「重症クローン病患者に対するタクロリムス治療」に向けての臨床試験の実施に関する研究

文献情報

文献番号
200818035A
報告書区分
総括
研究課題名
「重症クローン病患者に対するタクロリムス治療」に向けての臨床試験の実施に関する研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 勉(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 仲瀬 裕志(京都大学 医学研究科)
  • 岡崎 和一(関西医科大学 内科学第三講座)
  • 伊藤 裕章((財)田附興風会医学研究所)
  • 佐藤 俊哉(京都大学 医学研究科)
  • 松田 文彦(京都大学 医学研究科附属ゲノム医学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
35,776,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
クローン病(CD)に対するタクロリムスの保険適応承認を目標として、「重症CD患者に対するタクロリムス治療」の臨床試験を実施し、治療効果について質の高いエビデンスを得ることを目的とした。
研究方法
(1) 医療統計学的検討を行い有意差が得られるための対象症例数を算定した。
(2) 最終的な臨床試験計画書を作成し、「京都大学医の倫理委員会」に提出した。
(3) 27例の薬剤抵抗性の潰瘍性大腸炎患者、14例のCD患者に対してパイロット的にタクロリムス治療をおこなった。
(4) 参加施設からCD患者DNA検体を得、検体の管理システム構築、遺伝子解析をおこなうためのプラットフォームの試験運用を行った。
結果と考察
(1) タクロリムス投与群のCDAI改善割合が50%の場合合計82名で検出率が80%になると算定された。
(2)タクロリムスの保険適応承認を最終目標とした「重症CD患者に対するタクロリムス治療」の臨床試験の計画書を作成し、倫理委員会へ提出した。
(3)27例の薬剤抵抗性潰瘍性大腸炎患者、14例のCD患者に対してタクロリムスを投与して緩解導入をおこなった。その結果タクロリムスによる改善は前者で21例(77.8%)、また19例で緩解導入が得られた(70.4%)。一方後者では全例で投与開始40日目で、緩解、あるいは改善が認められた。
(4) 関係、協力施設の協力を得て、患者の検体および臨床情報の収集を開始した。さらにDNA検体を集中管理するための検体管理システムの構築および、臨床情報の一元管理のためのデータベースを本臨床試験用にカスタマイズした。また遺伝子解析をおこなうための新たなプラットフォームの試験的運用をおこなった。
結論
重症CDに対する保険適応承認を最終目標として、「重症CD患者に対するタクロリムス治療」の臨床試験を実施し、治療効果について質の高いエビデンスを得ることを目的とした。今年度は、1)医療統計学的考察から有意差が得られるための対象者数算定を行った。2)それに基づいて本臨床試験の最終的な計画書を「医の倫理委員会」に提出した。3)パイロット的に薬剤抵抗性潰瘍性大腸炎、CD患者に対してタクロリムス治療をおこない、タクロリムスの優れた緩解導入、維持効果を確認した。以上より薬剤抵抗性CD患者に対するタクロリムスの有効性が期待された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-