文献情報
文献番号
202026013A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質のインビトロ神経毒性評価法の開発
課題番号
19KD1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
諫田 泰成(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究分担者(所属機関)
- 斎藤 潤(京都大学 iPS細胞研究所)
- 渋谷 淳(国立大学法人東京農工大学大学院 農学研究院動物生命科学部門)
- 吉田 祥子(豊橋技術科学大学 工学部)
- 吉成 浩一(静岡県立大学 薬学部)
- 鈴木 郁郎(東北工業大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
21,400,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者(若手育成枠)の小田原あおい博士(当時、東北工業大学)が企業に就職したため、上司の鈴木郁郎准教授が代わりに分担研究者になった。
研究報告書(概要版)
研究目的
現在、発達神経毒性(DNT)は妊娠動物を用いて評価を行っている(OECD 426)。しかし、発達期の曝露と遅発性の神経毒性の関連は明確ではないため、化学物質のDNTを評価する新たな代替法試験の開発が期待される。DNT試験は多数の動物やコストがかかるため、発達過程を模倣できるヒトiPS細胞の利用が期待される。そこで本研究では、OECDと共有している化学物質リストを用いて、主にインビトロとインシリコによる神経毒性評価法の開発を行った。
研究方法
神経系の構造に対する毒性に関しては、細胞増殖および分化能により多くのDNT化合物をスクリーニングできることを明らかにした。次に、機能面として、iPSニューロンのネットワーク評価を行ったところ、増殖・分化で毒性を評価できない化合物の毒性を検出可能であった。インシリコは、分子記述子を用いて、データベースの構築を進めた。また、動物データが不足している化合物はin vivo評価を進めた。
結果と考察
ヒトiPS細胞の分化能により、DNTが懸念される化学物質の評価を行ったところ、一定のスクリーニング性を有することを明らかにした。また、ヒトiPS細胞由来神経細胞のネットワーク活動をMEAで評価することにより機能的な毒性を評価し、暴露時期に応じて祖毒性を評価できることが示唆された。これらのデータは、OECD事務局とオンライン会議で議論を行った。さらに、インシリコは、分子記述子を用いて、データベースの構築を進めた。
結論
ヒトiPS細胞により、構造的あるいは機能的な毒性を評価できることから、ヒトにおける予測性を検証する予定である。現在、インビトロデータと化学物質の構造に基づくインシリコの活用により統合化を図っている。これにより、化学物質のインビトロ神経毒性ガイダンスの作成に貢献する。
公開日・更新日
公開日
2021-08-31
更新日
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