文献情報
文献番号
202025029A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師の職能発揮のための薬学的知見に基づく継続的な指導等の方策についての調査研究
課題番号
20KC1005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
益山 光一(東京薬科大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬分業の進展、調剤機器の充実、患者の疾患状況や医療環境等の社会的な変化が著しい中で、令和元年12月に公布された薬機法等改正法においても、薬局や薬剤師の役割等についても大きな変革を求めている。本研究では、薬剤師が調剤時のみならず、患者の薬剤の服用期間を通じて、服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導について、質の高い薬剤師業務についての明確化を行うことを目的とする。
研究方法
具体的には、これまでの先行的なフォローアップの取組みの実施事例について、これまでの論文、厚生労働省委託事業での自治体でのモデル事業の再整理等を行うとともに、公益社団法人日本薬剤師会で2020年7月に発表した「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第1.0版)」の更なる更新に向けた具体事例の収集・掲載方法の検討に着手する。
また、これまでのかかりつけ薬剤師調査等でのKPI調査結果を踏まえた「かかりつけ薬剤師・薬局の業務」に関する実態調査や、薬局におけるフォローアップ効果の高そうな事例に関する調査研究、病院と薬局における連携事例について、薬局薬剤師の協力を得てその測定効果や検証を実施する。
さらに、海外での薬物療法を主体とした患者のケアに関する収集すべき情報やアドヒアランス等について最新の情報を収集し、今後の質の高い薬学管理とは何か及びその場合の評価指標は何かについても検討を行う。
以上の研究の実施により、全国でのかかりつけ薬剤師業務の実施状況の把握、さらには、薬剤師職能の発揮をエビデンスに基づく明確化、さらには海外の情報等も踏まえた質の高い薬学的管理内容及びその指標についてまとめることとする。
なお、これらの研究の実施等に関しては、公益社団法人日本薬剤師会、一般社団法人日本病院薬剤師会から選出された委員及びアカデミア、患者団体からの委員等にも参加してもらう親委員会を本研究班に設置し、研究内容と実際の現場ニーズや成果活用に直結した研究となるように実施する。
また、これまでのかかりつけ薬剤師調査等でのKPI調査結果を踏まえた「かかりつけ薬剤師・薬局の業務」に関する実態調査や、薬局におけるフォローアップ効果の高そうな事例に関する調査研究、病院と薬局における連携事例について、薬局薬剤師の協力を得てその測定効果や検証を実施する。
さらに、海外での薬物療法を主体とした患者のケアに関する収集すべき情報やアドヒアランス等について最新の情報を収集し、今後の質の高い薬学管理とは何か及びその場合の評価指標は何かについても検討を行う。
以上の研究の実施により、全国でのかかりつけ薬剤師業務の実施状況の把握、さらには、薬剤師職能の発揮をエビデンスに基づく明確化、さらには海外の情報等も踏まえた質の高い薬学的管理内容及びその指標についてまとめることとする。
なお、これらの研究の実施等に関しては、公益社団法人日本薬剤師会、一般社団法人日本病院薬剤師会から選出された委員及びアカデミア、患者団体からの委員等にも参加してもらう親委員会を本研究班に設置し、研究内容と実際の現場ニーズや成果活用に直結した研究となるように実施する。
結果と考察
フォローアップに関する論文及び厚生労働省委託事業の内容で、日本薬剤師会が提唱するフォローアップ業務と合致するものと考えられる内容としては、13件で、主として、抗がん剤治療に関する内容が中心であった。かかりつけ薬剤師・薬局の現状調査については、これまでの調査方法及び結果状況について検討を進め、本研究で実施すべきアンケート案について作成を行い、来年度以降、内容等の精査も行った上、実施することとする。
薬剤師のフォローアップの有用性について、科学的なデータ収集を目的として調査を実施する。今回、小児の坐薬使用について、フォローアップがあった場合となかった場合の薬剤師が感じた患者及び患者のご家族からの効果等の違いを測定する調査研究を検討することとし、アドバイス等を実施する内容について、薬剤師及び患者の母親等へのアンケートを実施することとなった。本年度は、アンケート内容について検討し、来年度の参加薬局について、コロナ禍での患者数の確保等の実行性について確認を行い、学内倫理審査委員会手続き準備を実施する。
フォローアップ業務における薬薬連携について、Protocol Based Pharmacotherapy Management(PBPM)を活用した手法について検討することとして、抗がん剤治療に関する情報提供に関する現状把握と、令和3年度に実施予定の薬局向けのがん治療薬の外来処方箋についての病院との連携等に関する調査計画の検討を行った。
今後のフォローアップ業務を実施するにあたって、諸外国の取組等を参考に、「質の高い薬学管理・評価指標の検討」を実施した。本年度は、NICEのアドヒアランスに関するガイドライン、Brief Medication Questionnaire(BMQ)によるアドヒアランスの測定、症例報告の国際的な基準となるCAREガイドラインについて、日本での正式な使用に関する許可手続きと翻訳について実施を行った。
薬剤師のフォローアップの有用性について、科学的なデータ収集を目的として調査を実施する。今回、小児の坐薬使用について、フォローアップがあった場合となかった場合の薬剤師が感じた患者及び患者のご家族からの効果等の違いを測定する調査研究を検討することとし、アドバイス等を実施する内容について、薬剤師及び患者の母親等へのアンケートを実施することとなった。本年度は、アンケート内容について検討し、来年度の参加薬局について、コロナ禍での患者数の確保等の実行性について確認を行い、学内倫理審査委員会手続き準備を実施する。
フォローアップ業務における薬薬連携について、Protocol Based Pharmacotherapy Management(PBPM)を活用した手法について検討することとして、抗がん剤治療に関する情報提供に関する現状把握と、令和3年度に実施予定の薬局向けのがん治療薬の外来処方箋についての病院との連携等に関する調査計画の検討を行った。
今後のフォローアップ業務を実施するにあたって、諸外国の取組等を参考に、「質の高い薬学管理・評価指標の検討」を実施した。本年度は、NICEのアドヒアランスに関するガイドライン、Brief Medication Questionnaire(BMQ)によるアドヒアランスの測定、症例報告の国際的な基準となるCAREガイドラインについて、日本での正式な使用に関する許可手続きと翻訳について実施を行った。
結論
フォローアップ業務はこれまでも薬剤師として実施してきた業務であるが、令和元年の法改正を踏まえ、公益社団法人日本薬剤師会が2020年7月に新たに発表した「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第1.0版)」の定義に当てはまるフォローアップに該当する内容のエビデンス(論文等)の公表は13件で抗がん剤が主体であり、参考事例数として十分とはいえないことがわかった。今後、日本薬剤師会の手引きのバージョンアップに資する好事例の収集及びそのわかりやすい公表、かかりつけ薬剤師・薬局のKPI関連のアンケート調査の実施、薬剤師フォローアップ成果(小児薬物療法・PBPMでの薬薬連携)の見える化を行うとともに、海外でのフォローアップ成果や指標に参考となる情報収集を実施していく。
公開日・更新日
公開日
2022-05-26
更新日
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