ナノサイズリポソームを用いた急性心筋梗塞治療法の開発

文献情報

文献番号
200812021A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノサイズリポソームを用いた急性心筋梗塞治療法の開発
課題番号
H19-ナノ・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
南野 哲男(大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 知浩(静岡県立大学 薬学部)
  • 目加田 英輔(大阪大学微生物研究所)
  • 黒田 俊一(大阪大学産業科学研究所)
  • 北風 政史(国立循環器病センター 臨床研究開発部)
  • 金 智隆(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 朝倉 正紀(国立循環器病センター 臨床研究開発部)
  • 浅沼 博司(近畿大学医学部付属病院 救急診療科)
  • 堀 正二(大阪府立成人病センター )
  • 高島 成二(大阪大学 医学系研究科)
  • 蜂須 麗(北海道システム・サイエンス株式会社・バイオ事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
43,769,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、1)心臓保護薬剤アデノシンのリポソーム化による心臓保護作用増強ならびに副作用軽減効果、2) バイオナノカプセル(BNC)を用いた心筋梗塞部位を標的とした新しいデリバリーシステム(DDS)の開発、3)HB-EGFを標的とした心不全に対する新規DDSの開発である。
研究方法
ラット心筋梗塞モデルを作製し、リポソームの心筋梗塞部位への集積、心筋梗塞サイズならびに致死的不整脈への影響を検討した。また、ヒトHB-EGFへの抗体にて修飾したリポソームを作製し、HB-EGFを高発現したVero細胞、心筋細胞への取り込みを検討した。
結果と考察
蛍光標識リポソームは心筋梗塞部位に集積することを確認した。また、リポソーム化アデノシンは血行動態への影響が小さく、同時に、心筋梗塞サイズを縮小することを見出した。さらに、リポソーム化アデノシンを投与したラットでは、梗塞後生存率が増加することを見出した。TAT膜透過ペプチド提示型バイオナノカプセル(BNC)を用いることにより、心筋梗塞部位での遺伝子発現が可能になることを見出した。最後に、抗HB-EGF抗体修飾リポソームはHB-EGF高発現心筋細胞やVero細胞への取り込みが促進されることを見出した。
結論
本研究では、心臓保護薬剤アデノシンのリポソーム化による障害心筋への選択的集積、心臓保護作用増強ならびに副作用軽減を明らかにした。今後、企業との連携を視野に入れながら、前臨床試験を進めていく。また、バイオナノカプセルを用いて心筋梗塞部位を標的とした新しいデリバリーシステムの開発をおこなった。さらに、抗HB-EGF抗体修飾リポソームの細胞内取り込み促進作用は、HB-EGF高発現が認められる不全心筋細胞や婦人科腫瘍への選択的デリバリーに有用である可能性が示唆された。今後、循環器疾患に対するナノテクリポソームを用いた治療法開発の中心的グループとして知的財産創出・新しい医療開発に貢献したい。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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