ブレインーマシン・インターフェイス(BMI)による障害者自立支援機器の開発

文献情報

文献番号
200813001A
報告書区分
総括
研究課題名
ブレインーマシン・インターフェイス(BMI)による障害者自立支援機器の開発
課題番号
H20-拡張・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立身体障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 神作 憲司(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 山海 嘉之(筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(活動領域拡張医療機器開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
62,110,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
BMI技術を障害者が実際に使うべく開発し、機能を取り戻して活動領域を拡張し、福利厚生に資する。
研究方法
システム脳科学の視点から、脳波を用いたBMIにより、障害者の生活環境制御を行うための研究開発を行った。さらに、ニーズ調査も行い対象となる疾患・障害を検討した。また、ロボットスーツHALを改良・活用し、基礎試験用のHALの部材の設計と部材の試作を行い、従来装置を改良した試験モデルを準備し、基礎実験を行った。
結果と考察
視覚刺激を注視した際に生じる脳波信号を利用した環境制御システム(BMI-ECS)を開発し、これを四肢麻痺の障害者が特段のトレーニングを行わず高効率に制御できることを確認した。また、この視覚刺激として、これまでの輝度変化に加えて色変化を用いることで、正解率を向上させることに成功した。運動イメージ時の脳波信号を利用する研究では、YES、NOの符号化信号を高効率に取り出すことにも成功した。さらに脳磁図(MEG)を用いて、運動イメージ時と他者の運動知覚時の脳からの信号の特性を比較検討し、高次視覚野における同期の様子が両者で異なることを見出した。
脳波計測装置の開発では、4ch、24bitのデータ取得を可能とし、これによりBMI-ECSが稼働することを確認した。また、上記を実現するためのBMIシステム・ソフトウェア開発を行い、視覚刺激提示モジュール、制御コマンドを受けて動作するVR生活環境、脳波計デバイスドライバ用ラッパーDLLを実装した。また運動の補助に向け、BMI型上肢パワーアシストスーツの開発も行い、手指による把持動作、脳波信号によるスイッチング動作、VRによる被験者評価環境を実現した。
筑波大学にて研究開発を進めてきた上肢型HALを基に改良を加えた上肢用HALの試作モデルを製作し、基礎実験を行った。また、下肢バージョンについても、当該研究推進で活用できるように、機構的/電子的/制御論的機能を拡充した。更に,BMIに関しても可能な範囲で試行を行った。人間の上肢の可動域を検討し、これをもとに、可能な限り対応できるよう設計変更を加え、実際の試験を通して検証を行った。
結論
BMIを用いた生活環境制御装置による日常生活の補助や、コミュニケーションの補助、アシストスーツによる運動の補助を介して、障害者が失った機能を取り戻し、活動領域を拡張していく可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-