温暖地域・寒冷地域などの特性を踏まえ、予防効果性の高い対象群を類型化した自立支援プログラム活用マニュアルの作成に向け、各実施主体が事業をより実効性の高い形で推進するための実態と課題が得られた。また、科学的な根拠に基づく予防効果性の高い支援内容が明らかになり、効率的な事業の実施と介護予防事業の費用便益効果を高める方向性への一助とした。
結論
本研究の結果、介護予防型訪問・通所リハビリテーションのモデル構築に向け、プロセス評価に基づく臨床的な情報を収集した。モデル化により、専門職が高齢者・障害者の自立を促進する地域資源に関する知識と技術を獲得し、より有効性かつ効率性の高い介護予防型訪問・通所リハビリテーション機能の実現が期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200821005B
報告書区分
総合
研究課題名
効果的な介護予防型訪問・通所リハビリテーションの実態把握からみた自立生活支援プログラムの開発評価に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
髙山 忠雄(鹿児島国際大学 大学院福祉社会学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 安梅 勅江(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 佐藤 秀紀(青森県立保健大学 健康科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、特性の相違する全国3地点における効果的な介護予防に向けた訪問・通所リハの自立支援プログラムの開発と評価に基づき、地域特性を勘案した効果的な介護予防事業の実現を意図する。さらに、根拠に基づく自立支援プログラム活用マニュアル作成を通じて、実践の場での効率的な活用を図り、実効性の高い介護予防事業のさらなる展開に資すること目的とした。
研究方法
介護予防型訪問・通所リハビリテーションの実用化について、1)「温暖地域における介護予防型自立支援プログラム開発」では当事者と理学療法士、看護師のケアチームに対する訪問面接調査、2)「寒冷地域における介護予防型自立支援プログラム開発」では高齢者に対するプログラムのプロセス評価、3)「介護予防型自立支援プログラムの追跡評価」では地域住民に対するプログラムのプロセス介入評価を実施した。
結果と考察
気候条件や住民参加を意図した形で介護予防型訪問・通所リハビリテーションのプログラムを開発した。プログラムの妥当性をプロセス介入評価で確認し、地域特性を踏まえた形でモデル化に向けて基盤となる情報を得た。住民への啓発や情報提供の仕組みづくり、当事者の環境条件とニーズにきめ細かに対応したプログラムの実施、コミュニティ・エンパワメントのネットワーク構築を含めたプロセスの重要性が明らかにされた。
特に、社会とのかかわりの維持が機能低下予防に有効である根拠を踏まえ、今後さらに自治体あるいはNPOなど地域での訪問・通所リハビリテーションにおける介護予防事業のさらなる展開に資する要素が抽出された。
温暖地域・寒冷地域などの特性を踏まえ、予防効果性の高い対象群を類型化した自立支援プログラム活用マニュアルの作成に向け、各実施主体が事業をより実効性の高い形で推進するための実態と課題が得られた。また、科学的な根拠に基づく予防効果性の高い支援内容が明らかになり、効率的な事業の実施と介護予防事業の費用便益効果を高める方向性への一助とした。
結論
介護予防型訪問・通所リハビリテーションのモデル構築に向け、プロセス評価に基づく臨床的な情報を収集した。モデル化により、専門職が高齢者・障害者の自立を促進する地域資源に関する知識と技術を獲得し、より有効性かつ効率性の高い介護予防型訪問・通所リハビリテーション機能の実現が期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200821005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
訪問・通所リハビリテーションにおける介護予防に向けた自立支援の有効性については、国際老年学会、リハビリテーション医学会、保健福祉系学会等において報告されているが、日本においてはいまだ十分に対象特性別の活用方法に関する情報は科学的に整理されていない状況であった。本研究成果により、経年的な事業評価に基づく事業の体系化がなされ、効果性および効率性の高い介護予防事業として、予防効果性の高い活用への根拠が得られた。
臨床的観点からの成果
介護予防の臨床的観点からは、温暖地域・寒冷地域などの特性を踏まえ、予防効果性の高い対象群を類型化した自立支援プログラム活用マニュアルを作成することで、各実施主体が事業をより実効性の高い形で推進するためのモデルが得られた。個別ニーズに適合し当事者参加による意志決定に基づく自立支援プログラムは、介護予防にきわめて有効であることが示された。科学的な根拠に基づく予防効果性の高いプログラムを活用することで、効率的な事業の実施が可能となり、介護予防事業の費用便益効果を高めるものである。
ガイドライン等の開発
日本、スウェーデン、イスラエル、米国、オーストラリアなどの複数の自治体において、本研究成果に基づく訪問・通所リハビリテーションを活用した介護予防への自立支援モデルを実際に適用し、ガイドラインの設定と具体的な介護予防事業がスタートした。当事者、社会資源の視点から、介護予防効果の高い自立支援プログラムの普及により、介護予防を必要とする当事者の生活の質の向上、健康寿命の延長はもとより、増大する介護費用の抑制、限られた社会資源の有効活用を可能とした。
その他行政的観点からの成果
本研究の成果は、複数の自治体で介護予防事業の科学的な根拠として高齢者保健福祉計画、介護予防事業、健康日本21などの計画策定や政策評価の指標として、サービスの有効性に関する確実な意義付けとして活用された。
また、昨今当事者主体の倫理性へのさらなる配慮が求められる状況を踏まえ、当事者の意向と参加を尊重し、当事者のセルフ・エンパワメント、ピア・エンパワメント、コミュニティ・エンパワメントを主軸とした「当事者主体チームワーク・ケア」にもとづく高齢者保健福祉施策の展開に資するものとなった。
その他のインパクト
スウェーデン、カナダ、ニュージーランド、日本における国際学会、公開シンポジウムにおいて、本研究成果を国際的な視点から研究者および専門職と討論すると同時に、さらなる展開への貴重な情報を得た。
またCulture, Care, and Community Empowerment : International Applications of Theories and Methods と題した著書を出版し、考え方と実践マニュアルの普及化を図った。

発表件数

原著論文(和文)
8件
安梅勅江, 篠原亮次, 杉澤悠圭, 伊藤澄雄.高齢者の社会関連性と生命予後-社会関連性指標と7年間の死亡率の関係.日本公衆衛生学会誌. 53(9): 681-687, 2006 他7件
原著論文(英文等)
1件
Tokie Anme, Ryoji Shinohara, Yuka Sugisawa, Mary McCall, Social Interaction and Longevity.
その他論文(和文)
20件
安梅勅江、福祉用具ケアマネジメント、福祉用具活用の実務、第一法規、1143-48、2007年 他19件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
安梅勅江.コミュニテイ・エンパワメントの技法―当事者主体のシステムづくり―、第98回日本小児精神神経学会(栃木),2007 他14件
学会発表(国際学会等)
11件
Tokie Anme etc...Social affiliation and healthy longevity. 他10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
『介護予防の実践から健康長寿を考える』-効果的介護予防型訪問・通所リハビリテーションに関する研究-平成19年2月24日、イイテラス10F,演者 高山忠雄、植木章三 他3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
安梅勅江, 篠原亮次, 杉澤悠圭 他
高齢者の社会関連性と生命予後-社会関連性指標と7年間の死亡率の関係
日本公衆衛生学会誌. , 53 (9) , 681-687  (2006)
原著論文2
杉澤悠圭, 篠原亮次, 安梅勅江
住民参加型の保健福祉活動の推進に向けたコミュニティ・エンパワメントのニーズに関する研究
厚生の指標. , 53 (5) , 28-36  (2006)
原著論文3
安梅勅江, 鈴木英子
家族の介護意識と要介護者の自己決定阻害の関係に関する研究-高齢者虐待の予防に向けて-
厚生の指標. , 53 (8) , 25-33  (2006)
原著論文4
篠原亮次,杉澤悠圭,安梅勅江
地域在宅高齢者の3年後の要介護状態の関連要因に関する研究―社会関連性と生活習慣に焦点を当てて―
日本看護科学学会 , 27 (4) , 14-22  (2007)
原著論文5
安梅勅江
コミュニティ・エンパワメント―当事者主体のシステム作り―
小児の精神と神経 , 48 (1) , 7-13  (2008)
原著論文6
杉澤悠圭,篠原亮次,田中笑子,伊藤澄雄,安梅勅江
高齢者の社会関連性と医療費との関連
日本保健福祉学会誌 , 15 (1) , 21-29  (2009)
原著論文7
澤田優子,杉澤悠圭,篠原亮次,伊藤澄雄,福田寛二,安梅勅江
地域在宅高齢者の運動習慣の定着に関する質的研究
厚生の指標 , 56 (6)  (2009)
原著論文8
Tokie Anme, Ryoji Shinohara, Yuka Sugisawa, Mary McCall,
Socil Interaction and Longevity:An Eleven-Year Longitudinal Study of Older Persons in aJapanese Village
Hallym International Journal of Aging, , 9 (2) , 89-105  (2007)
原著論文9
田原美香
地域リハビリにおける通所・訪問リハビリの課題と有効性に関する研究‐訪問看護からみた通所・訪問リハビリの現状と課題に関する一考察‐
日本社会福祉学会九州部会 九州社会福祉学 , 3 , 59-69  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-