実践を踏まえた災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の質の向上、構成員、受援者の技能維持に向けた研究

文献情報

文献番号
202027002A
報告書区分
総括
研究課題名
実践を踏まえた災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の質の向上、構成員、受援者の技能維持に向けた研究
課題番号
19LA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
服部 希世子(熊本県天草保健所)
研究分担者(所属機関)
  • 木脇 弘二(熊本県菊池保健所)
  • 藤内 修二(大分県福祉保健部)
  • 内田 勝彦(大分県東部保健所)
  • 池邉 淑子(大分県豊肥保健所)
  • 市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
  • 緒方 敬子(熊本県御船保健所)
  • 小倉 憲一(富山県厚生部)
  • 武智 浩之(群馬県利根沼田保健福祉事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では実災害におけるDHEAT活動検証をもとに、1) 平時・発災時のDHEAT運用体制、2) 迅速・効率的なDHEAT出動体制、3) 活動の検証と応援の在り方、4) 受援体制の構築支援、5) 中長期の公衆衛生業務各論の5つに整理し、検討を行う。これらの成果をDHEAT活動ハンドブックや養成研修へ反映させ、活動要領改正につなげることにより、今後のDHEAT制度維持、活動の質の向上に資することを目的とする。
研究方法
令和2年度はさらに研究を進める計画であったが、新型コロナウイルス感染症パンデミックへの対応を最優先とするため、本研究計画を柔軟に変更し、今後のDHEAT体制整備の資料とするため、以下2つのアンケート調査を実施した。
(1)令和2年7月豪雨災害におけるDHEAT活動に関するアンケート調査:令和2年7月豪雨災害ではDHEAT3回目の出動となり、6自治体から合計9班のDHEATが3か所の被災保健所へ派遣され、活動を行った。被災地で活動を行ったDHEAT47名および派遣元自治体職員6名を対象としたアンケート調査を実施し、検証を行った。
(2)施設・避難所等ラピッドアセスメントシートによる評価に基づく避難所保健医療福祉活動の意思決定に係るウェブアンケート調査:収集された避難所情報に基づき、限られた人的・物的資源の優先的な配分調整に関する迅速かつ的確な意思決定に資することを目的に、令和2年7月豪雨災害で活動したDHEATおよび群馬県・熊本県に所属し避難所における支援経験を持つ保健師等を対象に、ウェブアンケート調査を実施した。


結果と考察
(1)令和2年7月豪雨災害におけるDHEAT活動に関するアンケート調査: DHEAT活動の課題として、①コロナ禍での応援体制、②派遣前の準備、③活動時期、④情報収集、⑤支援チームとの連携、⑥ロジスティックス業務、⑦活動終了後、⑧知識・技術、⑨ストレスケア、の9つに集約し、それぞれ検討を行った。DHEATへの調査は今回初めてであり、特にDHEATの派遣前、派遣後の課題についてはこれまで重点的に検討されておらず、貴重な資料を得ることができた。DHEAT派遣元自治体の後方支援体制については、統一した体制や後方支援のノウハウは示されておらず、今後の研究課題であることが分かった。
(2)施設・避難所等ラピッドアセスメントシートによる評価に基づく避難所保健医療福祉活動の意思決定に係るウェブアンケート調査:避難所対応の優先順位として、生命維持に必要な「飲料水・食事・トイレ」の優先順位が高く、次に感染症対策、環境整備につながる「電気・毛布等寝具・生活用水・手洗い環境」が続き、ラピッドアセスメントシートに基づく避難所対応の優先順位、その考え方について明らかとなった。また、避難所の情報収集等の課題として、様式やアセスメント方法の統一、正確な情報の迅速な集約と共有、バックアップ体制の確保が挙げられた。避難所情報収集等では、被災市町村等とともに急性期から活動する保健医療活動チームとの連携が必須であること、平時からの研修の重要性が改めて示された。
結論
令和2年7月豪雨災害におけるDHEAT活動アンケート調査により、DHEAT活動の課題を、①コロナ禍での応援体制、②派遣前の準備、③活動時期、④情報収集・情報共有、⑤支援チームとの連携、⑥ロジスティックス業務、⑦活動終了後、⑧知識・技術、⑨ストレスケア、の9つに整理し、それぞれ解決の方向性を示すことができた。DHEATへの調査は今回初めてであり、特に派遣前、派遣後の課題については新たに明確になった課題であると言える。また、DHEAT派遣元自治体による後方支援体制についてさらに研究、整理が必要であることが分かった。
 施設・避難所等ラピッドアセスメントシートによる評価に基づく避難所保健医療福祉活動の意思決定に係るウェブアンケート調査では、アセスメント項目に対する対応の優先順位とその考え方を明らかにし、避難所対応で連携すべき支援団体および連携方法について抽出できた。今後のDHEAT体制整備の検討やDHEAT研修でも取り上げるべき課題である。
今年度は新型コロナウイルス感染症対応を最優先とするため研究計画を変更せざるを得なかったが、感染症パンデミックは災害と同じく健康危機管理への対応であり、実際に対応の最前線である保健所では患者への個別対応だけでなく、情報収集・分析評価や人的資源の配置調整などマネジメント能力を必要とされる。市町村や地域の職能団体、DMAT等災害時に活動する支援チームとの協働も欠かせないものとなっており、保健所等におけるパンデミックへの対応経験は、今後のDHEAT体制整備の検討に通じるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2021-11-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202027002B
報告書区分
総合
研究課題名
実践を踏まえた災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の質の向上、構成員、受援者の技能維持に向けた研究
課題番号
19LA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
服部 希世子(熊本県天草保健所)
研究分担者(所属機関)
  • 木脇 弘二(熊本県菊池保健所)
  • 藤内 修二(大分県福祉保健部)
  • 内田 勝彦(大分県東部保健所)
  • 池邉 淑子(大分県豊肥保健所)
  • 市川 学(芝浦工業大学 システム理工学部)
  • 緒方 敬子(熊本県御船保健所)
  • 小倉 憲一(富山県厚生部)
  • 武智 浩之(群馬県利根沼田保健福祉事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では実災害におけるDHEAT活動検証をもとに、DHEAT運用・出動体制や応援の在り方の提言、市町村等との合同訓練モデルの提示、中長期業務各論の整理を行い、DHEATの機能強化に向けて包括的に検討を行う。研究成果をDHEAT活動要領の改定、DHEAT活動ハンドブック改訂やDHEAT養成研修等の検討に活用し、災害時に効果的なDHEAT活動を展開することで、災害関連死の発生を最小限に制御し得る保健医療体制の整備に資することを目的とする。
研究方法
DHEAT活動の課題を 「平時・発災時のDHEAT運用体制」、「迅速・効率的なDHEAT出動体制」、「DHEAT活動検証と応援の在り方」、「受援体制の構築支援」、「中長期の公衆衛生業務各論」の5つに分け、テーマごとに研究分担者を決め、研究代表者と各研究分担者が協同して研究を行った。令和2年度は新型コロナウイルス感染症パンデミック対応のため研究計画を変更し、今後のDHEAT体制整備の資料とするため、令和2年7月豪雨災害におけるDHEAT活動に関するアンケート調査および施設・避難所等ラピッドアセスメントシートによる評価に基づく避難所保健医療福祉活動の意思決定に係るウェブアンケート調査を実施した。
結果と考察
全国的なDHEAT運用体制として、都道府県等における統括的なDHEATの配置、地域ブロック・全国区DHEAT協議会の設置について提案を行った。また、DHEAT待機基準を作成し、先遣隊体制の検討を行った。受援側と支援側の共通理解を目的に「DHEATに期待される役割リスト」を作成した。保健所や市町村における受援体制構築のため、フェーズ毎に訓練に盛り込むべき内容を整理した。都道府県災害関連マニュアル等を災害時の対策別に整理し、過去の災害記録等から車中泊や在宅被災者支援等中長期に必要となる標準的な対応策について検討した。令和2年度は新型コロナウイルス感染症対応のため研究計画を変更し、令和2年7月豪雨災害におけるDHEAT活動および避難所アセスメントに関するアンケート調査を実施した。令和2年7月豪雨災害におけるDHEAT活動アンケート調査では、DHEAT活動の課題を①コロナ禍での応援体制、②派遣前の準備、③活動時期、④情報収集、⑤支援チームとの連携、⑥ロジスティックス業務、⑦活動終了後、⑧知識・技術、⑨ストレスケア、の9つに整理し、それぞれ解決の方向性を示した。活動したDHEATへの調査は今回初めてであり、特に派遣前、派遣後の課題については新たに明確になった課題であった。また、DHEAT派遣元自治体による後方支援体制についてさらに研究整理し、体制整備が必要であることが分かった。施設・避難所等ラピッドアセスメントシートによる評価に基づく避難所保健医療福祉活動の意思決定に係るウェブアンケート調査では、アセスメント項目に対する対応の優先順位とその考え方を明らかにし、避難所対応で連携すべき支援団体および連携方法について抽出できた。
結論
実災害におけるDHEAT活動の研究をとおして、全国的なDHEAT運用体制や応援のあり方を含めたDHEAT活動要領の改定、DHEAT活動の情報支援システムの確立、中長期業務ノウハウを盛り込んだDHEAT活動ハンドブック改訂の必要性が明確となった。

公開日・更新日

公開日
2021-11-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202027002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
実災害におけるDHEAT活動検証をもとに、近接性優先の段階を踏んだDHEAT応援体制構築の必要性を明確にし、自治体におけるDHEAT活動体制の強化(都道府県内応援体制の構築、DHEATを継続的に派遣できるための人材確保、統括的なDHEATの配置)、地域ブロック内の連携強化、全国的なDHEAT事務局設置を提案、新たな応援フロー図を作成した。今後の応援体制構築のための貴重な資料、議論の基盤となり得る。
臨床的観点からの成果
 平時における自治体内での訓練資料とするため、発災直後から亜急性期までフェーズごとに訓練に盛り込む内容の整理を行った。また、47都道府県、省庁や学会等の災害関連マニュアル等全175資料を、災害時の保健医療福祉活動に必要な対策別に整理し、研究資料とした。
 施設・避難所等ラピッドアセスメントシートの情報項目から、避難所対応の優先順位とその考え方について明らかとなり、避難所対応を進めていくにあたって連携すべき団体や組織、連携方法について方向性を示した。
ガイドライン等の開発
 受援側と支援側が共通理解のもとにDHEAT活動が円滑に遂行できることを目指し、DHEATに期待される役割リストを作成、研修等での周知を行った。
その他行政的観点からの成果
特記なし
その他のインパクト
特記なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-24
更新日
2024-06-21

収支報告書

文献番号
202027002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,700,000円
(2)補助金確定額
2,391,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,309,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 265,540円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 426,070円
間接経費 1,700,000円
合計 2,391,610円

備考

備考
自己資金610円

公開日・更新日

公開日
2022-02-24
更新日
-