シロリムスによるリンパ脈管筋腫症の第Ⅲ相国際共同臨床試験:MILES trial

文献情報

文献番号
200818003A
報告書区分
総括
研究課題名
シロリムスによるリンパ脈管筋腫症の第Ⅲ相国際共同臨床試験:MILES trial
課題番号
H19-臨床試験・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中田 光(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 義一(国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
  • 吉澤 弘久(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 田澤 立之(新潟大学 医歯学総合病院 生命科学医療センター)
  • 高田 俊範(新潟大学 医歯学系 第二内科)
  • 寺田 正樹(新潟大学 医歯学総合病院 第二内科)
  • 中山 秀章(新潟大学 医歯学総合病院 第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究・予防・治療技術開発研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
62,534,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis: LAM)は若年女性が罹患し、進行性予後不良の難治性稀少疾患である(15年生存率68%)。現時点で有効な治療法はない。本邦で約173例が報告されている。最近、米国で免疫抑制剤シロリムスのⅠ・Ⅱ相試験が行われ、呼吸機能が改善することが示唆された。07年より国際共同臨床試験が始まっており、新潟大学と近畿中央胸部疾患センターが分担施設として参加している。本研究では、本邦の患者へのシロリムスの有効性と安全性を検証し、QOLの向上をはかる。
研究方法
我が国の割り当て目標症例率は、30例である。臨床試験は、二重盲験法を用いて行われる第Ⅲ相多施設共同試験であり、日米加で11施設が参加している。適格患者は登録後、匿名番号化され、さらに実薬群と偽薬群に無造作に振り分けられ、本部より薬が両施設へ送られてくる。患者は、当初2mgの薬剤を服用するが、定期的に採血され薬剤血中濃度を測定し、用量を調節する。検査データと有害事象は、Web上でデータ技術コーディネィティングセンターに登録される。12ヶ月後の1秒量の改善を主要評価項目とする。各アーム患者25例1年目に達したところで中間解析し、実薬群と偽薬群の肺1秒量改善の有意差P値が0.006以下であれば盲験を解除、偽薬群を実薬群に交差編入する。本邦ではシロリムスが認可されていないため、新潟大学と近畿中央胸部疾患センターではそれぞれのIRBに自主臨床試験として申請し、承認された。
結果と考察
我が国の治験申請は、主任研究者フランク・マッコーマックがFDA申請した。08年5月に被験者登録が始まり、09年3月までに22例がエントリーされた。有害事象は計127件報告されているが、口内炎、下痢、高脂血症など比較的軽微なものである。日米加3カ国で66例が登録されており、2009年11月?2010年1月の間に中間解析が行われる予定である。企業による国際共同治験は既に一般的であるが、医師の国際共同研究ネットワークによる国際共同臨床試験は日米加ともに経験がなく、実施にあたってさまざまな問題をクリアしなければならなかった。その過程は日米加それぞれの貴重な経験となり、今後このタイプの国際共同臨床試験に活かすことができると考える。
結論
日米加11施設が参加して、第五相国際共同多施設臨床試験を実施している。2007年3月?2009年3月までに66例のリンパ脈管筋腫症の患者が試験登録され、1年間服薬し、1年後観察の予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-