多列CTを用いた冠動脈プラークの性状判定と冠動脈イベント発症との関連についての多施設・前向き追跡調査

文献情報

文献番号
200818034A
報告書区分
総括
研究課題名
多列CTを用いた冠動脈プラークの性状判定と冠動脈イベント発症との関連についての多施設・前向き追跡調査
課題番号
H20-臨床研究・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木原 康樹(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 栗林 幸夫(慶応義塾大学医学研究科)
  • 堀口 純(広島大学病院)
  • 山本 秀也(広島大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は,多列CT冠動脈造影により非石灰化冠動脈プラークが検出された虚血性心疾患患者および冠危険因子重積患者を対象とした多施設・前向き共同調査研究であり,1) CT冠動脈造影における非石灰化冠動脈プラーク形成と患者背景との関係を統計解析するとともに、2) CT画像取得後2年間の観察期間に急性冠症候群・不安定狭心症を発症した患者における責任病変と非石灰化冠動脈プラーク形成との関係を評価することからCT冠動脈造影によるプラーク進展・破裂の予測因子を明らかとする。更には,3) 非石灰化冠動脈プラークの性状変化を2年後に再検・解析して患者背景や治療介入との関係を解明し、冠動脈プラークモニタリングにおけるCT冠動脈造影の有用性を示すとともに、4) 無症候性心血管リスク重積患者におけるCT冠動脈造影の適応基準やガイドライン作成の基礎となる本邦データベースを構築する。
研究方法
【対象】 臨床症状、心電図、カテーテル検査等にて虚血性心疾患の疑いがある、または既に診断された患者、または冠危険因子重積患者で多列CT冠動脈造影により非石灰化プラークが検出された症例。【試験期間と目標症例数】 本研究は試験開始後2年間で症例を登録し、平成23-24年に2年後の追跡検査(イベント調査および冠動脈CT再検)を行い,25年に結果報告を行う。2年間で全国20施設より6,000例の登録を目標とする。
結果と考察
 本研究研究者のほかに以下のメンバーを研究遂行のコア委員として委嘱し実施委員会を立ち上げた。小倉記念病院循環器科診療部長、横井宏佳;新古賀病院心臓血管センター循環器内科部長、川崎友裕;JA廣島総合病院循環器科主任部長、藤井隆;桜橋渡辺病院循環器内科医長、小山靖史;大阪掖済会病院循環器科部長、島田健永;静岡県立総合病院心臓血管センター長・副院長、土井修;順天堂大学医学部循環器内科学講座教授、代田浩之;東京医科大学内科学第二講座教授、山科章。
結論
 64列MDCTを用いた冠動脈造影によって検出される冠動脈プラークを一元的に登録し、全国多施設で前向きに心血管イベントとの関連を追跡する試みが、本研究により全世界で初めて実現しようとしている。本研究の成果は、従来のカテーテル手技による冠動脈造影法に代わるものとしてのMDCT冠動脈造影の臨床的価値を明らかにするのみならず、急性心筋梗塞や急性冠症候群の発症前診断や高危険群の差別化・予防的介入について実現可能な臨床手段を確立するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-