臨床研究フェローシップ構築に関する研究

文献情報

文献番号
200816006A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究フェローシップ構築に関する研究
課題番号
H18-臨研(教育)・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
福原 俊一(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 郡 義明(天理よろづ相談所病院 総合診療教育部)
  • 松村 理司(洛和会音羽病院)
  • 名郷 直樹(地域医療研究所地域医療研修センター)
  • 渡部 一宏(財団法人聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大学以外の教育病院や地域医療ネットワーク内に将来の臨床研究をリードする人材育成を目的としたリサーチ・フェローシップ・プログラムを構築するモデル事業である。
研究方法
1)Awareness(啓発)臨床研究デザインのスキルアップを目的として少人数のワークショップ等の実施。多忙な医療者へWebsiteに臨床研究に関する自習教材を提供。病院上層部に対し、臨床研究や臨床研究者養成へのニーズ調査を実施。臨床研究の人材育成プログラムを主催している日本のリーダーからロードマップに資する知見を得る。2)Education(人材育成)市中病院や地域医療ネットワーク内で将来の若手リーダーの同定と養成を行う。3)OJT(On the Job Training)初年度に市中病院2病院及び地域医療を担う実地医家グループ内に「臨床研究ユニット」を構築し、そこに育成した若手リーダーをユニット・リーダーとして配置し臨床研究者人材育成プログラムのモデル研究プロジェクトを実施させOJTの場とする。
結果と考察
臨床研究実施の障害となっている時間・人手・専門家の不足、臨床研究を実施する財政的な仕組みがないことに対する方策は十分に立てられていない可能性が示唆された。今後、臨床研究実施の障害を解消する具体的な方策を推進する必要がある。他方、若手医師は臨床研究を行いたいという高い動機付けを持っていることが明らかとなった。また初期研修医の志向が低い研究分野は、集団を対象とした予防疫学研究、医療経済に関する研究、患者心理や患者・患者家族とのコミュニケーションの問題を扱う研究、医療倫理に関する研究、医療サービス・医療政策に関する研究であることがわかった。わが国の医療の質や患者・国民の健康アウトカムの維持・向上には治療・予防的側面と社会的側面の両者に対してバランスをもった視点が必要であり、これらの研究領域の重要性を若手の医師にこれまで以上にアピールする必要性がある。
結論
1)現時点での臨床研究の実施をめぐる問題点を明らかにし、今後の改善策として具体的提案につなげる知見を得た。2)地域医療ネットワークから3名の若手医師が京大MCRコースを受講し、全員MPHを取得した。多目的Websiteに学習教材を追加し、全国の多くの医療者からのアクセスがあった。名市中病院や地域医療ネットワーク内で将来の若手リーダー養成を引き続き行った。3)11件のモデル研究プロジェクトが実施され成果が得られた。そのうち半数以上はデータ収集を終了しデータ解析、論文作成中である。そのうちの一部は論文化に成功し海外の学術誌に原著論文が受理された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200816006B
報告書区分
総合
研究課題名
臨床研究フェローシップ構築に関する研究
課題番号
H18-臨研(教育)・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
福原 俊一(京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 郡 義明(天理よろづ相談所病院)
  • 松村 理司(洛和会音羽病院)
  • 名郷 直樹(地域医療研修センター)
  • 渡部 一宏(財団法人聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大学以外の教育病院や地域医療ネットワーク内に将来の臨床研究をリードする人材育成を目的としたリサーチ・フェローシップ・プログラムを構築するモデル事業である。
研究方法
1)Awareness(啓発)ワークショップの実施。ニーズアセスメント調査の実施。多目的Websiteの充実。2)Education(人材育成)若手リーダー候補の受け入れ。初年度教育の継続。多目的Websiteの活用。3)OJTユニット・リーダーの設置。プロトコール作成・倫理委員会への申請。プロジェクトの実施開始。プロジェクトの論文化。
結果と考察
1)ワークショップを全10回開催し参加者の高い満足度評価を得た。初期研修医253名を対象にキャリア・パスについての調査を9つの研修教育病院で行った。中堅医師310名を対象に臨床研究に対するニーズを明らかにするためのWeb調査を行った。研修指定病院の上層部301名(施設)に臨床研究に対する認識を明らかにするための郵送調査を行った。e-learningシステムを利用した教育として、多目的Websiteに3つの自習教材を提供した。「臨床研究ミニレクチャー入門編:臨床研究の入り口」(名郷直樹)、「臨床研究の論文化」(Brian Budgell)、「メタアナリシス―フィールドとお金がなくてもできる臨床研究」(野口善令)、「臨床研究イントロダクション」(福原俊一)である。2)平成19年度MCRコースに4名の若手医師を入学させ集中的なコースワークの履修、プロトコールの作成、課題研究発表を行わせた。3)人材育成プログラム修了者をユニット・リーダーおよびサブ・リーダーとして4名配置した(2病院に3名、地域に1名)。モデル病院での研修医の研究能力開発支援、後期研修医に対する抄読会の企画・実施(計25回)疫学レクチャー(計7回)リサーチ・ラウンド(計10回)を行った。
結論
臨床医・看護師・薬剤師のニーズアセスメントを行い人材育成や学習機会・学習コンテンツの提供方法を明確にできた。多目的Websiteは3年次のみでも4000件を超すヒット数があり、臨床研究のAwarenessとして適切であったと考えられる。臨床研究に関心が高いことが示されたが、ハード・ソフト面でのインフラストラクチャーの不整備や人材育成の不足等の問題点が抽出された。今後、臨床研究実施の障害を解消する具体的な方策を推進する必要がある。11件のモデル研究プロジェクトのうち半数以上はデータ収集を終了し、データ解析、論文作成中である。そのうちの一部は論文化に成功し、海外の学術誌に原著論文が受理された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200816006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)ニーズアセスメントの結果に合致した、臨床研究の方法についての少人数のワークショップを臨床医・看護師・薬剤師向けに計10回開催し、さらにワークショップに参加できない臨床家に対してもWeb上で学習コンテンツを提供するしくみを試みた。成果としては、参加者からの高い満足度を得られ、またWeb上のコンテンツに対する多くのアクセスにみられるように大きな反響があり、臨床研究のAwarenessに貢献した。
2)モデル研究の一部は完結し、原著論文として国際学会誌にアクセプトされた。

臨床的観点からの成果
各モデル病院でのリーダー育成の目的で、選ばれた人材を京大のMCRプログラムで集中的なトレーニングを行った。育成した人材は所属施設に戻り、施設で臨床研究に関する教育活動を行った。各施設では、リーダーを中心に11件のモデル研究プロジェクトが企画・実施され、よきOn the Job Trainingの場となった。日常診療からの疑問をリサーチ・クエスチョンにした臨床研究を企画・実施することは、単なる研究活動にとどまらず、診療の活性化や診療の気づきにつながり、医療の質の向上にも寄与しうることが示唆された。
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
初期研修医、中堅医師、病院上層部に対するニーズ調査を行った。
その結果
1)臨床研究に対する関心が極めて高いことが示された。
2)ハード・ソフト面でのインフラストラクチャーの不整備(データ・センター、統計家などの専門家、研究に有効に使える研究助成方法)
3)臨床研究を担う人材育成プログラム(系統的な教育システム、多層的な指導医層、実効性の高いコンサルテーションのしくみ)の不足等の問題点が抽出された。
成果は、国内の雑誌に掲載され、期待される厚生労働行政の具体的な内容を提示することに貢献した。
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
39件
その他論文(和文)
15件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
河野あゆみ、萱間真美、グレッグ美鈴
専門看護師、認定看護師、教育担当看護師における臨床看護研究の教育ニーズの実態
日本看護学教育学会誌 , 17 (2) , 31-40  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-