小児気管支喘息重症発作に対するイソプロテレノール持続吸入療法の検討:サルブタモール持続吸入療法を対照とした多施設共同盲検ランダム化比較試験

文献情報

文献番号
200818029A
報告書区分
総括
研究課題名
小児気管支喘息重症発作に対するイソプロテレノール持続吸入療法の検討:サルブタモール持続吸入療法を対照とした多施設共同盲検ランダム化比較試験
課題番号
H20-臨床研究・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
勝沼 俊雄(東京慈恵会医科大学 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター 治験管理室)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター アレルギー科)
  • 藤澤 隆夫(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 足立 雄一(富山大学医学部 小児科)
  • 橋本 光司(日本大学医学部付属練馬光が丘病院 小児科)
  • 北林 耐(昭和大学医学部 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
43,124,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児の重症喘息発作患者を対象として、日本の標準治療でありながら十分なエビデンスの無いイソプロテレノール持続吸入療法(ICIT)の有用性を、世界的な標準持続吸入治療であるサルブタモール持続吸入療法(SAL)と比較。
平成20年度の達成目標。
①試験実施体制の整備
②ダブルダミーの作製
③喘息発作重症度適正評価(mPIスコア)のための教材作製、評価者教育、信頼性評価
④プロトコル完成
⑤CRF作成(web入力システムの整備)
⑥試験参加施設の拡充
⑦各持続吸入の安全性確認
研究方法
患者選択基準:喘息重症発作でベータ刺激薬を2時間内に2回以上施行した後のmPIスコアが10点以上の患児、または初期治療によらず15点以上の患児。
同意を得た後インターネット登録し割付番号を確認する。薬液はダブルダミーの形で用意され、二重盲検下に実施する。
治療計画: 入院後、いずれかの治療を開始する。
A;ICIT+SAL(プラセボ)+ステロイド点滴静注
B;ICIT(プラセボ)+SAL+ステロイド点滴静注
主要評価項目は試験治療開始3時間後におけるmPIS改善値とする。副次的評価項目は試験開始12時間後のmPIS改善値、3時間後の呼吸数・呼吸数低下率とする。観察期間中は全例で心電図モニターを装着する。また安全性評価項目として、血清K値、心筋傷害マーカーを測定する。
なお評価者間信頼性と同一評価者における評価の再現性を担保するため、DVD教材を用いた事前トレーニングを受講したものを参加者とする。
結果と考察
平成21年度からの本格検討へ向けて、20年度は概略以下のごとく実質的準備を整えた。
◆多面的検討により妥当性、実行可能性に優れた適正なプロトコルを作成した
◆発作重症度の適正評価に必要な視聴覚教材を作製し各施設においてトレーニング体制を整えた
◆ダブルダミーを準備した
◆CRFのweb入力システムを整えた
◆データマネージメントおよびモニタリング体制の準備
結論
本試験ではICIT・SAL両持続吸入療法の優劣を決定するため、平成19,20年度に作成したプロトコルに基づいて二重盲検比較試験を実施する。仮説通りに、ICITがSALに優ると結論できれば、適応外使用解決のための重要なエビデンスとなるのみならず、日本発のエビデンスとして世界に示すことができると期待される。また劣っていても、日本のガイドライン再検討のための重要なエビデンスとなる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-