文献情報
文献番号
200818018A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対する センチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験
課題番号
H19-臨床試験・一般-023
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中村 清吾(聖路加国際病院 乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
- 津川 浩一郎(聖路加国際病院 乳腺外科)
- 岩田 広治(愛知県がんセンター 中央病院)
- 大野 真司(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター)
- 元村 和由(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター)
- 秋山 太(財団法人癌研究会 癌研究所)
- 徳田 安春(聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,282,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、センチネルリンパ節生検は、世界的に標準治療となっているが、我が国で使用している色素、RIは、保険適応外使用のため、高度医療評価制度のもと、安全性と同定率に関する多施設臨床確認試験が実施された。
研究方法
本試験は,日本で使用される色素,アイソトープ粒子によるSLN生検の安全性をPrimary endpointとし、さらに同定率が欧米の成績と差がないことを検証することをSecondary endpointとした。対象は、Tis-T3N0M0,stage0〜IIIAの乳癌患者とした。センチネルリンパ節生検に用いる色素は、インドシアニングリーン,インジゴカルミン,アイソトープ粒子としては、スズコロイド,フチン酸,アイソトープ核種は99mTcを用い,腫瘍近傍の皮下又は皮内に注射して安全性および同定率を評価した。
結果と考察
2008年11月末までに中止・延期になった31例を除いた64施設、3,408例のデーターが集積された。安全性解析は3,324例で、有効性解析は3,377例で行った。
腫瘍径はT1c 36.8%,T2 29.2%の順で,臨床病期はI 54.0%,IIA 28.7%、0期が14.5%含まれていた。
生検方法は,色素法とRIの併用60.9%,色素法単独27.8%,RI単独11.1%。 同定率は98.6%,方別では色素法単独98%,色素・RI併用99.2%,RI法単独98.7%と欧米の成功率93%を上回った。副作用は調査対象3,324例において、色素注入によるGradeIII,IVの重篤な副作用は,全く認められず、Grade Iに相当する一過性の皮疹を2例(0.06%)認めるのみであった。RI法による副作用は,全く認められなかった。
今回の我が国の結果は、、欧米で標準的に用いられている検査手技と同等以上の結果であった。したがって、今後は、本結果をもって保険収載を求めていく予定である。さらに、本試験のデータベースを用いてセンチネルリンパ節生検において未だ議論の多い、DCIS(非浸潤性乳管癌)症例に対する適応、術前化学療法後症例に対する施行、micrometastasisに対する対応などについても検討する予定である。
腫瘍径はT1c 36.8%,T2 29.2%の順で,臨床病期はI 54.0%,IIA 28.7%、0期が14.5%含まれていた。
生検方法は,色素法とRIの併用60.9%,色素法単独27.8%,RI単独11.1%。 同定率は98.6%,方別では色素法単独98%,色素・RI併用99.2%,RI法単独98.7%と欧米の成功率93%を上回った。副作用は調査対象3,324例において、色素注入によるGradeIII,IVの重篤な副作用は,全く認められず、Grade Iに相当する一過性の皮疹を2例(0.06%)認めるのみであった。RI法による副作用は,全く認められなかった。
今回の我が国の結果は、、欧米で標準的に用いられている検査手技と同等以上の結果であった。したがって、今後は、本結果をもって保険収載を求めていく予定である。さらに、本試験のデータベースを用いてセンチネルリンパ節生検において未だ議論の多い、DCIS(非浸潤性乳管癌)症例に対する適応、術前化学療法後症例に対する施行、micrometastasisに対する対応などについても検討する予定である。
結論
今後は、本結果をもとに同手技の保険収載を求め、さらに、議論の多いいくつかの課題についても検討する予定である。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-