半導体などナノ粒子による薬剤・細胞伝達システムの開発

文献情報

文献番号
200812022A
報告書区分
総括
研究課題名
半導体などナノ粒子による薬剤・細胞伝達システムの開発
課題番号
H19-ナノ・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山本 健二(国立国際医療センター研究所 国際臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 春巳(国立国際医療センター研究所 臨床病理研究部)
  • 鈴木 恵子(昭和大学歯学部 歯薬理研究室)
  • 狩野 繁之(国立国際医療センター研究所 適正技術開発・移転研究部)
  • 土肥 多惠子(国立国際医療センター研究所 消化器疾患研究部)
  • 斯波真理子(国立循環器病センター研究所 バイオサイエンス部)
  • 片岡 一則(東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学研究室)
  • 近藤 昭彦(神戸大学大学院 応用化学科)
  • 山本 悟(国家公務員共済連合会横浜共済病院)
  • 落谷 孝広(国立がんセンター研究所 分子腫瘍学 がん転移研究室)
  • 太田 敏博(東京薬科大学 環境分子生物学)
  • 鈴木 和男(千葉大学大学院医学研究院 炎症制御学研究室)
  • 馬目 佳信(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター DNA医学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
56,966,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々はヒトに使用することも可能な粒子量子ドット即ち量子サイズ効果を持つ半導体ナノの開発を行い、その強力で持続時間の長い蛍光などの特性を生かしDDSや細胞動体解析など生物医療分野に応用利用している。
研究方法
我々が開発した容器の中で4塩化ケイ素を強力な還元剤で界面活性剤の中にシリコンナノ粒子を形成させ、安定性を増すための表面加工を行って得られた反応物を精製し、シリコンナノ粒子を得る。
結果と考察
これまでの研究の結果、4族元素のシリコンナノ量子ドットが最も安全であることを見いだし、毒性試験により世界ではじめてIC50を求め8mg/mlであることを発表した。
このような安全性の高いシリコンナノ量子ドットを薬物担体として用いた。抗炎症剤コックス阻害薬剤アルミノプロフェン(AP)を用い、一つのシリコン量子ドットに約50のAP分子が結合させた。薬物力価は、同量のAPの約10倍持っており、毒性は1/10となることが判明した。
さらにもう一つの応用として量子ドットを用いて効率のよい細胞への遺伝子導入システムの開発に成功した。細胞外では、プラスチャージにより、DNAを凝集させる、それにより細胞内に通過させ、細胞内に入れば凝集が解け、核移行シグナルによって効率よく核に入り、その結果効率が10%を超えに至った。
最後に、量子ドットの持つ強力な蛍光を利用して、興味ある細胞を生きたまま生体内動体を追跡することが可能である。この性質を利用してマクロファージについて解析した。マクロファージは骨髄で生まれ、人体の中を移動し、多種多様な調整を各臓器にて行っている。今回我々は、量子ドットを用い、骨髄細胞から約1カ月かけて破骨細胞を発生させ、様々な特性を解析した。マウス細胞を用い、この解析を続けた結果、破骨細胞による骨代謝は、CCR1とCCR5というケモカインレセプターが非常に重要であることを世界で初めて発見するに至った。これらケモカインレセプターKOマウスでは骨粗鬆症骨を始め様々な不具合を生じることが判明した。現在、新規エイズ治療薬であるCCR5阻害剤の患者さんへの臨床研究を行う準備を党国立国際センターで行っている。

結論
シリコン量子ドットは安全で、遺伝子担体としても利用可能で遺伝子導入率が高く、安全性に優れていることが判明した。また2つケモカインレセプターが骨軟骨代謝に極めて重要であることが細胞染色技術としての応用から発見された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-