光・磁場応答性ナノ分子プローブの開発とその医療用生体分子イメージング手法への応用

文献情報

文献番号
200812033A
報告書区分
総括
研究課題名
光・磁場応答性ナノ分子プローブの開発とその医療用生体分子イメージング手法への応用
課題番号
H19-ナノ・若手-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
森田 将史(国立大学法人大阪大学 免疫学フロンティア研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小松直樹(滋賀医科大学生命科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生医療や細胞治療において、移植細胞のトラッキングの評価を長期間にわたり、低侵襲的に行うには、移植細胞の生理機能を阻害することなく、細胞を検出することが必要である。本プロジェクトでは、上記目標を達成するための基盤技術として、ナノ炭素化合物の一種である、ナノダイヤモンド(ND)を、MRIや蛍光により検出可能な細胞内長期安定性プローブとして開発すること、および光・磁場応答性NDナノ分子プローブを、MRIと蛍光で同時に検出することを可能にするMRI・蛍光同時検出デバイスを開発し、将来的に臨床用のMRI装置に組み込みことを目指す。
今年度は、①長期安定化プローブとして利用できるようにするためのND造影剤の合成技術の改善、および②マルチモーダル計測デバイスの開発に必要な技術基盤の開発を行った。
研究方法
爆発法で作成されたナノダイヤモンド(ND)(ナノ炭素研究所)をシリコン基盤上に塗布した後、100keVのMn+を1x1016/cm2打ち込んだ(Mn-ND)。その後、アニール処理、空気参加処理を順次施した。合成された磁性NDの物性は、X-band ESR (JES-TE300, JEOL)、7テスラMRI装置、それぞれ調べた。
結果と考察
①については、合成したMn-NDのMRIへの効果を調べるため、7T MRI装置におけるT1強調画像で比較したところ、アニールと空気酸化の両方処理したMn-NDのT1短縮能が大きいことが分かった。②については、11.7T高磁場MRI装置内で生体レベルのMRI画像と細胞レベルの蛍光画像を同時取得するため、RFコイル内にマウス・ラット等のモデル動物へファイバーを用いて近赤外領域の波長のフェムト秒レーザー刺激光を伝送するファイバーシステムを構築した。長期間にわたるナノ粒子による細胞トラッキングのためには、細胞内で、粒子が凝集せず、安定に存在し、細胞本来の生理的機能を阻害しないことが必要である。今回使用したNDは、直径約4nmで、ほぼ炭素原子のみからなるため生体適合性が高いと期待でき、イオン注入法を用いることで、効率的なT1短縮造影剤の合成に成功した。現在、効率的な表面修飾技術も確立しつつあり、将来的な臨床応用可能な造影剤開発につなげていきたい。こうした造影剤が合成できれば、MRSによるメタボノミクス解析と組み合わせることが可能になり、より詳細な生理情報を取得でき、低侵襲医療技術としてのMRIの可能性がさらに広がると期待される。
結論
NDへのイオン注入法によるMRI造影剤合成法という新しい造影剤合成法を提案し、T1短縮効果を持つND粒子の合成に成功した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-04-16
更新日
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