下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療の適正出力に関して

文献情報

文献番号
200818007A
報告書区分
総括
研究課題名
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療の適正出力に関して
課題番号
H19-臨床試験・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
笹栗 志朗(高知大学 教育研究部医療学系 外科学(外科2)講座)
研究分担者(所属機関)
  • 川田 通広(高知大学医学部附属病院)
  • 加賀谷 正(新東京病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床における下肢静脈瘤治療における局所麻酔下レーザー治療の安全性および有効性を検討し、下肢静脈瘤血管内レーザー治療法の精度を向上させるために、血管内流体変化情報の検索を行うことを目的とした。
研究方法
使用確認試験として下肢静脈瘤治療に対する血管内レーザー治療法使用確認試験は医用半導体レーザー装置UDL-15を使用し、症例30例登録後、術後成績を検討した。
ファイバー先端周囲の温度変化については、シリコンチューブを使用して閉鎖型循環回路を作製し、810nmのレーザー光5W,10W,15Wでの先端周囲温度変化を評価した。
下肢静脈瘤治療用レーザーファイバー先端の炭化状態変化については光ファイバーには径400umの治療用ファイバーを用い,レーザー焼灼を10秒、20秒、30秒、40秒、50秒焼灼毎にファイバー先端CC面積を計測。
レーザー治療熱の深部静脈に対する影響では、血液を内径10mmのシリコンチューブに充填させ,流体中でレーザー出力を5W,15Wとし,赤外線サーモグラフィーにて温度計測を行った。
結果と考察
2008年1月1日より登録開始した30症例について重篤な合併症は0/30例(0%)。 
術後早期の非閉塞0/30例(0%)および再疎通例0/30例(0%)。
ファイバー先端周囲の温度変化については、ファイバー先端がcarbonization化していない状態では,温度上昇2℃以内で、carbonization後では、20℃以上。
下肢静脈瘤治療用レーザーファイバー先端の炭化状態変化についてはcarbon cap長は5wで2.66±0.31mm,10wで3.53±0.68mm,4.86±0.69mm。
サーモグラフィーによる血管外からの測定では血管内膜側温度は、蛋白凝固点70度を超えなかった。
下肢静脈瘤レーザー治療の確認試験が全例登録され、1年間の追跡調査が40%終了、安全性は確保されていた。
ファイバー先端周囲の温度計測、ファイバー先端のCarbonCap、大腿静脈に対する影響に関して波長810nmにおける血液中での温度変化ならびに先端の蛋白付着状態が観察されたが、本邦でのレーザー治療機器使用状況では、より高温に温度変化すると考えられる。
さらなる客観的指標および機器性能評価されたレーザー機器の生体応用が望ましい。
結論
現段階において下肢静脈瘤レーザー治療は安全で有効な治療方法と考えられた。
下肢静脈瘤血管内レーザー治療法の精度を向上させるためには、レーザーファイバー先端状態を加味した焼灼方法が望ましいと考える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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