薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究

文献情報

文献番号
202025019A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究
課題番号
19KC2011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
嶋根 卓也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
19,028,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202025019B
報告書区分
総合
研究課題名
薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究
課題番号
19KC2011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
嶋根 卓也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 俊彦(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
  • 庄司 正実(目白大学 人間学部)
  • 猪浦 智史(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
  • 近藤 あゆみ(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
  • 引土 絵未(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 三浦 拓人(国立精神・神経医療研究センター病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題は、薬物乱用・依存状況の実態把握のための研究(研究1~6)と、薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究(研究7~9)から構成される。得られた知見は、薬物乱用予防対策および薬物依存症者の社会復帰に向けた支援策を考える上での一助となることを期待する。
研究方法
研究計画に基づき、以下の分担研究課題を実施した。経年的に実施している研究には調査年を付した。
研究1:薬物使用に関する全国住民調査(2019年)
研究2:大麻依存症の患者を対象とした病院調査
研究3:飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査(2020年)
研究4:全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(2020年)
研究5:全国の児童自立支援施設における薬物乱用の意識・実態調査(2020年)
研究6:薬物使用のモニタリング調査に関する国際比較研究
研究7:精神保健福祉センターにおける家族心理教育プログラムの開発研究
研究8:民間支援団体における回復プログラムの開発研究
研究9:薬剤師外来による処方薬乱用予防プログラムの開発研究
結果と考察
各研究の結果および考察は、総括・分担研究報告書を参照のこと。
結論
研究1:薬物使用に関する全国住民調査により、大麻使用者の増加が確認された。大麻の生涯経験者数は約161万人、過去1年経験者数は約9万人と推計された。過去の調査データと比較すると、大麻、コカイン、MDMAは増加傾向、覚醒剤および危険ドラッグは横這い、有機溶剤は減少傾向で推移していることが明らかとなった。
研究2:大麻依存症の患者を対象とした病院により、合計71例の大麻関連障害症例の臨床的特徴を整理した。高濃度THC含有製品の使用や頻回の大麻使用経験が、現在の依存症候群診断や職業的・社会的機能の低下を引き起こす可能性が示唆された。しかし、精神病性障害や残遺性・遅発性精神病性障害については、大麻使用様態、臨床遺伝学的家族歴、併存精神障害、他の精神作用物質併用のいずれとも関連する要因が見いだされなかった。
研究3:中学生において、有機溶剤の生涯経験率は、2010年から2018年にかけて有意に減少していた。大麻の生涯経験率は、2010年から2018年にかけては有意な増減はみられないが、2014年から2018年にかけては有意に増加していた。覚醒剤と危険ドラッグについては、有意な増減はなく、2010年から2018年にかけて横ばいで推移していた。
研究4:精神科医療施設を受診するアルコール以外の精神作用物質使用による薬物関連精神障害患者において、危険ドラッグ関連精神疾患症例の減少が前回調査に引き続いて顕著である一方で、睡眠薬・抗不安薬、市販薬の関連精神疾患症例の明らかな増加が認められた。調査全体としては、薬物関連精神疾患症例の増加が見られる一方で、最近1年以内に薬物使用が見られた症例は横ばいの傾向が続いていることが確認され、近年、薬物問題を抱える人の精神科医療へのアクセスが増えているだけでなく、精神科医療のなかで薬物使用が止まっている人が増えている可能性が示唆された。
研究5:児童自立支援施設入所児童を対象とする全国調査の結果、1994年の調査以降薬物乱用は減少していることが示された。特に有機溶剤乱用は著減した。医薬品乱用頻度が相対的に高くなっており、今後も継続的調査が必要である。非行児の交遊関係の改善が薬物乱用を減らすうえで重要であると考えられた。
研究6:タイとの共同研究においては、薬物使用に関するモニタリング体制構築の準備段階ではあるが、共通調査項目の設定から薬物使用経験率の国際比較を実施できたことは、両国における薬物モニタリング調査の国際連携において、ある一定の進展がみられたと評価できる。
研究7:家族支援によって家族の精神的健康状態、家族と本人との関係性や本人に対する感じ方、本人の治療支援状況が改善されることが示されるとともに、家族心理教育プログラムへの継続参加が家族の精神的健康の向上やイネーブリング行動(依存症の維持進行につながる関わり方)の減少、趣味や生活のための時間の増加などにつながることの可能性が示唆された。
研究8:民間支援団体で新たに導入されつつある治療共同体エンカウンター・グループ(EG)が、薬物依存症者の精神的健康を高めること、その背景として直接的なコミュニケーションを通して課題に対する気づきが得られることや安全に感情に向き合うことができることが挙げられた。
研究9:処方薬乱用者に対して、薬剤師が外来診療に介入することで、積極的に処方調整が行われた。また、頓服薬の残薬調整の提案を薬剤師が行うことで、不要な処方を防ぐことができた。

公開日・更新日

公開日
2021-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202025019C

収支報告書

文献番号
202025019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,980,000円
(2)補助金確定額
18,723,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,257,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 592,094円
人件費・謝金 1,943,432円
旅費 15,116円
その他 15,220,456円
間接経費 952,000円
合計 18,723,098円

備考

備考
超過交付となった金額を返納したため。

公開日・更新日

公開日
2023-06-20
更新日
-