文献情報
文献番号
202025023A
報告書区分
総括
研究課題名
国際流通する偽造医薬品等の実態と対策に関する研究
課題番号
20KC2002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
木村 和子(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ‐クウオリティ セキュリティ講座)
研究分担者(所属機関)
- 前川 京子(同志社女子大学 薬学部)
- 秋本 義雄(金沢大学 医薬保健学総合研究科)
- 坪井 宏仁(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
- 吉田 直子(金沢大学 医薬保健研究域附属AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
犯罪組織が偽造COVID-19 ワクチンを標的にするという国際機関により警告が繰り返されている。日本では個人輸入が偽造薬の侵入口だが、平成29年には「ハーボニー配合錠」偽造事案が国内発生した。個人輸入では、偽造薬、低品質薬、未承認薬、無評価薬、無処方箋販売、誤指示書、無資格販売など重大な保健衛生問題が確認された。そこで各国の個人輸入規制や偽造薬対策、偽造薬健康被害及び個人輸入医薬品の実態を調査し、現場での真贋判定法の開発、偽造薬成分の同定法を確立し、偽造薬の監視・捜査の強化・改善、啓発に資する。
研究方法
（１）医師による未承認医薬品の個人輸入規制に関する調査：ウェブから文献と情報を収集し整理した。
（２）国際的な偽造医薬品対策の進展調査：ウェブから文献と情報を収集し整理した。
（３）模造医薬品による健康被害に関する調査：PubMedに検索式を適用し、模造薬による健康被害論文を抽出した。
（４）デキサメタゾンの個人輸入における保健衛生上の問題に関する研究：個人輸入代行サイトからデキサメタゾン0.5mg錠を購入し、注文サイト及び入手製品について、観察した。
（５）外観観察による偽造医薬品検出：ネットで個人輸入したシアリス錠、レビトラ錠、バイアグラ錠、およびジフルカン錠について、注文サイトの記載、郵便ラベル、一次包装、二次包装の記載や包装形態を観察した。項目ごとにクロス集計し、検定を行った。
（６）インターネットで購入した痩身薬Zenigalの含有成分の同定：ZenigalのLC/MS/MS分析により含有成分を探索した。
（２）国際的な偽造医薬品対策の進展調査：ウェブから文献と情報を収集し整理した。
（３）模造医薬品による健康被害に関する調査：PubMedに検索式を適用し、模造薬による健康被害論文を抽出した。
（４）デキサメタゾンの個人輸入における保健衛生上の問題に関する研究：個人輸入代行サイトからデキサメタゾン0.5mg錠を購入し、注文サイト及び入手製品について、観察した。
（５）外観観察による偽造医薬品検出：ネットで個人輸入したシアリス錠、レビトラ錠、バイアグラ錠、およびジフルカン錠について、注文サイトの記載、郵便ラベル、一次包装、二次包装の記載や包装形態を観察した。項目ごとにクロス集計し、検定を行った。
（６）インターネットで購入した痩身薬Zenigalの含有成分の同定：ZenigalのLC/MS/MS分析により含有成分を探索した。
結果と考察
（１）医師による未承認医薬品の個人輸入規制に関する調査：日本、豪およびNZは条件を満たした医師による未承認医薬品の個人輸入を認めていた。英、米、独、仏など11か国では、医師による未承認医薬品の個人輸入を認めていなかった。しかし、全ての国で早期アクセスや思いやり使用など拡大使用プログラムによる患者への使用を認めており、制度の違いはあるが未承認医薬品を必要とする患者に供給されるシステムが構築されていた。
（２）国際的な偽造医薬品対策の進展：米、英の偽造医薬品対策、国際刑事警察機構、欧州刑事警察機構、欧州不正防止オフィスの偽造品取締活動、EU偽造医薬品指令の安全機能委任規制施行後の成果、大衆への警告、欧州医薬品庁による医療品犯罪条約の評価とCOVID-19の偽造薬発生警告、WHOによる医療製品アラート、優先事項公表、医療製品トレーサビリティの政策ペーパー、国連薬物・犯罪
事務所によるCOVID-19偽造医療製品の増加と組織犯罪によるCOVID-19ワクチンの標的化を紹介した。
（３）模造薬による健康被害に関する調査：米国でフルプラゾラムを含有する偽造アルプラゾラム摂取により10代の6人が救急搬送された。
（４）デキサメタゾンの個人輸入における保健衛生上の問題に関する研究：個人輸入代行サイト（18サイト）から、0.5mg錠4種23サンプルを入手した。COVID -19治療薬と広告されていたサイトが3サイトあった。特定商取引法及び医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定をすべて満たしていると考えられたサイトは8サイト（44%）だった。個人輸入デキサメタゾンの価格は、薬価に比べて高かったが、処方箋の提示なく入手でき、添付文書や説明書もなく不適正使用や有害事象を招く恐れがあった。
（５）外観観察による偽造医薬品検出：サイト記載情報から偽造品出現率を調査したところ、27項目中個人輸入に関する記載など11項目で有意差が認められた（p < 0.05）。梱包および製品観察から偽造品出現率を調査したところ、発送国など9項目中3項目で有意差が認められた（p < 0.05）。
（６）インターネットで購入した痩身薬Zenigalの含有成分の同定：LC/MS/MS分析により、Zenigalに含まれる主要な未知成分について、Cetelistatの合成原料である2-amino-5-methyl benzoic acid、およびCetelistatの合成中間体Cetilistat Impurity Bであると同定した。LC/MSは、偽造が疑われる医薬品中の未知含有成分を同定・定量する有用な手段である。
（２）国際的な偽造医薬品対策の進展：米、英の偽造医薬品対策、国際刑事警察機構、欧州刑事警察機構、欧州不正防止オフィスの偽造品取締活動、EU偽造医薬品指令の安全機能委任規制施行後の成果、大衆への警告、欧州医薬品庁による医療品犯罪条約の評価とCOVID-19の偽造薬発生警告、WHOによる医療製品アラート、優先事項公表、医療製品トレーサビリティの政策ペーパー、国連薬物・犯罪
事務所によるCOVID-19偽造医療製品の増加と組織犯罪によるCOVID-19ワクチンの標的化を紹介した。
（３）模造薬による健康被害に関する調査：米国でフルプラゾラムを含有する偽造アルプラゾラム摂取により10代の6人が救急搬送された。
（４）デキサメタゾンの個人輸入における保健衛生上の問題に関する研究：個人輸入代行サイト（18サイト）から、0.5mg錠4種23サンプルを入手した。COVID -19治療薬と広告されていたサイトが3サイトあった。特定商取引法及び医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規定をすべて満たしていると考えられたサイトは8サイト（44%）だった。個人輸入デキサメタゾンの価格は、薬価に比べて高かったが、処方箋の提示なく入手でき、添付文書や説明書もなく不適正使用や有害事象を招く恐れがあった。
（５）外観観察による偽造医薬品検出：サイト記載情報から偽造品出現率を調査したところ、27項目中個人輸入に関する記載など11項目で有意差が認められた（p < 0.05）。梱包および製品観察から偽造品出現率を調査したところ、発送国など9項目中3項目で有意差が認められた（p < 0.05）。
（６）インターネットで購入した痩身薬Zenigalの含有成分の同定：LC/MS/MS分析により、Zenigalに含まれる主要な未知成分について、Cetelistatの合成原料である2-amino-5-methyl benzoic acid、およびCetelistatの合成中間体Cetilistat Impurity Bであると同定した。LC/MSは、偽造が疑われる医薬品中の未知含有成分を同定・定量する有用な手段である。
結論
COVID-19 の保護具や治療薬、ワクチンの偽造品が横行する中で国際的な警戒、取締りが強まっている。偽造品の現場監視に有用と考えられる観察項目が同定された。さらに、LC/MSにより偽造薬中の未知成分の同定が可能であることを示した。医師による未承認薬の個人輸入は3か国だが、すべての国で拡大使用プログラムとして医薬品への患者のアクセスは確保されていた。
公開日・更新日
公開日
2021-08-30
更新日
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