一般用医薬品の添付文書の改善に関する研究

文献情報

文献番号
199700464A
報告書区分
総括
研究課題名
一般用医薬品の添付文書の改善に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
廣川 浩一(国立精神・神経センター国府台病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 薬物療法等有用性向上推進研究事業
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在の一般用医薬品の添付文書は、使用者に読みづらく、あまり読まれていないという指摘がなされている。一般用医薬品といえども使用法を誤ると重大な事故を起こす場合があり、使用者の自己判断で適正に医薬品が使用されるためには、使用者に読みやすく、かつ、適切な内容が記載された添付文書を作成することが必要である。このような観点より、一般用医薬品の添付文書の改善策を提案することを目的とする。
研究方法
?各薬効分類毎に添付文書を収集し、記載項目、記載内容の傾向を横断的に把握し、添付文書の問題点を抽出した。?米国及びEC各国の添付文書と日本の添付文書の比較し、問題点を抽出した。??の問題点の抽出にあたっては、消費者に対する一般用医薬品についての既存のアンケート調査結果も参考とした。?抽出された問題点に対する具体的改善案を検討し、記載内容の最も多かったかぜ薬の添付文書をモデルとして、改善された添付文書の見本(案)を作成した。?具体的改善案及び添付文書見本案をもとに、添付文書の記載要領(案)を作成した。
結果と考察
添付文書の問題点と改善案は?内容の重要性?内容のわかりやすさ?添付文書に関連した問題点?海外の添付文書との比較の4つの観点からまとめた。様々な問題点と改善点が検討されたが主な点のみ以下に記載する。?内容の重要性については、重要な内容が記載されている使用上の注意が読まれにくい点を改善するために、添付文書内の記載順序として「効能・効果」、「用法・用量」よりも「使用上の注意」を前に記載することを提案した。また、「使用上の注意」の書き方として、現在、使用前、使用中・後といった時系列に添って注意事項が記載されているが、「してはいけない内容」と「相談すべき内容」といった内容の重要度に分類して記載することを提案した。さらに、添付文書の重要な内容が追加、変更されたときは、変更のあったことを外箱に記載するとともに、添付文書に変更箇所を示すことを提案した。その他、現在、医薬品を使用してはいけない人の情報は添付文書のみに記載されており、医薬品を購入し、容器を開封して初めてその情報を見ることになるので、使用者が購入時に知っておくべき情報は外箱にも記載すべきことを提案した。?内容のわかりやすさについては、添付文書中に難解な用語・表現、誤解を招く表現が見られることから、その事例集を作成し改善を求めた。また、使用上の注意が多くの冗長な文で記載されていることから、簡潔かつ十分注意喚起がなされるための記載方法を提案した。さらに、添付文書の記載する文字の大きさについても6ポイント以上、内容によっては8ポイント以上を提案した。?添付文書に関連した問題点については、添付文書に記載された内容だけでは一般用医薬品に関する使用者よりの相談に対し薬剤師が適切な対応をとりにくいこと、医師の手元に一般用医薬品の添付文書がなく、副作用発現時に適切な対応をとりにくいことから、医師等に対する情報提供の方法を別途考える必要がある。後者の問題に対する当面の解決策としては、医師を受診する際には添付文書を持参する旨を添付文書に記載することを提案した。また、添付文書にはその医薬品特有な内容だけでなく、すべての医薬品に共通した常識的な使用法についても多く記載せざるを得ない状況から、消費者に対する医薬品の使用法についての日頃よりの啓発の重要性も認識された。?海外の添付文書との比較については、主として、簡潔な記載がなされている米国の添付文書を参考として、簡潔な記載方法について提案を行った。
結論
現在の添付文書の問題点とその改善案を考慮にいれて、添付文書の記載要領を提案した。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)