多施設共同医師主導治験による新規医薬品の効果に関する臨床的エビデンス創出と新移植技術の開発研究

文献情報

文献番号
200818026A
報告書区分
総括
研究課題名
多施設共同医師主導治験による新規医薬品の効果に関する臨床的エビデンス創出と新移植技術の開発研究
課題番号
H20-臨床研究・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液内科)
研究分担者(所属機関)
  • 神田 善伸(自治医科大学 自治医科大学附属さいたま医療センター)
  • 中尾 眞二(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 高上 洋一(国立がんセンター中央病院 臨床検査部)
  • 宮本 敏浩(九州大学病院 遺伝子細胞療法部)
  • 宮村 耕一(名古屋第一赤十字病院 血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄移植などの同種造血幹細胞移植の課題として重要なものは移植片拒絶と移植片宿主病(GVHD)であり、特に再生不良性貧血に対する移植では顕著となる。アレムツズマブは、抗CD52ヒト化モノクローナル抗体であり、強力なリンパ球枯渇作用を有し、「移植片拒絶」及び「GVHD」を同時に克服する有用な薬剤として、1990年代後半より幅広く臨床研究が行われている。わが国においては、移植領域という限られた分野の稀少医薬品であるために企業開発が望めず、国民医療の懸案の一つとなっている。本研究では、本剤の有用性を最も効率的に検証できる再生不良性貧血患者を対象にGCPに則った医師主導治験を実施し、アレムツズマブの移植前処置としての適応を取得すること計画した。さらに、本治験を通して移植領域における質の高い多施設共同臨床研究の運営体制を整備し、今後の本領域における研究発展にも貢献する。
研究方法
対象は、免疫抑制治療が無効であった輸血依存性の20~65歳の再生不良性貧血患者であり、HLA一致又は一座不一致血縁ドナー、あるいはHLA一致又はDRB1一座不一致非血縁ドナーを有する患者である。移植前処置は、シクロホスファミド、リン酸フルダラビンに加えて、アレムツズマブを患者体重あたり0.16、0.2あるいは0.25 mg/kgを6日間併用する(HLA一致血縁ドナー以外からの移植の場合は全身放射線照射2Gyを追加)。移植後の免疫抑制はシクロスポリンとメトトレキセートの併用で行う。本治験の主要評価項目は移植後60日以内の生着不全およびグレードⅡ以上の急性GVHDの発症率とし、これらを満たす症例を成功例と定義する。また、アレムツズマブの血清中薬物濃度の検討を行う。目標症例数は、推奨用量群として14例(最小)とする(本治験全体の最小目標症例数:17例) 。
結果と考察
平成21年3月現在、治験全体の目標症例17例のうち、15例が登録されている。現時点で1例を除く全例で主要評価項目である「移植後60日以内の移植片拒絶とグレード2以上の移植片対宿主病の発現の抑制」に成功している。
結論
目標症例まで、残すところ2例である。残り2例については、平成21年度研究期間内に完了することを目標し、全登録症例の移植後1年までの経過観察を行うと共に、迅速な症例報告書固定に努める。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-