大規模災害時の保健医療活動に係る行政の体制モデルの構築と災害時の情報を活用した運用に関する研究

文献情報

文献番号
202027012A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害時の保健医療活動に係る行政の体制モデルの構築と災害時の情報を活用した運用に関する研究
課題番号
19LA1009
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 奈穂子(宮崎大学 医学部)
  • 木脇 弘二(熊本県菊池保健所)
  • 服部 希世子(熊本県天草保健所)
  • 高橋 礼子(愛知医科大学 災害医療研究センター)
  • 笠岡 宜代(坪山 宜代)(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過去の大規模災害の経験を踏まえ、厚生労働省や都道府県庁、市区町村などの自治体(以降、各行政レベル)において、災害時の保健医療支援活動を行うための体制整備、マニュアル作成、訓練や研修の実施など防災減災体制が推進されてきている。そのような中でDMATやDPAT、日赤救護班、DHEATなどの各支援チームでは、全国的な訓練・研修を通じて支援・受援の標準モデルが確立されてきており、実災害時の支援・受援経験を経て、災害時に対応すべき保健医療活動の項目の複雑化と、保健・医療・精神などの各領域を超えた対応の必要性が明らかとなってきている。一方、行政側では、各支援チームと連携しつつ領域横断的な対応を行うことができる体制作りが求められている。これらの課題を踏まえ、本研究においては、SIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化)」と連携し、各支援チームと行政組織が災害時に協働できる体制モデルの検討と、その体制を運用するための情報共有の中身と方法、及び訓練や研修を通じた体制の実証と評価を行うことを目的とする。
研究方法
本研究で目標とする2つの研究目的を達成するために、医療領域(精神医療含む)・DMAT/DPATを研究分担者の高橋・河嶌、保健領域・DHEATを研究分担者の服部、福祉領域・DWAT/DCATを研究分担者の原田、栄養領域・JDA-DATを研究分担者の笠岡、日本赤十字社の領域を研究分担者の近藤、そしてこれらの領域と連携する行政領域の担当として木脇というように、保健・医療・福祉の各領域や災害時の支援チームの種類に応じて研究分担者を割り当てることにした。なお、災害時は、医療・保健・福祉の各領域及びDMATをはじめ、DPAT、DHEAT、日赤救護班、JDA-DAT、DWAT/DCATなどの各支援チームは連携を取りつつ協働しなければならないため、本研究においても、分野ごとの担当の割り当ては行なったものの、研究遂行にあたっては研究代表者・研究分担者全員で同じ課題に向かい合い解決していくこととした。そのため、研究代表者から全ての研究分担者へ同一の依頼をかけ、それぞれの分野における見解・意見・情報提供を経るプロセスにて研究活動を行なった。
結果と考察
2020年度は、2019年度に作成した体制モデルの実証・評価プロセスの机上演習プロトタイプを、九州ブロックの災害対応訓練で利用すべく準備と実施の企画を行なった(新型コロナウイルスの終息が見通せず、実施には至らなかった)。また、令和2年7月豪雨において、SIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化)」で構築している情報システムD24H(災害時保健医療福祉活動支援システム)が熊本県の保健医療調整本部で活用されたことを受け、行政における情報システムのあり方、保健・医療・福祉のステークホルダーの実災害時の活動スケジュールの整理を行い、体制モデルのあるべき姿の検討を行なった。
結論
大規模災害時の保健医療活動に係る行政の体制モデルの構築に向けて、災害発生直後から時間軸に応じて被災地で協働する支援チーム及び行政が連動して支援活動を行うための訓練企画の整理を行なった。本来であれば令和2年度末に九州ブロックにおいて、熊本県を被災地と見立てた医療・保健・福祉が連動する実働訓練を考えていたが、新型コロナウイルス流行の影響により、実現には至らなかった。流行の終息が見通せない中ではあるが、2021年度での訓練実現に向けた準備となった。
 また、令和2年7月豪雨においてSIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化)」で構築している情報システムD24H(災害時保健医療福祉活動支援システム)が活用されたことで、行政に求められる内容が明らかになりつつある。今後は、医療、保健、福祉のステークホルダーと意見を重ね、災害時に情報を軸とした行政の体制を支援できる体制づくりへと展開する予定である。

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202027012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,900,000円
(2)補助金確定額
1,890,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,010,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 267,504円
人件費・謝金 16,200円
旅費 112,385円
その他 594,000円
間接経費 900,000円
合計 1,890,089円

備考

備考
自己資金89円

公開日・更新日

公開日
2022-02-25
更新日
-