地域保健における保健所に求められる役割の明確化に向けた研究

文献情報

文献番号
202027006A
報告書区分
総括
研究課題名
地域保健における保健所に求められる役割の明確化に向けた研究
課題番号
19LA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
尾島 俊之(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 勝彦(大分県東部保健所)
  • 福永 一郎(高知県安芸福祉保健所)
  • 大木元 繁(徳島県三好保健所)
  • 白井 千香(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学教室)
  • 永井 仁美(大阪府富田林保健所)
  • 土屋 厚子(静岡県健康福祉部)
  • 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学 医学部 疫学・予防医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルス感染症の流行等の新たな課題への対応も含めて、保健所業務の現状を把握、分析、整理し、保健所に求められる役割を明確化し、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の改正等に向けての政策的提言を行うことを目的とした。
研究方法
全国保健所長会と連携し、全国の保健所を対象として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケート、保健所の体制整備・機能強化に関する全国保健所調査を行うと共に、Webによる研究班会議を毎月開催するなどして、政策提言事項を含めて保健所のあり方等についての検討を行った。また、保健所保健師数・職員数と管内人口の関連についての分析を行った。さらに、保健所活動の具体的な事例として、高知県安芸福祉保健所における「健康づくり・多様な健康問題」への取組について取りまとめを行った。
結果と考察
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケート】 第一波の時点において、相談センター(帰国者・接触者相談センター)の運営について、24時間対応を全て直営で実施している保健所が66.1%であるなど、保健所に過大な負荷がかかっていた。
また、重症患者が増加した際の受け入れ体制の整備、情報の共有・提供体制の整備等の早急に対応すべき要望事項がまとめられた。
【保健所の体制整備・機能強化に関する全国保健所調査等】(1) 健康危機管理:365日24時間連絡体制、災害発生時の地域保健医療調整本部の立ちあげの予定などが確認できたが、平常時からの人的かつ物的体制整備や危機発生時の具体的な対策の準備が必ずしも十分ではない。(2) 総合的な保健医療福祉システム:ソーシャルキャピタルに関する保健所の取組については一定程度の拡がりが観察された。また、人口動態統計や国保データベースシステム(KDB)などを用いた地域診断、優先課題の把握など多くの保健所が必要であると回答した。(3) 食品衛生・環境衛生対策:広域食中毒、クックチルドなど新たな調理形態への対応について情報共有する仕組みや衛生管理の規範を迅速に策定する方策の検討が必要である。住環境対策として、災害時住宅衛生対策やヒートショック対策も必要性がある。(4) 健康づくり・多様な健康問題:地域職域連携の推進の必要性については多くの保健所が認識していた。難病に関しては、実施水準の検討が必要である。(5) 保健所及び市町村保健センターの整備及び運営:人材確保では公衆衛生医師の確保の他、保健師の定数確保が困難との回答も一定割合見られた。(6) 地域保健対策に係る人材の確保、資質の向上、人材確保計画の策定:保健師職の人材育成指針や、医師職の社会医学系専門医制度を活用した人材育成が始まっている一方で、薬剤師・獣医師や管理栄養士などの少数職種においては、取組はまだ少ない。(7) 地域保健に関する調査及び研究:調査分析の機能は9割以上の保健所が強化すべきと答えた。保健所現場におけるハード及びソフトなどの調査研究環境の改善が必要である。(8) 高知県安芸福祉保健所における「健康づくり・多様な健康問題」への取組:保健所活動の具体的な事例として取りまとめを行った。
【保健所保健師数・職員数と管内人口の関連】管内人口と、人口10万対保健師数・職員数は、それぞれ対数変換することにより一定の回帰直線に沿って分布していることが明らかとなった。なお、県型保健所については、ほとんどの保健所が一定の幅の中に分布したが、市区型保健所は自治体による差が大きい結果であった。
【今後の地域保健のあり方に関する提言】人材確保・人材育成、健康危機管理体制、組織体制、情報連携・調査研究の推進、ソーシャルキャピタル・連携等について提言内容が整理された。
結論
健康危機管理、総合的な保健医療福祉システム、食品衛生・環境衛生対策、健康づくり・多様な健康問題、保健所及び市町村保健センターの整備及び運営、地域保健対策に係る人材の確保・資質の向上・人材確保計画の策定、地域保健に関する調査及び研究などに関して現状を明確化し、今後のあり方について検討を行った。短期的、中長期的に地域保健体制を強化し、人々の健康の確保を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-05-17
更新日
2022-05-19

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-05-17
更新日
2022-05-19

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202027006B
報告書区分
総合
研究課題名
地域保健における保健所に求められる役割の明確化に向けた研究
課題番号
19LA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
尾島 俊之(浜松医科大学 医学部健康社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 勝彦(大分県東部保健所)
  • 福永 一郎(高知県安芸福祉保健所)
  • 大木元 繁(徳島県三好保健所)
  • 白井 千香(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学教室)
  • 永井 仁美(大阪府富田林保健所)
  • 土屋 厚子(静岡県健康福祉部)
  • 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学 医学部 疫学・予防医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルス感染症の流行等の新たな課題への対応も含めて、保健所業務の現状を把握、分析、整理し、保健所に求められる役割を明確化し、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の改正等に向けての政策的提言を行うことを目的とした。
研究方法
初年度は、7つの課題分野ごとに関係者等を招へいしてフォーカスグループディスカッション、訪問インタビュー調査等を行い地域保健の推進に係る課題を抽出した。
2年目は、全国保健所長会と連携し、全国の保健所を対象として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケート、保健所の体制整備・機能強化に関する全国保健所調査を行うと共に、Webによる研究班会議を毎月開催するなどして、政策提言事項を含めて保健所のあり方等についての検討を行った。また、保健所保健師数・職員数と管内人口の関連についての分析などを行った。
結果と考察
【フォーカスグループディスカッション及び保健所の体制整備・機能強化に関する全国保健所調査】(1) 健康危機管理:感染症のアウトブレイク、災害、薬剤耐性(AMR)などへの対応が重要である。365日24時間連絡体制、災害発生時の地域保健医療調整本部の立ちあげの予定などが確認できている。(2) 総合的な保健医療福祉システム:ソーシャルキャピタルに関する取組、市町村への伴走支援など重要である。(3) 食品衛生・環境衛生対策:広域食中毒、クックチルドなど新たな調理形態への対応について情報共有する仕組みや衛生管理の規範を迅速に策定する方策の検討が必要である。住環境対策として、災害時住宅衛生対策やヒートショック対策も必要性がある。(4) 健康づくり・多様な健康問題:地域職域連携の推進の必要性については多くの保健所が認識していた。取組の地域格差対策は重要であり、難病の実施水準の検討なども必要である。(5) 保健所及び市町村保健センターの整備及び運営:統括保健師の配置について基本指針への明記を望む声が多かった。人材確保では公衆衛生医師の確保の他、保健師の定数確保が困難との回答も一定割合見られた。(6) 地域保健対策に係る人材の確保、資質の向上、人材確保計画の策定:保健師職の人材育成指針や、医師職の社会医学系専門医制度を活用した人材育成が始まっている一方で、薬剤師・獣医師や管理栄養士などの少数職種においては、取組はまだ少ない。(7) 地域保健に関する調査及び研究:調査分析の機能は9割以上の保健所が強化すべきと答えた。保健所現場におけるハード及びソフトなどの調査研究環境の改善、大学等との連携が必要である。
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケート】 第一波の時点において、相談センター(帰国者・接触者相談センター)の運営について、24時間対応を全て直営で実施するなど、保健所に過大な負荷がかかっていた。また、重症患者が増加した際の受け入れ体制の整備、情報の共有・提供体制の整備等の早急に対応すべき要望事項がまとめられた。
【保健所保健師数・職員数と管内人口の関連】管内人口と、人口10万対保健師数・職員数は、それぞれ対数変換することにより一定の回帰直線に沿って分布している。
【今後の地域保健のあり方に関する提言】人材確保・人材育成、健康危機管理体制、組織体制、情報連携・調査研究の推進、ソーシャルキャピタル・連携等について提言内容が整理された。
結論
 初年度の検討の結果、保健所が持つべき役割の今後の重点として、地域格差等への支援、新たな業態・課題への対応、健康危機管理が整理された。現行の基本指針に示された基本的な方向のうち、ソーシャルキャピタルについては、組織間のものなど実効向上の一層の推進が必要である。解釈付きの疫学統計情報の提供、レセプトデータ等を活用した評価や健康格差をもたらす要因分析などが保健所の役割として期待される。健康危機管理については、感染症や災害等に的確に対応できる体制が必要である。また、組織体制の違いがあっても支援・受援が行われるような事前の調整の強化が必要である。
新型コロナウイルス感染症の流行により、保健所に大きな期待が寄せられるようになった。2年目の研究により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケート、保健所の体制整備・機能強化に関する全国保健所調査、Webによる研究班会議での検討等を行い、今後の地域保健のあり方に関する提言事項をまとめた。短期的、中長期的に地域保健体制を強化し、人々の健康の確保を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-05-17
更新日
2022-05-19

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-17
更新日
2022-05-19

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202027006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
保健所の現状や地域保健体制のあり方についての調査・検討を行って成果をとりまとめた。多職種の専門職による保健担当機関が全国の全ての地域を網羅している日本の保健所のシステムは、世界的にも希な公衆衛生システムであり、この検討は専門的・学術的意義が高い。
臨床的観点からの成果
新型コロナウイルス感染症の流行に対して、保健所の体制・医療提供体制の状況や、今後の対応に必要な物資や支援等を明らかにして、対応の改善に資するものとなった。さらに今後の地域保健のあり方について検討し、今後の保健医療活動の向上に資する成果をまとめた。
ガイドライン等の開発
「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の新型コロナウイルス感染症流行に対応するための改訂の検討において、本研究班の成果が活用された。
その他行政的観点からの成果
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケートの結果等を元に、全国保健所長会から厚生労働省への要望等が行われ、対応の強化に資するものとなった。
その他のインパクト
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急アンケートの結果について、2020年4月25日に日本記者クラブにおいて全国保健所長会による記者会見が行われ、NHKニュースを始めとした種々の報道が行われ、保健所の活動についての一般国民の理解を促進した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-17
更新日
2023-05-24

収支報告書

文献番号
202027006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,300,000円
(2)補助金確定額
5,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,195,673円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 2,881,327円
間接経費 1,223,000円
合計 5,300,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-02-21
更新日
-