超早期がんの低侵襲で効果的、正確で安全な診断・治療用微細内視鏡機器装置及びその医療技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200812023A
報告書区分
総括
研究課題名
超早期がんの低侵襲で効果的、正確で安全な診断・治療用微細内視鏡機器装置及びその医療技術の開発に関する研究
課題番号
H19-ナノ・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小林 寿光(国立がんセンター がん予防・検診研究センター検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 執印 太郎(高知大学 医学部)
  • 馬目 佳信(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター)
  • 佐野 浩(HOYA株式会社 PENTAXライフケア事業部)
  • 玉川 克紀(株式会社玉川製作所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
40,472,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 超早期で微小ながんの確定診断は難しく、経皮的針穿刺生検を行えば希とはいえ重篤な合併症の可能性がある。超早期がんの確定診断後に標準的な手術を行えば、過剰侵襲となる可能性もある。血管などの管腔を介した診断・治療は低侵襲であるが、既存の内視鏡やカテーテルでは操作性や効果に限界がある。そこでこれらの病変に対して低侵襲で効果的、正確で安全な診断・治療を可能とする、微細内視鏡機器装置及びその医療技術を開発する。
研究方法
 微細内視鏡は基本的挿入部外径0.5mmを目標として微細加工技術を活用して開発するが、超細径化のために超伝導電磁石による磁気誘導を導入する。対象経路は誘導の特徴が生きる尿路系として、幅広い適用にも配慮して開発を行う。
 初年度に当初難しいと考えられていたX線透視装置の磁気干渉を防止する磁気遮蔽装置が開発できたため、計画を前倒しにしてより臨床的な機器装置を開発、製作した。動物実験においてその効果が確認されたが、微細内視鏡の画質や磁気誘導装置の発生磁力、磁気遮蔽装置の性能に問題があり、これを解決して適切な微細内視鏡機器装置を開発する。
結果と考察
 本年度は昨年度の問題点の解決法として、まず微細内視鏡の画質向上のために画像ファイバーの細径化と本数の増加を図り、微細凹レンズを試作して広視野角化を行った。また先端の誘導用磁性体を純鉄に変更し、被誘導力の増加を行った。磁気誘導装置は磁気回路を変更して磁力を2倍以上に向上すると共に、漏洩磁束を低減した。磁気遮蔽装置はアクティブシールド機構を強化して約3倍の性能向上を果たした。
動物実験にて誘導に有効な強い磁界内でもX線透視画像の確認が可能であり、GFPを導入して診断能確認のため内部構造を構築した3次元腫瘍塊からの蛍光を確認することができた。また尿管内視鏡として、高い臨床的意義が確認された。
 今後は早期臨床導入にも配慮して、尿管微細内視鏡及びその診断・治療技術の開発に焦点を合わせ開発を促進する。以上の結果、移行上皮癌の特質もありこれまで難しかった尿路系腫瘍における、低侵襲で効果的な早期診断・治療法の開発に繋がると考えられる。
結論
 今年度に開発された微細内視鏡機器装置は、尿路系を対象として大きな効果を認めた。今後は尿管微細内視鏡システムの開発に焦点を合わせて研究を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-