障がい者の熱中症発生の実態に基づいた予防の支援方法に関する研究

文献情報

文献番号
202027023A
報告書区分
総括
研究課題名
障がい者の熱中症発生の実態に基づいた予防の支援方法に関する研究
課題番号
20LA1010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 徹(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 羽田 恵子(山田 恵子)(東京大学 医学部附属病院)
  • 横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科救急医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,250,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究代表者  緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(令和2年10月1日~令和2年12月31日) → 東京大学医学部附属病院(令和3年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
熱中症は暑熱環境、本人の熱耐性、暑さへの対応行動、の複合的要因が重なって発生すると考えられ、高齢者だけでなく障害者も熱中症の発症リスクを高める要因を持っていると考えられる。障害者はその背景疾患により多様であり、一般的な予防策の他、どのような点に注意が必要なのか不明な点が多い。また、これまで実際にどのような場面で障害者が熱中症を発症しているかの実態も不明であるため、現状で障害者を対象として提供されている熱中症予防の呼びかけ・情報提供がどの程度実際の発生に対して有効かについては不明である。障害者に対する熱中症予防を進めていくうえで、どういった情報をどのように伝達するかを明らかにすることは、慢性期障害者の増加と高齢化が進んでいく中で、安全な社会参加を実現していくために喫緊の課題となっている。
研究方法
本研究では障害者における熱中症予防を進める上でのアプローチとして、①実際に熱中症が生じている状況を踏まえた対応策を明確にすること、そして②予防に関する情報を障害者の生活の現場に確実に届けること、を提案する。本研究の目的は、障害者において熱中症発症のリスクの高い状態を明らかにし、そのリスク軽減に必要な情報を障害当事者あるいは支援者に届けることで、夏季の暑熱環境下において障害者当事者が安心して生活することを支援することである。
結果と考察
障害者の熱中症の実態:2019年にデータベースに登録された熱中症搬送者の中で64歳以下で日常生活に何らかの不自由を持つ人の割合は5%であることが明らかとなった。さらに発生状況をみると82%が日常生活中での発生であり、また38%は屋内での発生であることが分かった。
障害者の支援者への情報伝達: 効果的な情報伝達手段として、熱中症の症状出現時に当事者または支援者が利用するスマートフォンアプリを作成し、その中で情報伝達を行う方法を立案した。これは救急搬送データベースとも連動し、障害情報を収集することで今後にわたって障害者の熱中症発生の実態を把握することに寄与することが期待される 
体温冷却機器の有用性実証: これまで開発を行ってきた頚部の熱吸収システムについて頚部装着部位の改良を行い、吸熱効果の向上(最大20W)を得た。
結論
障害者の熱中症発生の実態調査として障害者が利用する入所・通所施設を対象とした郵送調査の準備を進めている。この調査では実態と同時に支援者の必要としている情報についても調査する予定となっている。本研究で開発しているスマートフォンアプリは完成後に一般に公開され、幅広い利用者からのデータを夏季に得られる見通しである。冷却システムについては2021年夏に設置が予定されているクールスポットでの運用準備を進めている。

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202027023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
4,913,000円
差引額 [(1)-(2)]
87,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,267,992円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 1,896,000円
間接経費 750,000円
合計 4,913,992円

備考

備考
自己資金992円

公開日・更新日

公開日
2022-03-02
更新日
-