重症川崎病患者に対する免疫グロブリン・ステロイド初期併用投与の効果を検討する前方視的無作為化比較試験

文献情報

文献番号
200818027A
報告書区分
総括
研究課題名
重症川崎病患者に対する免疫グロブリン・ステロイド初期併用投与の効果を検討する前方視的無作為化比較試験
課題番号
H20-臨床研究・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐地 勉(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 森川昭廣(社会福祉法人希望の家附属北関東アレルギー研究所)
  • 小林 徹(群馬大学医学部附属病院小児科)
  • 中村哲也(群馬大学附属病院臨床試験部)
  • 市田蕗子(富山大学医学部小児科)
  • 小川俊一(日本医科大学附属病院小児科)
  • 竹内一夫(埼玉大学教育学部)
  • 荒川浩一(群馬大学医学研究科小児科学)
  • 野村裕一(鹿児島大学小児発達病態分野)
  • 三浦 大(東京都立清瀬小児病院循環器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
57,769,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
川崎病に対する新規治療法を開発した。研究事務局・データセンター等臨床試験実施体制を整備し、研究計画書の確定、統計学的検討の確立、施設および症例のWeb Entry System構築、また急性期における冠動脈病変の断層心エコー判定上のStandardと病的所見の評価法を確立した。
日本では小児の大規模多施設共同臨床試験実施には多くの困難を伴い足踏み状態であった。川崎病に対する初期治療として免疫グロブリン(IVIG)療法が開発されて以来、25年近くが経過したが、IVIG抵抗例に対する新たな治療戦略を確立する必要がある。そこで重症川崎病患者を対象に、冠動脈瘤(An)減少を目的とした我国で最初の大規模臨床研究を計画した。
研究方法
研究デザインは多施設共同前方視的無作為化比較試験で、リスクスコアを用いて定義した重症川崎病患者を対象とした。Primary endpointは試験開始1ヵ月後までのAn合併頻度とし、PROBE法を用いて盲検化を行う。標準治療はIVIG 2g/kg+アスピリン30mg/kgとし、試験治療は標準治療に加えプレドニゾロン(PSL) 2mg/kg/dayを初期から併用する治療法とした。無作為割り付けは最小化法を用いた動的割付とし、Web割り付けシステムを開発した。目標症例数は重症川崎病患者392症例とし、entry率を40%と仮定すると年間総川崎病症例数約1000例の研究組織が必要と推測された。
 一般用HP、研究者向けHP・MLを構築した。また説明用DVDも作成しentry率と研究への理解度向上を目指した。参加施設には画像処理用PC・DVDライター、試験薬を送付した。
結果と考察
研究開始5ヶ月後の9月29日より研究開始した。現時点で全国の小児科研修施設の49以上が参加し、これまでに50症例が登録された。中間解析は登録数が200例を越えた時点で行う計画とした。
 小児の臨床試験の経験がない施設においても様々な研究補助書類を作成することによって研究実施することが出来た。またこれまで統一化されていなかった各種エンドポイントを定義できたことは今後の多施設共同研究に極めて有用である。
結論
小児領域における大規模無作為化比較試験は実施困難と考えられていたが、RAISE Studyは1年間の研究準備期間を経て綿密に計画され、臨床試験を開始することができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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